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「 撮らせてください 」
⛄ BL
🖤 × 🧡
微🔞
🖤🧡 一般人パロ
ーー
🖤 side
俺の暇な人生を変えたのは、彼でした。
「 あ、あのっ……」
「 貴方を撮らせて欲しいです!! 」
最初は何言ってるんだって感じだったけど、暇だったからと軽い気持ちで乗ってみた。
手を引かれ、着いたと思ったら1枚撮って「ここじゃない」とまた違う撮影場所へ連れられる。
「も、もうちょっと右で……はいっ、そんな感じです!」
「じゃあ、行きますっ、は、はいチーズ…!」
カメラマンなのに、どこか恥ずかしそうに「はいチーズ」を言う。
彼の夢はカメラマンだそうで、その練習台として俺で撮らせて欲しい。との事。
撮られるのは少し恥ずかしい所もあるけど、俺を選んでくれたんだし。なにより、撮る度に褒められるから、嫌でも自己肯定感は上がる。
「ええなぁ…かっこいいです!」
「ほんま、素材が良ければどんな写真でもかっこええわ!」
ニコニコしながら写真を確認し、フィルターを掛けたりしている。
…いや、さっき撮影して「違う」と言ってたんだから、どんな写真でもでは無いでしょ。
俺はカメラはよく分からないけど、素人目でも全部凄いなと思う。いいと言った写真はもちろん、違うと言った写真も。
かっこいい写真だった。
これは素材とかじゃなくて、彼の腕前。
「じゃあ次、あっちへ行きましょう!」
また手を引いて、次の撮影場所へ。
もう、どれだけ走らされたか、正直あまりわかっていない。
されるがままに着いていき、彼の練習台となる。
「……あ、えっと、今からやる撮影方法、ちょっと嫌かもです」
「…どんな撮影方法で?」
詳しく聞いてみたらこうだそう。
アイドルやタレントの雑誌によくある、彼女目線からの写真。
俺はあまりそういうのは見ないけど、例にあげるのならば…手を繋いだり?
少し想像してみた、この後のこと。
彼と手繋いで、ファインダー越しに見られる。
シャッターを切り、そして、終わったらすぐ離す。
「……はい、その撮影方法でやってみましょう。」
いくら彼女目線の撮影でも、手繋ぐだけだし。
アシスタントとか思えば、何も思わない。
「おん、じ、じゃあ、手…失礼します……」
少し握りずらそうに手を握られる。
彼の手は、暖かかった。いや、人だから当たり前だけど。
なんか、そうじゃなくて。
「…手あったかいですね。」
「ほ、ほんまですか?……まぁ、心が暖かい人は、手も暖かいとか言いますしね」
クスッと笑いながら、撮影場所を微調整している。
無意識か、俺はそんな彼を「綺麗だな」って思った。
「じゃあ、行きます…3,2,1…」
彼も男と手繋いで気まずいのか恥ずかしいのか、カウントダウン方法が急に変わった。
突然なもんだから、俺は作り笑いじゃなくて、本当に笑ってしまった。
「わっ、この笑顔ええですね」
手をすぐ離し、カメラに添える。
満面の笑みで、OKを出された。
もう、彼と手を繋ぐことは出来ない。
「…次は、どんな撮影を?」
「次はどうしましょうか。…あ、スタジオとか借りて家デートとか!」
「俺、近くにええスタジオ無いか探しに…!」
「……ならっ!」
「俺の家、来ませんか?」
「へ…」
ーー
「お、お邪魔します……」
「はい、急遽なんで散らかってるかもですけど」
「いえいえ、とても綺麗ですよ。」
俺が家に誘ってしまったばかりに、彼に気を遣わせてしまっている。
カメラマンにとって、気持ちの変動は影響しやすい。
…カメラマンだけとは言わないけど。
でも、俺はそう思ってる。
「すみません、急に。…でも、貴方には、いい写真を撮って欲しいんです。」
「俺の、専属カメラマンとして。」
少し、いやだいぶクサいセリフかもだけど、俺の思ってることを伝えた。
これで少しでもいい写真が撮れればと思っての言葉だ。
名前も知らないような彼だけど、俺は見捨てられなかった。
「…あ、ありがとうございます」
「じゃあ、まずは…」
俺の部屋を見渡して、撮影に使えそうなアイテム等を探している。
その時、とある物に視線を落とした。
「あのマグカップ、なんで2つなんですか?」
「しかも、カップルが使うようなペアカップで…」
彼の指さすマグカップ。それはこの前、とあるショッピングモールへ買い物に行った時に福引券で福引した時に引き当てたものだ。
店員さんに「彼女さんとぜひ」なんて言われちゃったけど、彼女とかいないし作る予定もない。
「…あれ、使いましょう。彼女目線にはピッタリです」
「なら、コーヒー淹れます?」
「いいんですか?それはリアルでいいですね。」
その後、2つのペアマグカップにコーヒーを淹れ、数パターンで写真を撮られた。
どれも、カップルを連想させるような写真だ。
「おん、完璧ですっ!」
「……あの」
「はい?」
「名前、教えてくれませんか?」
