「………よし……!」
菊は気合を入れ、玄関のドアを開いた。
「菊菊〜!おはよ〜!!」
と言いながらハグをしようとするフェシリアーノ。
「……………て………」
「ヴェ…?今なんて言った?」
「………どいて、邪魔」
「あ、うん…」
スタスタと菊は歩いていった。
「………え、、?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?そんな訳ないでしょ!?!?!?!?」
「ホントなの!!
っていうかフランシスうるさい〜、耳が……」
と言ってフェシリアーノが耳をあからさまに防いだ。
今すぐみんなに伝えなきゃ、という使命感に駆られ、フェシリアーノはコソコソ1番近くにいたフランシスと王耀に言ったのだが、とてつもなく大きな声で驚かれた。
「驚くなって言われたほうが無理ある……
我はいつそんな育て方したあるかね……反抗期あるか?」
「え、今更?菊2000歳とっくに超えてるでしょ?」
「そうあるが………それ以外考えられないある」
「王耀くん、さっきサラっと親になってたよね?」
イヴァンが来て言った。相変わらず笑顔で怖い。
すると、先程のビックボイスにより続々といつもの面々が寄ってきた。もちろん菊の姿はそこにはいない。
「Hey!どうかしたのかい?」
「でけぇ声出してどうしたんだよ」
「何事だ?」
「あいやぁ、それがあるね……」
「What?!」
「そんなはずがないだろう……、、」
アルフレッドとルートヴィッヒが信じられない、といった口調で口々に言う中、
「それ本当の本当に菊だったのか…?」
と、少しフェシリアーノを怪しんでアーサーが問う。
「そ、そのはずだよ…?少なくとも身長とか髪型とかの外見はめっちゃ菊だったし〜、、……」
「敬語が外れてグレた菊か………興奮す─────」
「そういえば、菊はどこに行ったんだい?」
「遮るんじゃねぇ」
「ここにいるけど」
はっっっっ!?と驚き、声のする方向を見ると、確かに菊の姿があった。
「ほ、本当に菊、なんだよな……?」
先程も挙げられた話題をあまりにも信じられなくてルートヴィッヒが菊に投げかける。
「そうだけど、何?」
「え、いや、………何と言われてもだな、、……」
「なんでグレたんだ?」
アルフレッドが不思議そうにし、ズバっと聞く。
「そんなこと俺に聞くなよ」
菊は冷たい視線でアルフレッドを刺した。
「う………」
「お、『俺』、あるか、、…………」
王耀は見てわかるほどの大打撃を受けている。興奮すると言っていたアーサーも想像以上なのか戸惑っている様子だ。
さっきまで黙って考え込んでいたフランシスが不意に口を開く。
「あのさ、菊」
「何?」
「……悪かったよ、ごめん」
「「「「「ぇ…、?」」」」」
「………」
「そうなっちゃったのはお兄さん達のせいなんでしょ?本当にごめん、もうしないからさ、」
「「「「「…………」」」」」
5人はよく分かっていなかったが、とりあえず口をつぐんで見守ることにしたようだ。
「…………、、
ふぅ…………………こちらこそ本当にすみません……」
「え、菊くん戻ったの?」
「はい、戻った、といいますか、変わっていなかった、といいますか………」
「……どういうことなんだ…?」
「実はですね………」
少し照れながら菊は話し始めた。
「いつもいつもみなさんが私に『かわいい』『女の子みたい』などと言ってらっしゃいますよね?」
「え、うん……そうだけどー………、、?」
「日本男児なのに対しここまで言われてしまっているのはまずいのでは……と思いまして、その解決策として男児のような、尖っている様な態度を取っていた、というわけなんです………」
「そ、そうだったあるか………よかったある……」
ホッと一息つく王耀の横で、少し悔しそうなアーサーがいた。
「しかし、よく気が付かれましたねフランシスさん」
「あーー、うん、そのーー……」
「流石です、どうして気が付かれたのですか?」
「うん……いや、あのね、お兄さんさ……
こんなこと本当に一度もなかったから、しかも第一声が最初声小さかったらしいし、故意のものだと思って……」
「ふむふむ……」
「で、故意でこんなことしてるとなると完全にこっちに非があるかなぁーってなって、」
「なるほど……」
「………」
「……、、え、そ、それだけなのですか…?」
「………うん、」
「な…………で、ではとりあえず謝った、ということなのですか……!?」
「……………………………………うん、、」
「し、信じられません……………!!!!!!!もう私、決めましたよ…………
再び引きこもります!!!!!!」
「え、いや、ち、ちょっと、」
「もう気付けないみなさんもかわいいって言うみなさんも知りませんもう!!!!!」
「ま、待つある……!!!」
「嫌です…!さようなら!!!!」
「「「「「「「菊〜〜〜〜〜!!!!!!!!!」」」」」」」
翌日、なんとか菊をなだめて、半日の引きこもりで済ますことができ、しかし『かわいい』コールはやめない意思のある一同であった。
コメント
1件
普通に面白いですね笑、まぁ菊の事を可愛いって言うのは仕方ないと思います…あと菊さんがグレたら…まぁそれもいい…?