先輩もいなくなって、私が3年生になったとき。
団体は組めるが足りない状態だし、初心者がいたし、狙える年ではなかった。
何より私はこの時期1番壊れてた。
体重管理の断り方を見つけた。
“生理”である。
中学生と言う時期は不安定で、私も不順だったのは確かだけれど、嘘にも使えた。
浅はかだった。
学校の体育のプールの授業。
私はプールが大好きで、生理が疎ましい。
終わった瞬間即入りたいです。ってほどだったので、生理の日以外はしっかりとプールに入った。
体重管理を言い渡された日。
他校へと転勤したため、学校生活には関わりなくなった顧問に私は
「ごめん、生理中だから」
そう言った。
なかなかきもちわるい会話だと思う。
その体重管理の日、朝一でプールがあった。
「お前今日、プール入っただろ?」
嘘はバレるものである。
これは悲劇のヒロインぶった話で、私の素行はかなり問題児だった。
お金が無いから盗むより、今欲しいから盗んで。
とりあえず怒られたくないからカンニングして。
私が好きなものを壊そうとしたから死んで欲しくてネットにそいつの番号晒して。
悪口を言うから殴って。
帰りたくないから家出した。
まあまあ学生が考えつく悪いことはまあやった。
飲酒、タバコなんて可愛い。
ほぼ迷惑かけないもので、強いていうなら学校生活でやると連帯責任とらされるから悪いだけ。
それをした人が早く死のうがどうでもいいから、あの連帯責任は謎だった。
成績はいいのに素行不良。
学校の先生達にとっては厄介だったと思う。でも言えなかった。
私にとっての大人は、
仕事で忙しくて家族の内面は見えない人か、仕事は完璧にこなすけどギャンブルに依存する人か、すぐ横の繋がりで恋だのなんだの迄回して楽しがって、私の好みを差別と言って、大人を敬わせようとする。
私の理解者は犯罪者。
口が裂けても、大人に悩みなんて言えなかった。
「咲弥タバコ吸う?」
「いらね。」
同級生にもいた。
顧問が来ない部活の日。サボってそいつらと麻雀して、飲み物でもかけてなんて遊ぶことが増えた。
私の周りの大人がみんな吸ってたから、その空間が嫌いでは無いけど、私はそれをしたいとは思わなかった。
小6で第1回大会に出て以来、私はその大会、中3まで出た。
顧問が監督だった。
贔屓とか言われたが、でもお前ら私に勝てないだろうが。
親がいなくても送り迎えも全てその顧問がしてくれる。常にその顧問の車の助っ席は私の席。
今度、周りの大人たちは
「お前顧問と結婚すんの?」
ホント、馬鹿ばっかり。
えー、嫌ですよー。やめてくださいよー。ニコニコと笑って答えた。
「あの同級生はあんなに一途にお前が好きなのに可哀想」
「思わせぶりしすぎ」
あーもうホント、きもちわるい。
その顔も、その声も、その頭も。
いいよ誰でももう。
勝手にカップリングでも何でもしてください。
私が誰に惹かれようが、何しようが、その周囲の声が私が好きな人に届くくらいなら、もうホントどうでもいい。
どうせ私の事隠せないチビなんか、好きにはならないけど。
168cm
成長期が終わったであろう最後の身長はこの高さだった。
女子では後ろの方。男子と合わせてもまあ後ろの方。
髪の毛は面を被るのに邪魔だから、学年で一番短くて。
「何もしないでも立ってるくらいに短く切ってください」
月1、1000円カットでお願いするのもこんな感じ。
五厘でよくね?って周りから言われたけど、一応、女子だから。ってお母さんが言ってた。
逞しいね。腕太いね。足がっしりしてる。背が高くて羨ましいね。
筋トレも走ってもない。
ただ剣道やってればつくよこんなん。
だって私力こぶないんだから。
おまえらとはうまれもったものがちがうんだよ
少女漫画は痛い。だって私はなれないくらいみんな可愛くて、華奢。
少年漫画も痛い。だって女の子だいたい守られてる。
