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なんて自然に言葉を交わしながら、そのままふたりで教室に向かっていくことができるんだろうけど····· 私と桧山は、そんなこと絶対に無理!
私たちがつきあっていることことは、もうとっくにクラスのみんなには知れ渡っていて、偶然一緒に教室に入っただけで、「スクープ! 夫婦そろって登校!」とひやかされてしまう····· うちのクラスにはそんなノリがあった。
クラス一お調子者のエイコーとか、それにのっかる委員長。
さらに、男子が勝手に作った新聞クラブ、放送クラブ、イラストクラブやなんかがあって、なにかというと、たちまちスクープネタにされてしまうのだ(ちなみに、花日、高尾もひやかされるけど、こちらはあまりに自然なカップルのため、ひやかされても比較的に落ち着いている)
自然に振る舞っているつもりでも、教室や廊下で、たまたま桧山と至近距離になってしまったその瞬間、なぜかぎこちない会話になってしまう····· そんなふたりだったから。
だからこんな時も、他の男子がいる中、わざわざ追いかけていって話しかけることはできなくて····· 私はただ後ろ姿を目で追いながら、桧山の歩いた道をなぞるようにして昇降口にたどりついたのだった。
下駄箱には、もう桧山たちの姿はなかった。
代わりに同じクラスの絵美ちゃんがいて、ちょうど靴を履き替えているところだった。
「おはよう、絵美ちゃん」
絵美ちゃんは私に気がつくと、ふんわりと笑った。
「結衣ちゃん、おはよう·····。あっ」
絵美ちゃんの視線は、私のスカートのすそに注がれている。
見ると····· こんなところに、いつのまにか泥はね。
「結衣ちゃん·····、そのまま」
そう言って、絵美ちゃんは真っ白なハンカチをさっと取り出すと、私のスカートにあて
「ハンカチ、汚れちゃう·····」