テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
恋愛シミュレーションゲームってあるじゃん。選択肢を選んで、攻略対象のキャラクターと恋愛していくやつ。
いわゆるギャルゲーとか乙女ゲー。
あれってさ、選択肢を間違えると意外とエグいエンディングを迎えたりするよね。
ヒロインがもう一人のヒロインにノコギリで首を切られたり、電車が入ってくる線路に突き落とされたり。これはちょっとだいぶ極端な例だけど。
現実はそんなに単純じゃないけど、選択をすることってやっぱりあるわけで。
しかもゲームみたいにやり直しも利かない。
努力して取り戻せることもあるけど、基本は一度した選択はもう消せない。
だからさ、いつも思い出すんだ。
あそこで選択を間違えなければ、きっと全然未来は違ったんだろうな。
多分一生後悔し続ける。何で正解を選べるくらい、強くあれなかったのかなって。
俺の後悔してる選択の話、ちょっと聞いて欲しい。
「…もう一回言ってくれる…?」
絶対聞こえてただろ。
だって、目の前の蓮の顔、青ざめて引きつってる。
そうは思ったけど、念押しの意味も込めてもう一度同じ言葉を口にした。
「俺と別れて、蓮」
「嫌だ」
「即答かよ。やっぱ聞こえてたんじゃん」
「何で? 意味が分からない。だってそんな素振りなかっただろ」
「そうだな…俺もこんなこと言うつもりなかったよ」
「たったら…っ!」
焦ったように声を荒げる蓮と、淡々と言葉を続ける俺。
だって冷静じゃないと、ちゃんと蓮を説得出来ない。
もうこれ以上、この関係を続けるわけにはいかないんだよ。
「…蓮はこれから大きな仕事が待ってて、きっともっと有名になる。そこに俺は必要ない」
オーディションを勝ち抜いた蓮は、海外での大きな仕事が決まった。海を渡るのはまだまだ先だし、まだ関係者のごく一部にしか知らされてない。
グループでの活動を休止するかもしれないと、そのくらいの規模の仕事だと聞いた時。俺の中で一つの決意が固まった。
蓮と、恋人関係を解消すること。
「必要ないなんて、そんなわけないだろっ! 俺が、俺がどれだけっ!!」
「落ち着けよ、蓮。冷静に、客観的に考えて。これから先、蓮がもっと有名になって世界でも名前が知られるくらいになったとして。その時に俺との関係が知られたら? マイナスでしかないだろ」
「…その時にならないと分からないよ」
「分かるよ。お前だって、本当は想像ついてるだろ? 俺は蓮の足枷にはなりたくない」
「だったら! 今すぐに佐久間くんとのことを公表する!!」
「…っ、そんなこと出来るわけないだろバカッ!!」
感情のままに叫んだ蓮に、負けないくらいの大声で叱り付けた。それがどういう意味を持つのか、蓮だって分かってるはずなんだ。
俺の怒鳴り声に、絶望的な顔をした蓮が項垂れてる。
その表情に心臓を切り裂かれるような痛みを覚えながら、表面は何とか取り繕って言葉を続けた。
「…俺は、蓮が好きだよ。心の底から愛してる。だからこそ、お前の手を離したいんだ」
「好き同士なのに手を離すとか…意味が分からない…」
「そうだな、そうかもしれない…。でもさ、蓮には俺のことなんて気にせずに、思うままに活動して欲しいんだ。『俳優・目黒蓮』は、俺の推しだから」
「…俺が欲しいのは、そんな『好き』じゃない」
ぽつりと呟くように漏れたその言葉は、もう最初の頃の勢いはなかった。
「それでもさ、メンバーで、後輩でもあるお前の道を俺は応援したいんだよ」
「…それは、どうしても別れなきゃ出来ないことなの…?」
「うん…出来ない。お前の邪魔にはなりたくない」
「………そっか」
そう言って顔を上げた蓮の表情を見て、一瞬息を呑む。
絶望と諦めばかりを湛えて、これまでに見たことないくらい昏い目をしていた。
背筋をひやりと冷たいものが通り過ぎる。
「…佐久間くんの気持ちは分かった。もう、引き止めても駄目なんだよね…」
「ごめん…」
「最後に、一つだけお願い聞いて。これで終わりなら、最後に一度だけ佐久間くんを抱きしめてキスしたい。佐久間くんの温もりと感触、俺に置いていって…」
「うん、いいよ…」
こくりと頷くと、蓮の両手が伸ばされた。最初に頬を撫でてきた右手が思いの外冷たくて、思わず身震いする。
やがて背中に回った両腕が強く俺の体を抱きしめてきて、俺も蓮の背中にそっと腕を回した。
蓮の体温も匂いも、抱きしめる腕の力強さも。俺も全部覚えていこう。
きっともう、誰かを好きになることはないから。
柔らかく重ねられた唇も、もう二度と触れることはない。
目の奥が熱くなったけど俺が泣くのは絶対に違う。耐えろ。
「…俺は、佐久間くんをずっと想ってるから……」
そっと唇が離れて、蓮が小さく囁いた。愛を囁くにしては、昏くて重い声。
「それは…止めろとは言えない…」
「止めろって言われても無理だし、それはいくら佐久間くんでも許さない。俺の想いだけは自由にさせて…」
「うん…」
どこか虚ろに呟く蓮の姿に少し不安を覚えたものの、きっと時間が解決してくれるだろうって思った。
「じゃあな…」と別れを告げて、俺は蓮の部屋を出る。
本当はこの時、気付くべきだった。
蓮の絶望と、諦念と、俺への想いの深さに。
気付いていれば、あんなことにはならなかったのに。
auswählen (アオスヴェーレン) はドイツ語で『選択する』です
またドイツ語かよ…w
自分にしては不穏な始まり方ですが、しばしお付き合いください
そして冒頭のエグいエンディングは一部では有名な某School Daysです。実は結構好きなんですごめんなさい…w
ちなみに強火言葉様派
コメント
2件
心が…苦しい😭😭 でもいい終わり方になると信じてます😭😭