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2 - 熱と鋭さと鈍さと ~後編~

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2025年05月04日

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阿笠博士の家を出ると、まだ朝の光が肌寒く感じた。

🧢「まったく、世話焼かせるやっちゃな」


ポケットに手を突っ込みながら、服部はため息混じりにつぶやいた。


熱で真っ赤な顔して、それでも「ありがとう」とだけは言いたそうにしてた。いや、たぶん言ってた。声は小さかったが、聞こえてた。


🧢「あほやな、あいつ」


そう思うと、自然と頬がゆるむ。


それにしても、まさか寝言で「蘭、ごめんな……」とか言い出すとは。あれを聞いたときは、さすがの服部も胸がざわついた。


強がりで、自分のことはいつも後回しで、他人のことばっかり気にする。あんな状態でも「蘭の心配」なんやもんな。


🧢「ま、らしいっちゃらしいけどな」


コンビニでポカリとゼリーを買い、薬局で解熱剤と喉スプレー、それからやたら高級そうな冷えピタも手に入れた。ついでに見つけた、子ども向けのプリンも一個。


🧢「子ども用でも味は一緒やろ」


再び博士の家に戻ると、コナンは少し目を覚ましていた。


👓「服部……」


🧢「おぉ、起きてええとは言うてへんぞ。口動かす元気あるなら、これ食えや」


プリンを差し出すと、コナンが眉をひそめる。


👓「なんだよそれ……子ども用じゃねぇか……」


🧢「お前、いまガキやろ。何を文句言うてんねん」


むくれたように見えるその顔も、平次にはもういつもの調子に思えた。


👓「熱は……?」


🧢「さっき測ったら37.9や。もうちょいで平熱やな」


👓「そっか……」


言葉が途切れ、静寂が戻る。


しばらくして、コナンがぽつりとつぶやいた。


👓「……ありがとな」


🧢「ん?」


👓「昨日さ、お前が冷やしてくれたタオル……気持ちよかった」


なんともないふうを装って言ったその一言に、服部は思わず目をそらした。


🧢「……そんなん、当たり前やろ。友達やんけ、俺ら」


それだけ言って、薬の袋をコトリと机に置いた。


🧢「しっかり寝て、ちゃんと治せ。治ったら──また勝負や」


👓「ああ」


布団の中で笑ったコナンの声が、昨日よりずっと元気に聞こえた。



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