テラーノベル
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スマホカバー、財布、イヤホン、文房具。
彼女の持ち物に自分のメンバーカラーのものがどんどん増えていくのを眺めているのは嬉しいものだ。
「亮平くん、見て見て!」
そう言って〇〇が見せてきたのは、パステルグリーンのカーディガン。
「亮平くんの色だ!って一目惚れしちゃって、次の瞬間にはもう買っちゃってた笑
だからまだ試着してないんだけど……似合うかなぁ……?」
そう言って、カーディガンを羽織り 不安げにこちらを見る〇〇は、もう可愛いなんて言葉じゃ言い表せないほど愛おしくて。
内心悶えているのを彼女に悟られないよう、俺はいつものように笑いかけた。
『似合ってる。〇〇のために作られた服なんじゃない?って位に』
「それ凄く嬉しい……!ほんとに褒め上手だなぁ、亮平くんは」
『思ったことを素直に言っただけだよ?』
「亮平くんは素直すぎるの!もう、毎日ドキドキさせられっぱなしなんだから……」
視線を逸らして、赤くなった頬に両手を当てる仕草。うん、可愛い。俺なんかよりもよっぽどあざといと思う。
『もう、何でそんなに可愛いのかなぁ……
ねえ、ちょっとこっち来て?』
ソファに座って腕を広げると、不思議そうな顔でこっちにやって来る〇〇。トコトコ、という効果音がぴったりだ。
俺の隣に座ろうとする彼女の腕を引くと、ぽすん、と俺の足の間に収まった。
「わ、ちょっと、」
『隣よりも、こっちの方が近いでしょ?』
「ひゃ……っ、」
耳元で囁くと、びく、と肩を震わせた〇〇は俺を睨んだ。
一生懸命怖い顔を作ってるつもりなんだろうけれど、その目は微かに潤んでいて、睨まれたってちっとも怖くない。
『ほんと、かわいいなぁ……』
もはやダダ漏れの心の声を隠すこともせずにくすくす笑っていると。
「〜〜〜っ、もう、可愛いって言いすぎ……!」
そう言って振り返った〇〇は唐突に俺の頬を両手で挟むと、ぶつかるように唇を触れ合わせてきた。
「んっ……ふ……」
キスしてきたのは〇〇の方なのに、部屋に響く吐息はほとんど彼女のもの。
あえてこちらからは動かず彼女の様子を伺っていると、やがて、ちゅ、という音と共に唇は離れた。
さっきまでの強気な姿勢から一転、申し訳なさそうな顔をした〇〇が、そっと俺の唇に手を伸ばす。
「……私のリップ、ついちゃった。ごめん」
言われて、彼女の唇を見つめる。
いつも彼女のお気に入りである淡い色のリップで彩られているそれは、ほとんど本来の色に戻って、どちらのものともわからない唾液に塗れて光っていた。
彼女の色を乗せた唇で、少し意地悪く笑ってみせる。
『似合う?』
「……私よりも似合っててなんか複雑なんですが、」
『はは、何それ笑』
俺の唇に移った色を拭おうとした彼女の指をそっと掴んで止める。
『取らないで』
「え、でも、」
『〇〇が俺の色に染まってくれるのも嬉しいけど。
今日は俺のことも、〇〇の色で染めてよ』
「ちょ、なんか亮平くん変なスイッチ入ってない……!?」
『誰のせいだと思ってるの?笑
仕掛けてきておいてこれで終わりなんて言わないよね?俺、まだまだ足りないよ?』
ねえ、どんなふうに染めてくれるの?
そう囁くと、彼女は俺のせいで真っ赤に染まった顔を、俺の色のカーディガンの袖で隠して俯いたのだった。
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