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#普通
野々さくら
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ありあ
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それから信愛は、霊貴冥孤の悪事を暴く作戦の第一歩を踏み出す様に、静かに皆を見回した。
「そうと決まれば、まずは予約だね」
茜が首を傾げる。
「でも、どうやって予約すんの?」
美月はすぐに答えた。
「それなら私が連絡先知ってるわ
累から無理矢理聞き出したから」
信愛は安心したように微笑んだ。
「なら問題ないですね」
すると朝陽が一歩前へ出る。
「なら僕が予約しますね?」
信愛は頷いた。
「うん・・・お願い朝陽くん」
その後、朝陽は美月から霊貴冥孤の店『冥府の館』の電話番号を聞き出し、その場でスマホを取り出した。
深呼吸を一つ。
慣れない相手との電話に、わずかに喉が渇く。
震えそうになる指で発信ボタンを押すと、数回のコール音の後、相手が電話に出た。
「はい、お電話ありがとうございます
冥府の館でございます」
朝陽は姿勢を正し、緊張した声で口を開く。
「あ、あの・・・そちらに霊貴冥孤
という方が居ると伺ったんですが?」
「はい・・・おりますが?ご予約の
お電話と言う事でよろしいですか?」
その返事に朝陽は小さく息をつく。
「あ、は、はい・・・」
「失礼ですが、当店のご利用は初めてですか?」
「は、はい・・初めてです」
「はい、ありがうございます
では、今お電話いただいている番号に
ショートメールを送らせていただきます」
朝陽は慌てて返事をする。
「は、はい・・・」
「そちらにURLが添付されていますので
そちらでご予約をお願いいたします」
「は、はい・・・分かりました」
最後に女性は丁寧な口調で締めくくる。
「では、ご来店をお待ちしております」
通話が切れる直前まで、朝陽はどこかぎこちないまま答えた。
「は、はい・・・」
通話終了の画面がスマホに表示される。
朝陽は「ふぅ」と息を吐いて肩の力を抜いた。
朝陽がスマホをテーブルの上にそっと置くと、皆の視線が一斉に集まった。
「ど、どうだった?予約できた?」
茜が身を乗り出す。
「なんかURLが貼られたショートメールが
送られてくるみたいでそのリンクを踏んだ先で
予約しろって言われました」
「なるほど・・・」
さくらは小さく頷く。
その時、朝陽のスマホが短く震えた。
画面には『冥王の館 ご予約の案内』というショートメールが表示されている。
「あ!来ました!」
焔垂が興味深そうに尋ねる。
「サイトはどんな感じだ?」
朝陽は画面をスクロールしながら答えた。
「えーっと、住所に氏名」
「生年月日と電話番号・・それから
家族構成を記載する項目があります」
さらに画面を確認し、眉をひそめる。
「全てに赤文字で必須って書かれてますね」
茜は思わず顔をしかめた。
「え?そんなに個人情報必須なの?」
すぐに肩をすくめる。
「まぁ、ちょっと前の大阪万博よりマシか」
焔垂は呆れたようにため息をついた。
「茜・・・偉い人に怒られるぞ
せめて『◯』使って伏せ字にしとけよ」
朝陽は気を取り直し、予約フォームへ入力を始める。
「とりあえず入力してみますね」
住所、氏名、生年月日、電話番号、家族構成、緊急連絡先などなど。
サイトの案内通りに必須項目を一つずつ埋め、最後に予約ボタンを押した。
数秒後、予約完了の画面が表示される。
「よし!出来ました!」
信愛が尋ねる。
「いつ?」
「えー・・・っと、来週の土曜ですね」
「一週間か・・・地味に長いね」
茜がぽつりと漏らす。
朝陽は予約画面の注意書きを見ながら説明した。
「サイトに書いてあったんですけど
一週間前からの予約しか
受け付けてないっぽいですね」
茜は首を傾げる。
「なんで一週間前限定?」
焔垂は腕を組み、静かに答えた。
「ホットリーディングの為の時間稼ぎだろうな」
「ああ・・・なるほどね」
茜も納得したように頷く。
その横で、美月が申し訳なさそうに朝陽へ視線を向けた。
「浦添くんごめんね・・巻き込んじゃって」
朝陽は穏やかに微笑む。
「気にしないでください、この霊貴冥孤は
一度はお母さんを標的にしたこともある人なんで
無視するなんて出来ませんから!」
さくらはくすっと笑った。
「相変わらずお母さん大好きだね」
朝陽は慌てて手を振る。
「マ、マザコンじゃありませんからね!?」
「ふふふ、そんな風に思ってないってば」
さくらは楽しそうに笑う。
すると美月が口を開いた。
「あと、当然だけど支払いは私がやるからね?」
しかし信愛は首を横に振る。
「その必要はありませんよ」
「え?でもさすがに教え子に支払――」
言い終える前に朝陽が言葉を続けた。
「だって霊貴冥孤は詐欺だって
暴くために行くんですよ」
美月は一瞬きょとんとした後、小さく笑った。
「あっ・・そっか・・浦添くんが行く日には
霊貴冥孤の悪事がバレる日だから・・・」
朝陽は力強く頷いた。
「そういう事です」
そのやり取りを見ていた茜が、美月へいたずらっぽい笑みを向ける。
「もしかしてさ?美月ちゃんって
意外と天然だったりする感じ?」
美月は耳まで赤く染めながら顔を背けた。
「う、う、うるさいわね」
照れ隠しのようにハンカチを取り出し、じんわりと滲んだ汗をそっと拭う。
その様子を見た部員たちは、思わず小さく笑みをこぼした。
◇ ◇ ◇
それから瞬く間に時は過ぎ、翌週の土曜日となった。
「いよいよですね」
朝陽は目の前にそびえる建物を見上げながら、小さく息を吐く。
信愛も静かに頷いた。
「うん・・・そうだね」
茜は建物全体を見回し、思わず感嘆の声を漏らす。
「てかさ?霊貴冥孤の店、意外とおっきいね」
「どっかの屋敷みたい」
茜の言う通り、霊貴冥孤の店『冥府の館』は、西洋の豪邸を思わせる重厚な外観をしていた。
赤レンガの壁にアーチ状の入り口、手入れの行き届いた庭木まで備えられ、その姿は占いの店というより、歴史ある洋館そのものだった。
焔垂は皮肉っぽく鼻を鳴らす。
「どうせ詐欺で巻き上げた金で建てたんだろ?」
さくらは苦笑しながら肩をすくめた。
「サイテー過ぎる」
朝陽は建物から目を離さず、静かに言う。
「でもその悪事も今日までですよ」
そして信愛へ視線を向けた。
「ですよね?信愛先輩」
信愛は力強く微笑む。
「その通り!」
一歩前へ踏み出し、美月へ振り返った。
「さあ行きましょう美月先生!」
美月は緊張した面持ちで建物を見つめ、小さく頷いた。
「うん・・・」
コメント
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×××さん、こんにちは!寺島あおいです🌷 第133話、読みました!朝陽くんが緊張しながら電話で予約取るシーン、すごくリアルで思わず「頑張れ」って心の中で応援してました。それにしても、家族構成まで必須って本当に怪しいですね…。でも、そんな悪事も今日まで!って皆で乗り込むラストの空気感、すごく熱かったです。朝陽くんの「お母さん大好き」発言にさくらさんが笑う場面とか、美月先生が天然なところを茜さんにツッコまれて照れてるシーンも可愛くて、ほっこりしました。いよいよ決戦っぽくなってきて、続きがすごく気になります!