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「少しは落ち着いたか?」
黙ったまま首を縦に振る奈美。
ずっと下着姿のままで、色白の肌が細かく泡立ち、冷たい。
「身体、冷えてないか?」
「…………大丈夫……です……」
消え入りそうな声音で答える彼女。
「奈美ちゃん、顔を…………見せてくれないか?」
豪は彼女の名を呼び、懇願したが、奈美は顔を上げない。
「目が腫れぼったいし……みっともない顔をしているから、豪さんに見せるのは…………恥ずかしい……です……」
どんな表情をしていても、奈美を嫌いになる事はない。
「恥ずかしがらなくていい。俺はただ……君がどんな表情をしていても……顔が見たいんだ」
奈美への想いを言葉に乗せると、彼女は睫毛を伏せながらも、徐に顔を上げていった。
遠慮がちに手を伸ばし、奈美の頬に触れた後、豪は、瞳から零れ落ちそうになっている涙を、親指で優しく掬い取った。
目を伏せていた奈美が、どこか不安げに彼の眼差しを捉える。
豪に対して、不信感のようなものがあるのだろうか。
アーモンドアイは、今にも歪な形に変化しそうに見えた。
黒い瞳は揺れ動き、彼の視線を外そうとしない。
豪も、奈美の眼差しを受け止めるが、悲しい表情にさせてしまった事を申し訳なく思った。
奈美へのリクエストは、ただ、女の自慰に興味があっただけだ。
男は肉槍を扱き、白濁の欲を吐き出して終わりだが、女でも自慰行為をする人はいるという。
奈美も、そのうちの一人。
彼女が自身を慰め、どのように達するのか、知りたくもあった。
よく考えたら、男だって異性に自慰行為を見られるのは嫌である。
女だったら…………恥辱……いや、屈辱なのではないか。
軽はずみな気持ちでリクエストし、半ば命令するように奈美に言い放ち、挙げ句の果て、彼女を傷つけ、苦しませ、悲しませ、泣かせたのだ。