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黒瀬 彰斗 @ ちょい休止
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#zmメイン
꒰ა 猫 ໒꒱
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shp「ぞ、むさん、…?」
扉が開くと同時に聞こえてきた、震えた声。
彼は涙をこぼしていた。
ゾムには、理由は分からなかった。
再会したはずなのに、何も感じない。
今この瞬間まで、散々と心配してきたのにも関わらず、ゾムの表情は変わらなかった。
ショッピはふらふらとゾムに駆け寄り、優しく抱きしめた。
shp「無事、でッ…何より、です…」
嗚咽混じりのショッピの声が、ゾムの耳に届く。
その声は、空洞と化した心にまで届いていた。
ぽろ、
と零れた一雫。それは、ゾムの頬を伝ってショッピの肩に落ちる。
shp「っ…?ぇ…?ぞ、ゾムさん…今、…」
ショッピの肩に微かな感覚が残る。
ショッピは困惑した。今まで、一度もゾムが泣いたことがなかったから。
初めての出来事に驚くと同時に、大量の疑問と『感情』が溢れ出してきた。
ショッピはゾムから離れ、真っ直ぐに目を見つめた。
shp「初めて、泣いたん?」
聞かれた言葉に戸惑い、自分の目尻を手で抑える。
自分で気がついていなかったのだろうか、初めて泣いていたことを知ったような表情を見せる。
なぜ泣いたのか、ゾム自身もよく分かっていない。
『人間に戻れなくなった有能な戦争兵器』として、ずっと存在していたから、泣いたのはもういつぶりかも分からない。
「生きて、た。、 良かっ た、」
片言になりながらゾムは呟いた。
そんな2人を見ていた鬱とトントンは、目頭を押さえて、泣くのを必死で堪えていた。
その後、2人を正式に迎え入れることを決めた。
兵士らにこの事は伝えていなかった。
彼らの反感を買いかねないことや、受け入れてもらえるのかが分からないことからの判断だった。
責任は2人との関わりが深いトントンが負うことになったが、
em「2人について…調べたいことが山積みやな、」
ut「リーダーとしてのサポートはさせて欲しいわ」
sha「戦い方とかはたがいに教え合いたいかな…」
幹部らは誰も否定的な反応をしなかった。
全員が歓迎した。
パソコンのタイプ音だけが響く、静かな部屋。
昼間から、エーミールは兵器2人の事を考えていた。
em「やっぱ可怪しいんよなぁ…」
タイピングの手を止め、ぽつりと独り言をする。
エーミールは情報収集に長けている。故に、軍の事は勿論、市内の情報や他の地区の情報や噂もよく知っている。
今までの研究所との対立で、兵器についての情報も大方まとまりつつあった。
そんな中で、彼ら2人という『変数』が加わり、まとまりかけていた情報が崩れ始めた。
エーミールはため息を一つつく。紅茶を一口味わい、また一つ、吐息を漏らす。
思考を巡らしていると、ノックもなしに扉が開いた。
「よっエミさん。また二人のこと考えてるんか」
軽く、明るく、シャオロンが声をかける。
二人のことを何も気に留めていないような彼の様子は、エーミールに羨ましさと安堵の気持ちを与えた。
sha「考えすぎも良くないで。気分転換に手合わせでもどう?」
em「…せやね。言う通りや。ちょっとは運動して、気を休めますか」
飲みかけの紅茶を口に流し込み、カップを優しく置く。
座っていた椅子からゆっくり立ち上がり、シャオロンと中庭に出た。
勿論、窓から直行で。
そして、エーミールは見事に惨敗して手合わせを終えた。
ゾムの部屋
「…なんで、泣いたんか、分かります?」
……?
「、あの時、何か思ったことって、ありました?」
……?
心配そうに、不思議そうに、ショッピが問う。その度に、ゾムは俯いて、首を傾げる。
二人だけの会話だけが聞こえる一室。
その会話は、一文だけで、返答のない単調な会話。
その会話は、一文ずつが重くて深い。
答えの出ない難しい問いから始まり、「分からない」の答えで終わる。
その一方的な会話は日常で、二人には当たり前のこと。
でも、此処では環境が異なった。だから、日常ではないことが、頻繁に起こる。
「な んで、 ここ…に、来れた の ?」
まるで言葉を覚えたての赤子のような話し方で、ゾムは問う。
それに驚きつつ、柔らかな笑みを浮かべてショッピはこう答える。
「人間の意志を模倣して、自我が芽生えたように見せかけて、捨てられる選択肢を選んだから。そこに、偶然優しい人が来てくれたから、助かって、また会えた。」
全部計算通り、何やけどな、と付け足して、
優しく微笑む。
ゾムに再会できたことが、それだけ嬉しいのだろう。
▷
ショッピは、感情をなくすという実験と五感を強める実験で失敗した。五感は逆に弱まってしまった。だから、近くの音しか聞き取れないし、目も所々ノイズがかかったように見える。触った感じ、食べ物の味、匂いすら、ほとんど感じ取れない。だが、機械なりのIQを持ち、機械なりの学習能力を持っていた。それは、他の兵器たちよりも何倍も優れていて、次第に人間の狡猾さを、賢さを身に着けていった。
それが、吉と出て、今に至るのだ。
それに対して、ゾムは感情を失う実験と、五感を強める実験の両方で成功した。実験への適応力が他の兵器と比べて非常に高く、多くの修羅場をくぐり抜けてきた。だから、戦闘能力や戦略的思考、パターンは身についていく一方で、言語能力、コミュニケーション能力は著しく低下していた。
傷つくことを不快に思うことが、強い刺激が脳を刺すような感覚が「痛い」ということだと、ショッピの教わるまで分からなかった。「苦しい」も、「羨ましい」も、全ての感情、戦闘以外の知識はショッピに教わったものだ。
▷
zm「ショッピ、は 頭、 良い やな」
片言で、ブツ切れの言葉。「誉め言葉」。
shp「ゾムさん、それは「誉め言葉」って言うんやで」
ゾムは、教わった新しい言葉を繰り返す。知識をインプットする。
shp「兵器になって、こんなに嬉しいのは二回目や」
ショッピはまた笑顔になった。
研究所にいた時の、無理に作っているような「苦しい」の笑いではないことは、ゾムにはすぐに分かった。
「ショッピ、 また…笑っ てる、」
ぽつりと呟いたその声は、聴覚が薄れたショッピの耳には届かなかった。
わこマリ。
一話目から段々と文字数が増えているのはなぁぜなぁぜ?
ここまで読んでくださる皆様に感謝感謝です。
ゾムショピの二人の設定が一気に公開されましたねー。
正反対設定めっちゃ好きなんすよ!!!!
正反対の二人なのに息ぴったりだったり、二人の価値観のずれで生じる喧嘩が書きやすくなったり、読んでいても見ていても楽しいからですね。ハイ。
あ、何?聞いてないって?好きを語って、何が悪い。
好きを主張することは良いこと。おたく(仲間)の皆さんがた、勇気を出して語ってみると、意外と共感してくれたりしますよ。
では、また次回。
おつマリ。
コメント
1件
わあ…第5話、本当に切なくて、心がぎゅっとなりました。 ゾムさんがあの瞬間、初めて涙をこぼした場面、すごく印象的です。「生きてた」って片言で呟くところに、彼の中で確かに何かが動き始めたんだなあと感じました。ショッピさんとの真逆だけど補い合う関係性も、設定としてすごく丁寧で好きです…!