テラーノベル
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これを使えば、天国で待つ母に顔向けできなくなるだろう。
けれど、構わない。
私はもう、とっくに地獄に落ちているのだ。
この魔法が終わり、すべてを焼き尽くせば──
「そうだ、それでいい。感情のままに、醜く、俺を殺しに来い!」
狂喜する父へ向かって踏み出そうとした私の肩を、強い力が引き留めた。
アルベルトだった。
「エカテリーナ……っ! ダメです、これ以上は……許容量を大幅に超えて、貴方が魔女化してしまう!」
「魔女化……?そんなの、どうでもいい……っ、私がどんな想いで、何を引き換えにここまで来たと思ってるの?母を奪われ、そして今、私はダイキリを殺した!!私が魔女になってあいつを倒せるなら、魔女にでもなんにでもなってやるわ……っ!」
私は、自分を引き留めるアルベルトを怒鳴り散らした。
彼を責めることに意味がないことなど分かっている。
けれど、今の私の内側で暴れ狂う黒い衝動を
誰かにぶつけなければ、その瞬間に私は破裂してしまいそうだった。
「エカテリーナ、一度魔法を解除してください……っ! まだ間に合います!」
「無理よ! あいつだけは、あの男だけは生かしておけない! 母や、ダイキリの命がもう二度と戻らないのなら、せめてこいつの魂をバラバラに引き裂いてやらなきゃ!」
「ですが二人で協力しなければ、このままでは貴方諸共……っ!」
「心配してるの? いつも事務的な人形でしかなかったくせに、今さら急に人間くさいこと言わないでよ!」
「それは……先程の魔法で、記憶が───」
「うるさい……っ!私がどうなろうと勝手でしょ!? あんたも私も、ただの人殺し…同じ穴の狢に過ぎないんだから……っ!」
私はアルベルトを乱暴に突き飛ばし、魔力を限界まで流し込んだ二丁のリボルバーを構えた。
そのまま、地面を蹴って宙へ跳ぶ。
重力すらも魔力でねじ伏せ、父・ブロンクスの眉間を目掛けて、一心不乱に引き金を引いた。
(早く、早くこいつを殺さなきゃ……!)
(ダイキリ……ごめんね、今すぐ終わらせるから)
叫びながら弾丸を撃ち続ける。
銃弾が尽きても、指は止まらない。
空になった薬莢を吐き出す音さえ聞こえないほど
私は魔力を直接、薬室へと流し込んで爆発させた。
「───っ!」
突然、背中に肋骨が砕けるような衝撃が走った。
父が放った魔弾の追撃。
体がくの字に折れ、視界が真っ白に染まる。
そのまま腐ったコンクリートの壁に叩きつけられ、私は大量の血を吐き出した。
「があっ……! はぁ……はぁっ……」
肺が押しつぶされ、酸素を求めて肺が喘ぐ。
骨が軋む音が脳髄を貫き、意識の端が暗闇に溶けかける。
それでも、指はまだリボルバーを、呪いの道具のように握りしめていた。
「エカテリーナ!」
アルベルトの声が響き、私の目の前に透明な結晶質の盾が展開される。
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