真一と紗栄子はバイト先の店長と岬にいった。
TV関係者に被害者の確認をすると後輩の大輝と凛という予期せぬ状況であった。
祠に置いて来た凛の遺体がなんで大輝の車で共に岬から転落したのか?
大輝と一緒にいた、彼方は行方不明。そんな状況のなか、真一と紗栄子はホテルの駐車場に止めてあるセルシオの元へ向かっていた。
灼熱の太陽の下5キロという道のりは厳しいものであった。
熱さも吹き飛ぶような状況とはいえ体は正直だ、汗は止まらず流れ続けていく。
ホテルの駐車場に着いた、紗栄子も限界だ。俺は自動販売機で水を2本買い、紗栄子に差し出した。
紗栄子は半分くらい水を飲むと荒い息遣いで地面に座り込んだ。
俺はセルシオのトランクに手をかけ周囲に人がいない事を確認してゆっくりと開ける。
昨日、抱いたあの真希の無残な姿がトランクの中で横たわってる姿を想像した。
「ガチャ」
「紗栄子!」
「どうしたの?」
「真希さんがいない。。。」
トランクにさっきまであった真希の遺体がなくなっていた。
車の下をみたり、後部座席も確認するがもぬけの殻になっていた。
「真希さん、まさか生きていたのか?」
「そんなハズないよ、息してなかったよ」紗栄子は声を震わせ小声でそう言った。
「じゃあ、なんでいねえんだ」
「そんなの私だって分からないよ」
確かに紗栄子の言う通り、脈はなく息をしていなかった。それは真一も確認していた。
遺体がないのが、真一にとっては好都合なのかもしれないが、大輝の件といい何がヤバいことに巻き込まれているのは間違いはなさそうだ。
「紗栄子、取り敢えずバケトン近くの祠に行く」
真一と紗栄子はセルシオに乗り込み祠に向かった。
「真ちゃんこれ見て」紗栄子は備え付けの灰皿を指差す。
「タバコか?」
「このタバコ、口紅がついてる」紗栄子はタバコは吸わない、昨日真希もセルシオに乗ったがタバコを吸っていた記憶はないが確かではない。
「?」俺はセルシオに違和感を感じた。
「走行距離が買った時と2万キロもすくねぇ。」
俺は路肩にセルシオを止めて、ナンバーを確認する。
「俺のナンバーは888、このセルシオは8888だ。。。」