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及国
かきく(というか北一)仲良い
バレーは多分ほぼしてない
及・岩が小2
国・影・金が中2
影が(女子に)モテてる
国見side
変な子だな、とはじめの方は思ったことがある。
帰り道でほとんど一緒だったり、たまに俺を抜かしてきたり、ときには友達とひそひそ喋りながら帰ったり、信号で止まるとクリっとした瞳を、こちらに横目ながら向けてきたり。
それでも、時が経つにつれ、それは世間では普通なのだと、勝手に思っていた。
その子が現れるのは決まって下校時で、登校中は一度も見た事がなかった。
髪の毛は茶色っぽくて、左手から髪の毛が右にぴょんぴょんとはねている。
「おいかわ!」とか「とおる!」だとか言われているその子は、なんだかかわいげがあって純粋っていいなぁと癒される。
最近では結構な癒し…って疲れすぎだろ俺。多分、彼の名前はオイカワトオルくん。
初めは、見た目で女の子かと思ったけれど、声が男の子っぽかったし、『トオル』ってことは男の子かなー。みたいな…本当にただの偏見というか…なんというか。
そんな彼は、今日もいた。
金田一はなんかの係の仕事、影山は誰か忘れたけど誰かとバレーする予定だから走って帰るってすぐ教室一目散に出ていってしまった。
そんなこんなで、ぼっち下校なう。
国見ちゃん悲しいよー
そんな馬鹿なことを考えていると、うしろからパタパタと音が聞こえた。
横目で見てみると、『トオル』さん…?だった。
俺と反対側の隣には、よく見るトゲトゲ頭の肌が焼けている男の子がたっていた。
「っあの、!おにー…さん!」
かわいらしくて弾んだような声。
だけど、その声はどこか緊張しているようで、少し震えている。
「へ?え、俺…ですか…?」
「そぉ!」
まさか話しかけられるとは思っていなかったので、びっくりして敬語なうえに声が裏返ってしまった。
小学生相手とはいえ…というか、純粋であろう小学生だからこそ恥ずかしいと思ったけれど、彼はそんなこと気にしていないらしいかった。
「おにーさん!けっこんしませんか!」
「は、?」
急な爆弾発言にわたわたしていると、ふと、奥にあるマンションの物陰から、『イワチャン』と、いつも彼に呼ばれている子が顔を出した。
すごく真剣な眼差しで彼を見つめていて、顔はうずうずしていた。
そしてそんな彼の表情は、応援しているようにも見えた。
これ冗談でもなんでもなく、がちなやつか…
俺の恋愛対象は恋愛したことないけど多分女だけだとか、年齢が足りないだとか、年齢差ありすぎだとか、普通に法律的に無理だとか、どの観点から見てもこの子と結婚する未来は見えなかった。
けれど、直球に言うのはさすがに可哀想なので俺はオブラートに包んで言うことにした。
「…えっと、」
「とおる!」
名前は勝手に聞き耳を立てていただけだし、呼んでもいいのかとモタモタしていると、あちらから教えてくれた。
よかった…。
「と…とおるさんは、俺と結婚したいの…?」
「うん、さっきからいってる」
「…うーん…w」
ひとまず、歩道の車道とは反対側の端へ誘導した。
すると、子供に懐かれにくい俺にもトコトコと小さな足で着いてきた。
これを、壊してしまうかもしれないのが怖い。
「とおるさんと、俺が結婚することは…多分ないよ、ごめんね」
「じゃあ、おれがまいにちおにーさんにはなしかける!それでおれのこといっぱいしってね!」
どうしてそうなった。
「…うん、」
「おにーさ…じゃなくて、えっと、あの…おにーさんのおなまえ、しりたいな…」
首をこてんと傾けて、こちらを見る瞳は、陽の光を反射して、綺麗で透き通っているようだった。
「…くにみ、国見英」
「じゃあくにみちゃん!」
そう言って笑う顔はかわいらしかった。
小学生ながら、顔面偏差値の暴力がすごい。
「えへへ、くにみちゃんっ、またあしたはなしかけるね!ばいばい!」
そう言ってこちらを向いて大きく手を振るとおるさん。
「うん、ばいばい…」
癒しが増えてよかったのか、面倒くさいことに絡まれたのか、このときの俺にはわかるわけがなかった。
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