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マネージャーと涼ちゃんにも連絡を入れ、俺は家に帰ることにした。
今の精神状態では、仕事にならない。
部屋に入り、ベッドに外着のまま倒れ込む。
頭の中では、2人の写真と元貴のいってたことが何回も繰り返される。
「俺さ、今まで生きてきた中で1番今が幸せかもしれない。」
心の中がドス黒い感情で埋め尽くされていく。
今までで?1番??
10年以上一緒に濃い時間を過ごして、バンドを1から作り上げて、大変なこともあったけど、3人で今のミセスを作り上げてきて。
沢山笑いあったし、数多くの忘れられない思い出を作ってきた。
それなのに、ここ最近出会っただけの様な女との時間が1番幸せ?俺との時間は何だったわけ?
元貴の隣にずっといたのは俺なのに…。
ずっとずっと想ってきたのに…。
最近の元貴ははっきり言って浮かれすぎてる。このまま元貴の毒っぽい要素も彼女に吸い取られて、深みのない空っぽな曲しか作れない元貴になるんじゃないのか?
いっそ彼女に、元貴のあることないこと全部全部吹き込んでやろうか。いやいっそ、彼女を誑かせば、元貴と別れてくれるんじゃ?
____俺はハッとした。何を考えているんだ。親友の恋路を邪魔するなんて。
俺が嘘でも、元貴以外の人に愛を与えることなんてないのに。
俺はここまで性格の悪い人間だったのか。
自分で自分の醜悪さにもはや笑えてくる。
スマホの画面が光り、ブーッブーッと着信音が鳴り響く、画面には元貴の名前。
LINEも何件か来ているみたいだけど、とても今は見る気になれない。
急に帰っちゃって、元貴心配してるんだろうな。大人気ないよなと思った。でも今電話に出てしまうとあることないこと口走りそうだった。
俺は枕に突っ伏して現実逃避をした。
そのままうたた寝してしまうと、玄関のチャイムが鳴った。
こんな時間に誰だ?まさか…
インターホンを見ると思っていた人物ではなく、そこには涼ちゃんがいた。