でもヤング系は嫌い。
あの馬鹿どもと顔が似てる人が沢山いるから。
剣道から帰ってきて、家に帰ると何度も何度も同じ漫画を読み返して、どうやったら2次元に入れるんだろうって真剣に考えてた。
中3最後の都大会の予選で事件が起きた。
熱が出たまま試合に行くこととなったこと。
今まで、試合の直前まで風邪はあったし、病み上がりの状態はあったのだけれど、熱のまま当日を迎えたのは小学生でまだ試合なれしてない日以来だった。
意識はぼーっとして、その狭い空間に吐きそうになる。
顧問からはとりあえず、都大会決めたら負けていいからそれまで何とか堪えろと。
わかったわかった。
会場で会う知り合いみんな顔色の悪さにぎょっとしてて、平気か!?と驚くくらいには。
何故かみんな私の都大会決めのボロボロの試合を見に来て、よかったよかったと肩を貸してくれた。
棄権は嫌とか思って、とりあえずアドレナリンも出て少しスッキリしてきたから、と次の試合もでて、散々な内容で負けて。
涙は全く出なかった。
顧問も何も言わなかった。
とにかく面を外して、水分。首に水のタオル当てて。
するとそこに警察の私対策を宣言したあのおばさんが立っていた。
ちょっとこい。
なんか半キレ気味で。
めんどくさいしダリィなぁ、とクラクラする中、後ろをついていき、人気の少ない階段の影に連れて来られて、そのおばさんが振り返った瞬間。
思い切り引っぱたかれた。
ーーーーは?
なんだあの試合は、
情けねえ試合しやがって、
恥ずかしいと思わねえのかよ
熱が引いていった。
顎が痛かった。
周りの目が一斉に私に向けられてた。
そんなことより
警察の道場、辞めよ。
初めて勝ちたいと思った瞬間と同じくらい強く決めた。
中学の私の1週間はこうだった。
月曜日 部活
火曜日 部活+顧問の道場
水曜日 部活
木曜日 筋トレ(ほぼ休み)+顧問の道場or警察
金曜日 部活
土曜日 部活+親戚の道場
日曜日 部活or大会or練習試合
週休二日を希望していた小学生の頃に比べたらよくやったと今は思うけれど、周りはもっとやってたらしい。
月、水、金の夜はウチに来たら?
と恋で騒ぐ道場の人から言われて、気が向いたら、と断った。
「うちの子たちの方が練習してるから。」
「今のうち天狗になってなさい。」
「生意気」
あの大会の副審のおばさんがそう言ってたらしい。
馬鹿だなぁ。その道場の恋バナ大好きな奴らは口軽いよ。
私に筒抜けなのに。
それなのに私の前では
「咲弥さんは強いから、是非練習来てね。」
うっせぇよババア。
あーもうホント。死にたい。
死にたいです。
生きたいから言ってるんだって言われることもあるけれど。
いや本当に今死にたい。
消えたい。
助けてと同意義だとは思うけれど、その救いは多分殺してほしい。
自分じゃ死ぬ勇気がないから。
誰かにかまって欲しいと思っちゃいけないんだろうか。
顧問が関係ない写真撮り始めたって、
かげでクスクス笑われたって、
強くなれるならいいよ。
最後の都大会。
個人戦で一つ一つ勝つ度に、顧問からこうだあーだと言われながらいつもみたいに立ってた。
ベスト16戦、勝って安堵したの。
そこでベスト8が決まったから。
そこの会場のトーナメントの1番上。
次の試合、会場を移るってなって。
顧問が審判に立つ会場を見たの。
延長10分以上してるらしい。
私の試合が始まっちゃう。
どうしよう、
先生、わたし、次なにしたらいいの?
はじめてだった。
指示すら貰えない、見て貰えない、理解者に。
他の誰でもない、その人が私を見ないことが確定した試合。
私は何も出来ずに、2振りで負けた。
私の中学公式戦の最後は東京都ベスト8でメダルと何もない終わりだった。
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