テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
芙月みひろ
#裏切り
537
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
Scene50(有莉澄視点)
景兎先輩の指先がわずかに震えているのが見えた。
その震えが、
ふいに近く感じられた。
「有莉澄さんに……」
その声だけで、
胸の奥が一気に熱くなる。
息を飲む音が、
自分でも分かるくらい静かに響いた。
景兎先輩はゆっくりと顔を上げる。
その目は、
もう迷っていなかった。
「あなたに……
好かれたいと思っていました。」
胸が跳ねる。
一瞬、呼吸が止まる。
「ずっと……
あなたにどう思われているのかが気になって、
返事を送るのも怖くなるくらいで。」
言葉が落ちるたびに、
胸の奥がじんわり熱くなる。
「でも……
もう隠すのはやめようと思いました。」
景兎先輩は小さく息を整え、
まっすぐこちらを見る。
「有莉澄さん。
あなたのことが……好きです。」
その瞬間、
時間がふっと止まったように感じた。
胸の奥が、
静かに、でも確かに震える。
期待していた“何か”が、
ちゃんと形になって落ちてきた。