「………で、こいつはいずれここに来る。そこをお前が叩け」
大勢の幹部を前にして、臆することなく指示を飛ばす男。
この人―黒澤航太郎は、俺が所属する獅子王組の黒澤派のトップだ。一部からは『拝金主義』なんて言われてるけど。
この人は間違ってない。
仁義だなんだとほざいても、結局は金がなければ全て意味がないのだ。
「鮎川、お前には後で話がある。俺の部屋に来い」
黒澤の兄貴が俺のことを呼んだ。
「はい」
こんなことは滅多にないから、俺は嬉々として兄貴の部屋に向かった。
「悪ぃな、いきなり呼び出して」
部屋に向かうと、兄貴が自室の椅子に座って待っていた。
「いえ、兄貴のためなら…」
個別に呼び出すなんて、よっぽど重要なことなんだろう。そう思うと、兄貴が俺のことを特別扱いしてくれているような気がして、嬉しくて仕方がなかった。
「そうか、…俺のため、か…」
兄貴は納得したように呟くと、話を始めた。
「鮎川、お前はほんとに優秀だよ。強さもシノギの出来も申し分ねぇ。かくなる上は伊武、高砂をも追い詰めた」
俺は思わず頬を赤くした。いくら兄貴と言えど、こんなにも俺のことを認めてくれてるなんて思わなかったから。
…でも、それ故に俺は気付けなかった。この人の『本当の目的』に。
「でも、それだけじゃねぇ」
黒澤の兄貴は立ち上がると、俺の方に近付いてきた。
「お前はまだまだ若ぇし、顔立ちも良い。体つきもしっかりしてる。さぞかし女にも持て囃されるんだろうなぁ」
兄貴の手は、いつの間にか俺の腰に回されている。
「!」
「そんな優秀で魅力的な奴を、俺がずっと野放しにしてるのは不自然だ……と、そうは思わねぇか?」
その顔を見た瞬間、俺の背筋に冷たいものが走った。
危険を察知した俺は、兄貴の手をすり抜けて後退した。
「やめて下さい!何が言いたいんですか!?」
「まぁ落ち着けや。何も、とって食おうってんじゃねぇんだからよ」
兄貴は依然として冷静な声で言う。その顔は凍てつくような無表情だった。
「じゃあ、鮎川。昔、あんなに任侠に溢れてたお前が、この黒澤派に入ったのは何でだ?」
その言葉に、俺の脳裏にあるものがよぎった。
『兄ちゃん、お腹減ったよ…』
『お兄ちゃん、無理しないでね。大きくなったら、あたしも稼ぐから』
「…仁義や任侠を重んじていれば、稼ぐことができないからです。稼ぐことができなかったら……俺だけじゃなく、俺の身内も養えない」
兄貴は俺の事情を理解していた。だからこそ俺は黒澤派に入った。
「そうだよなぁ」
またも歩み寄ってくる兄貴に、俺は容赦なく近代鉈を向けた。
「来ないで下さい」
「おいおい、いいのか?そんな態度とっても」
俺の鉈を制し、兄貴は更に話を続けた。
「お前が今俺に斬りかかれば、お前は黒澤派にとって『裏切り者』のみならず『敵』と認定されちまう。
…犬亥に来栖、橘花。そして最近入ってきた「羅威刃」の東雲、秋元。いくらお前でも、ウチの精鋭達を一人で相手にできるのかな」
兄貴の言葉に、俺は立ち竦むしかなかった。
俺の肩に両手を置くと、耳元で囁いた。
「それに、お前の家族のことは重々承知だ。
…もっとも、お前がお望みなら、ヒットマンを送り込んで全員消してやることも可能なんだがな」
この言葉に、俺は絶望した。
「そんな…!あいつらには何の関係も―」
「鮎川、お前も知ってんだろ?俺は、目的のためなら手段を選ばねぇ男なんだ」
兄貴が俺の肩に置いていた手は、俺の頬を、首筋を、ゆっくりと伝っていく。
「っ…!」
「何だ、こんなんで感じんのか?可愛い奴だな」
