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第4話:ログアウトできない日
「NaPointって、ログアウトどうやるんだっけ?」
そう呟きながら、ミユはスマホ画面を何度もなぞった。
制服の胸ポケットに入ったICカードがカシャ、と小さな音を立てた。
彼女は長めの前髪をピンで留め、すこし眠そうな目をしていた。
放課後の電車内。
アプリを閉じたはずなのに、ポケットの中でスマホが震える。
見れば、またNaPointが勝手に開いていた。
しかも通知には「新しいレビューが投稿されました(ミユ)」と表示されている。
「……は?」
確認すると、さっきまで書いていた映画レビューの“続き”が載っていた。
自分の口調に似てるけど、微妙に違う。
でも、書いてないとは言い切れないほど自然。
翌朝、教室で友達に話しかけられた。
「ミユ、あの続きも書いたんだね? 映画のやつ、すごくリアルだった」
——え? どこからどこまでが“自分”?
その瞬間、ポケットの中でまたスマホが震えた。
アプリは、まだ開きっぱなしだった。