“愛”
それはきっと素敵なもの。
触れただけで、嫌なことが全部吹き飛んで、
人々に幸せをよせるもの。
パパもママも愛があった
けれど、その愛は今からちょうど5年前…
崩れてしまった。
私は施設に渡された。
本当にパパとママは、私のこと、
愛してくれていたのだろうか?
私は分からなくなってしまった。
春 淡いピンクを身に付けた木と共に、
賑わいを見せる校門が私を出迎えた。
施設を出て、高校に進学した。
行くあてもなく、一人暮らしだ。
お金は元両親による親戚と、祖父母からちょくちょく頂いて生活している。
仕送りというやつで、野菜やらなんやら送ってくださるので、食費が少し楽ではあるので助かっている。
その分も、大人になったらきちんと返そうと思っている。
それが礼儀だろう。
でも今は、ある程度は自分でお金も稼がねばいけないので、アルバイトをしながら学校に通うことにした。
アルバイトと学びを両立させることは難しいとよく聞くが、私はそうはなかった。
私は昔からなんだって出来る人間だった、らしい。
私はただ言われたことを、こなしているだけのつもりなのだが、どうも人より優れている箇所が多いらしい。
でも、足りないのだ。
足りない。
私には愛が足りない。
愛が知りたい。
愛が知りたかった私は、いままで何度も人と関係を結んだ。
でも、中学の恋愛なんて所詮は
【付き合っている】
【恋人がいる】
っていう肩書きが欲しいだけのものだった
満たされなかった。
これじゃない、と何度も思った。
結局、中学じゃ愛を見つけることはできなかった。
賑わう校門をくぐって、先輩方からの歓迎のメッセージカードが飾られている廊下を通って、さっき確認した通りのクラスまで歩く。
「1-E」という看板を見つけ、ドアを開けようと手を伸ばす。
しかし、その手はドアにかけただけで開ける力は加わらなかった。
やはりこういう場面では緊張してしまう。
こんな私でも心臓がドクドクすることはあるのだ。
目をぎゅっと瞑り、覚悟を決める。
━━━━━━━━ガラガラガラ…