兄貴は妖しげに笑うと、俺をソファーに押し倒した。
「もう随分悦んでるみてぇだが……もしかすると無理矢理されるのがお好きかな」
「嫌だ…!!ま、待って下さい……っ!!」
俺は震えながらも兄貴を必死で拒んだ。だが、その手は弱々しいばかりか、兄貴によって押さえ込められてしまう。
「いい加減にしろ、鮎川。自分の身内が可愛いってんなら、黙って俺に身体を委ねろ」
「ふ、ぁっ❤は、ん…ぅぅっ」
「…はっ、何だよ?鮎川」
快楽で力が抜け、喘ぐことしかできない俺を、兄貴はからかうように見つめる。
「さっきまで散々嫌だって言って抵抗してきたくせに……ほんとはこういうの好きなんじゃねぇか」
兄貴は俺のジャケットを肘の辺りまで脱がせると、俺の身体を自分の方に引き寄せた。行為の前に媚薬を飲まされたせいで、兄貴に触れられるだけでも感じてしまう。
「や、やめて下さい…っ!!触らないで…」
「こんなに身体中ビクビクさせて、下もおっ勃ててんのに、『やめてほしい』って?」
兄貴の手が更に強くなる。
「あっ…!!あぅっ❤ん…くっ❤」
「そりゃねぇだろ。もうちょっと素直になろうぜ?鮎川」
兄貴に触られて、扱かれているうちに変な感覚がした。腹の底から何かが疼くような、いやに気持ち悪い感覚だ。
「あ❤❤だめ……っ❤❤兄貴…」
「…もしかして、もうイキそうになってんのか?いつもはそうでもねぇのに、淫乱になったもんだな」
兄貴は俺の様子に気付くや否や、俺の尿道に指を突っ込んだ。
「…まぁ、そんな簡単にイカせるつもりもねぇわけだが」
そのまま、先刻より強く扱かれる。
「あ”っ!!❤い、嫌っ!嫌です!!兄貴…ッ❤❤」
「駄目だ。お前自身が「イカせてほしい」って言わねぇ内は、離したりしねぇ」
感じたことのない絶頂が怖くて、俺は兄貴に必死で拒否の意を示した。
「ん…はぁ❤あっ、あああッ❤!!は、離して❤❤離して下さいっ…!!❤」
兄貴に扱かれ続けて、下がクチュクチュと音を立てる。外に出さないまま絶頂し、その上に更に快感を感じたせいで、俺の身体は最早自分の意思とは関係なくガクガクと震えている。あまりの刺激に視界がチカチカと点灯した。
「ほらほら頑張れよー。弟や妹に怪我させたくねぇんだろ?」
「兄貴、まって…っ…~~~~~ッッ!!!❤❤❤」
「……ふふ、こんなに濡らして、ガクガクして…もっと虐めたくなっちまうじゃねぇか」
2度目の擬似的絶頂を迎えた時には、俺の頭は黒澤の兄貴によってすっかり支配されていた。
「…兄貴…ッ」
「ん?」
「お願い……イカせて下さい…っ❤❤」
涙目でそう懇願する俺に、兄貴は口角を上げた。
「もう少し頑張ると思ったが…素直な奴は可愛いげがあるからいいか」
そういうと兄貴は、やっと指を抜いてくれた。
「…あれ、そう言えば鮎川さん……黒澤の兄貴に対して大分距離とってるが…喧嘩でもしたのか?」
「いやいや、犬亥の兄貴…カップルじゃないんですから。でも確かに、様子はおかしい…かも」
あれから俺の様子が変わったと組内で囁かれるようになったことを、俺は知らない。
あの後も、俺は兄貴に散々蹂躙され、玩具にされた。
『今後も楽しませてくれな、鉄次♪』
「……くそっ」
人生最大の屈辱を思いだし、俺は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
コメント
7件
たまらんのぉ〜💕続き読みたいです💕宜しくです💕
めっちゃいい、_:(´ཀ`」 ∠): いやいやと言う鮎川最高やったぜ_:(´ཀ`」 ∠):