「名前?ええですけど……」
「向井康二です。」
「向井康二さん……いい名前ですね。」
「ありがとうございます。…貴方は?」
サラッとした流れで、名前を聞き出すことに成功。
このカメラマンは、向井康二さん。
俺も向井さんに名前を教え、お互い苗字にさん付けで落ち着いた。
「目黒さん、これからもよろしくお願いします!」
「はい。」
向井さんは、俺の人生中の華だ。希望の花。
「……向井さんって、彼女とかいます?」
「彼女、できないんですよねぇ」
意外。向井さん、性格は明るいし優しいし、顔はかっこいいし、スラッとしてるし、モテるものだと勝手に勘違いしていた。
モテてるのかもだけど、恋愛避けてるのかななんて想像もしてみる。
話を聞き進めると、「カメラに没頭しすぎてチャンスを逃した」だそうで。
まあ、確かに、ここまで腕がいいカメラマンなんだし、この理由も納得ではある。
「そうなんですね、モテるだろうのに」
「それを言うなら目黒さんの方がモテるやろ〜」
クスクスと冗談めかしてそう言う。
「…冗談じゃなかったらいいのに」
「え?目黒さん?」
俺は、我慢ができなくなった。
悪い男だから、可愛い子を家に上げたらぐちゃぐちゃにしたい。
「ねえ向井さん。俺の事かっこいいって思いますか?」
「俺に抱かれるの、悪くないなって思いますか?」
「へ、あ、あの…目黒さん…?何を言って…」
「……返事を言わないならいいです、体に聞きます。」
向井さんの抵抗する口にキスをして抑える。
そのままソファに押し倒して、服を脱がした。
「んっ…あ、め…ぐろ…さん…」
キスしながら脱がすのは中々難しいので、指を咥えさせる。
上目遣いで、怖くもない顔で睨まれる。むしろ可愛いし、もっと俺の心に火をつける。
火に油を注ぐとは、この事だ。
「……」
「めぐろ、さんっ…?」
「すみません向井さん、おれ…」
ふと冷静になると、これはただの強姦だという事に気が付いた。
慌てて向井さんに服を返して、マグカップに残っている少し温いコーヒーを一気飲みした。
「目黒さん…も、もしかしてっ」
「……忘れてください、あれは…俺の一瞬の気の迷いです」
向井さんが何か言いたげだけど、それを聞く勇気は俺は、俺には、なかった。
強引にキスして押し倒して、服を脱がした。
途中で止めたけど、向井さんにはトラウマを植え付けてしまっただろうし。
「なんでっ…!なんで俺の話は聞いてくれへんの?」
「確かに、今俺は半ば強引にキスされて、押し倒されましたよ」
「でも、別に俺は目黒さんを引き離そうとしてないです……」
「そ、それって…」
言われてみればあの時。
押し倒して服を脱がせた時も、口以外はされるがままだった。
脱がせた時も、脱がせやすいように腕を動かしてくれてた。
「俺、目黒さんとなら何したってええ」
「手繋ぐのも、ハグするのも、キスするのも、ヤるのも…なんでも俺は、目黒さんとなら大丈夫です。」
微笑んで手を握ってくれる。
ワイシャツを羽織っただけのその姿はまるで、そういう雑誌のようだ。
綺麗。凄く綺麗。可愛いし、かっこいいし。
俺も、手を握り返す。
「向井さん、俺…」
「おん、俺もです」
「……付き合ってください」
「……よろしくお願いします」
向井さんとの1日。
最初は見ず知らずの男が「撮らせて欲しいです」なんて、急になんだって思った。
でも、軽いノリでそれに付き合っていると、カメラへの愛を感じられたし、恋愛なんてそっちのけでカメラを研究してる姿を見て、俺は心が惹かれた。
撮られるのは恥ずかしかったけど、いざ撮影したら向井さんが、そんなに?って思うほど褒めてくれて。
彼女目線の撮影の時も、手繋いだら手がすごく暖かくて。
「心が暖かい人は手も暖かい」って、ボケたつもりだろうけどそれがなぜか腑に落ちて。
俺が犯罪まがいなことを犯しても、優しく受け止めてくれて。
まさか付き合うだなんて思ってもなかったけど、俺は嬉しかった。
「これからもよろしくです、専属カメラマンさん。」
「はい、専属モデルさん。」
ーー
「目黒さんこっち!目線ください!」
「…はいOKです!ありがとうございますっ!」
「…流石向井さん、撮るのがお上手で」
「それほどでも〜…あったり」
「自己肯定感も高いようで」
「一言余計やわぁ」
数年後、俺はモデルに、向井さんはプロカメラマンになったり……ならなかったり。
ーー
これ連載化してもいいなぁ🤔
でも連載これ以上抱えるのもな🤦🏻♀️
割とお気に入り作品です☺️
一応🧡くんBIRTHDAY作品です!だいぶ時差ですけど💧
書き始めが23時とかで、徹夜して書きました。眠すぎるぅ><
結局遅れるんだったら寝て書けばよかったと後悔気味🌀
とりあえず終わりましょう、長くなってすみません。
スクロールお疲れ様でした🍵!
コメント
6件
ねえほんとすき
おーーっとまじかすごくすきだだだ
素敵じゃないですかーー🖤🧡🤦🏻♀️