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「いいの、いいの。·····うん。これでシミにならないと思う」
そう言って、絵美ちゃんは満足そうに笑った。
スカートの泥は、本当に消えてなくなっていた。
その代わり、その泥は絵美ちゃんのハンカチに移ってしまったのだけれど。
「ありがとう」
「結衣ちゃんには、いつも助けてもらってばっかりだもん。それに·····」
そこまで言うと、絵美ちゃんはちょっとイタズラっぽい顔をした。
「桧山に泥はねのスカートなんて見られたくない·····よね?」
「絵美ちゃん·····」
「ふふっ」
私が思わず照れると、自分で言ったくせに絵美ちゃんも照れて、手を口元にもっていった。
でも、その絵美ちゃんのカーディガンのひじにも·····。
「あ」
私の視線に気がついた絵美ちゃんも、自分のひじを見る。
「あれ·····、私も泥はねしてたんだ」
絵美ちゃんは、すぐにまた自分のハンカチをあててトントン叩きながら、クスクスと笑い始めた。
「なんか、おかしいねー」
「あははっ、ホントだね」
絵美ちゃんにつられて、私も自然と笑ってしまう。
おもしろいとか楽しいとかじゃなくて、絵美ちゃんと一緒にいると、なんだかほっこりして笑顔になってくる。
絵美ちゃんって、そういう子だった。
そうこうしているうちに、他の子たちも次々に登校してくる。
いろんな学年、いろんなクラスの子たちが素通りしていく中、
「おっはよー!」
そう言って弾むように声をかけてきたのは、花日だった。