TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

新たなトラブルが発生した。

八月のこの暑さで、モンスターの死体の山が家の前に転がっている。このまま、死体が腐ったらご近所中悪臭塗れになるのは、想像に難くない。

「モンスター一体の死体を手土産に運んでもらうように頼もうかな」

牧原は、モンスターの魔法少女に変身し、玄関を出る。玄関のカギを掛けると、護衛として犬モンスターを作り出す。再び黒髪の魔法少女へ変身しなおすと木戸へ向かう。木戸を開けて、一歩出て木戸を閉める。モンスターの死体を踏まないように上手く避けながら進む。適当なところまでくると、死体の山の端にある死体の足を持ち、引き摺りながら運び始める。

犬モンスターは、モンスターの死体を気にせずに牧原の後ろを付いて行く。


牧原は、引き摺りながら豊島第十高校へ向かってモンスターの死体を運ぶ。すると、魔法少女五人が近づいてくる。五人の内一人は、霧島であることに気付き、五人に手を振る。

五人の魔法少女たちは、牧原を発見すると近づいて来る。


「何やっているんですか! どのぐらい危険か、もう分かっているでしょう?」

霧島が出合い頭に行った。

「危険なのは分かっているけどね。家の前にモンスターの死体がいっぱいあるので運んでもらおうと思って。頼む為に高校まで行こうと思ったんだよ。この死体を運んでいるのはついでだね」

牧原はそう言うと、霧島は脱力する。

「用事があったら通話アプリで連絡くださいって言ったでしょ」

牧原は苦笑いを浮かべる。

「でも、死体の数多いよ」




牧原と霧島たち五人の計六人は、牧原宅までくる。

霧島たちは死体の多さに驚く。

「これ、牧原さん一人でやったの?」

霧島が聞く。

「殺したのかと言うと違うけど、原因を作ったのは僕だね」

「どうやったの?」

「同士討ちをさせたんだよ。モンスターの行列に作ったモンスターを投げ入れたら、行列を乱したモンスターが戦闘を始めてね。勝手に自滅していったんだよ」

「モンスターの魔法少女のモンスターにこんな使い方があるなんて思わなかったよ」

霧島の仲間の魔法少女の一人、大島が言った。

「使い方と言っても、モンスターが一ヶ所に集まっていないとできないからね」

牧原は釘を刺す。

「同士討ちさせるコツを分かっているみたいですね」

霧島が言った。

「うん。まあ。そうだね」

「だったら、ウチの高校まで来て、コツを教えくれませんか?」

「うん。全然かまわないよ」

交渉が済むと霧島はスマホを取り出すと、通話アプリで話始める。死体運びのノルマがを達成していない魔法少女を集めて、死体を運ぶように指示すると、電話を切る。

「死体運びのノルマなんてあるの?」

牧原が聞く。

「先生が勝手に決めたんだよ。前にも言ったけど、都知事に死体処理を多くやった高校から先に避難させてくれると言われたらしい」

霧島がそう答えると「うーん」と牧原は唸る。


牧原は、釈然としなかった。

都知事が、モンスターの死体処理を高校生に指示するなんてあり得るだろうか?

それに避難させないといけないのは、高校生だけでなく、地域住民も避難させないといけないはず。


「非常事態宣言なのに、生徒たちは登校してるの?」

牧原が聞く。

「登校していませんよ。いま学校に居るのは、土曜日に部活で学校にいた奴だけですよ。つまり俺たちは、土曜日から学校で寝泊まりしています」

「なるほど。解せないことがあるけど」

「解せない事って?」

「都知事が高校生にモンスターの死体の処理をさせるかなと思ってね」

牧原は怪訝な顔をして言った。

「モンスターの死体が道路にあると、緊急車両が走る邪魔になるからだそうですよ」

「緊急車両ねぇ。こんなにモンスターがいっぱい居るのに、パトカーも救急車も来ないのにね。自衛隊が救助に行くと言っていたけど、その気配が全然ない」

牧原が不満そうに言う。

「確かにそうですね」

そんな会話をしていると、霧島の電話に着信がある。

霧島はしばらく会話をしている。

「牧原さんに話を聞きたがっている奴がいるんですけど、モンスターを同士討ちさせるコツを教えてもらった後、そいつと話をしてもらえませんか? 相川って奴なんだけど」

「全然かまわないけど」

霧島はニッコリする。

「それじゃあ、学校まで来てもらえますか?」




牧原は、豊島第十高校の会議室に通された。

「校舎の中、結構綺麗なんですね」

牧原が言った。

霧島はニッコリする。

「平日に生徒たちで清掃を行っていますからね」

「そう言えば、僕が高校生の時も掃除やっていたな」

二人で雑談していると、三人の魔法少女がやって来る。

三人の内二人は顔見知りだった。一人は毒の魔法少女の白谷で、もう一人はモンスターの魔法少女の大沢だった。

「生徒会長の石田です」

綺麗な金髪のボブカットで、黄色を基調にした白のラインが入った和装のような服で綺麗な下駄のようなサンダルをはいた魔法少女が言った。

「初めまして。牧原です」

一同、それぞれ席につき話し出す。


牧原は、モンスターを同士討ちさせるテクニックについて丁寧に説明した。


「つまり、モンスターの隊列を乱し、モンスター同士の体が接触するように仕向ければ同士討ちを始めるわけですね」

牧原は頷きながら「そうです」と肯定する。

オッサンなのに頭に魔法石が降ってきたので魔法少女に変身してモンスターと戦って人助けをやってみた

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

63

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