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最後まで読んで下さってありがとうございました😊 妄想に妄想が重なって大変なことになっちゃうんですよね笑 ドルパロってなんですか?
お互いの姿が見えないってなんか良いですねえ、、今回の作品もとっても面白かったです!!毎回面白いの神過ぎますよ、、 もしよければリクエストよろしいでしょうか?ドルパロって可能でしょうか?
最終話になります!
よろしくお願いします!
スタートヽ(*^ω^*)ノ
『レトさん……綺麗だ』
思わず漏れた言葉に、キヨ自身も少し驚いた。
カーテン越しに感じる事しかできなかったレトルトが、今、目の前にいる。
その美しさに心を奪われ、自然と口から言葉がこぼれたのだ。
「……キヨくん……」
レトルトの低く震える声が、耳元に届く。
その囁きに、キヨの頬は自然と赤く染まり、胸の奥は甘く、痛く締め付けられた。
長い入院生活で、レトルトの身体はか細く、今にも折れてしまいそうなほど繊細だ。
けれどその儚さと同時に、妖艶さを湛えた存在感が、キヨの胸を深く刺した。
見つめるだけで、息が詰まるような時間。
手のぬくもりと、指先の震えが、二人の間に静かで濃密な空気を生み出す。
「キヨくん、あんまり……見ないで……恥ずかしい……」
小さく震える声に、キヨの胸がぎゅっと締め付けられる。
その言葉に耐えられなくなったように、キヨは握っていたレトルトの手をさらに強く引き寄せた。
そしてそっと、レトルトを抱きしめた。
か細く、繊細なレトルトの身体が、まるで儚く溶け込むように密着する。
抱きしめた瞬間、キヨはレトルトの小さな心臓の鼓動を感じた。
トクトク、と確かに生きている。
そして、自分の腕の中に、レトルトがいる――触れ合えている、愛おしいレトルトと。
『ずっと…ずっと…こうしたかった……』
胸の奥から溢れ出る想いに、自然と涙が頬を伝う。
その涙を感じ取ったのか、レトルトは優しくそっとキヨの頭を撫でる。
柔らかく、温かく、まるで抱きしめ返すように。
優しく頭を撫でていたレトルトの手が、ふっとキヨの頬に触れた。
その感触はあたたかく、柔らかく、初めて触れられた日のことを思い出させた。
レトルトと逢えない日々を孤独に過ごし、レトルトのいない空間に絶望した日々。
レトルトが帰ってきて声を聞いた瞬間の幸福感。思い出す情景。
あの日も、泣いていたキヨの頬をそっと撫でてくれた。
今、再びその手が触れた瞬間、キヨの胸はドキドキとうるさいくらいに高鳴った。
涙の余韻に湿った頬をそっと撫でる指先に、愛情と優しさが溢れていた。
そしてレトルトは、静かにキヨの顔を自分の方に向けるように手を添える。
キヨはレトルトの手に導かれて見上げる先には真っ直ぐに見つめるレトルトの熱い視線。
自然と視線が重なり、初めて真正面から見つめ合う瞬間が訪れる。
レトルトの瞳には、戸惑いと切なさ、そして確かな愛情が揺れていた。
レトルトの吸い込まれそうなほど美しい瞳に見つめられ、キヨの胸は早鐘のように打ち鳴った。
心臓が暴れるのを抑えきれず、呼吸も自然と浅くなる。
「……キヨくんが好きだよ。」
その一言に、世界が静止したかのように感じた。
温かく、柔らかく、しかし確かな力で胸の奥に届く言葉。
キヨの目から、自然と涙が溢れた。
『……俺も……好きだ……レトさん』
抱きしめる手も、握り締めた指先も、もう二人の想いを隠すことはできなかった。
その夜、二人は言葉とぬくもりで互いの存在を確かめ合い、初めて本当の意味で結ばれたのだった。
レトルトはそっとキヨの肩を押して、無理をさせないようにベッドへ座らせた。
その動き一つ一つに、キヨの足を気遣う優しさがにじんでいる。
そして、静かにキヨの膝の上にまたがるように腰を下ろす。
至近距離で見つめ合う二人。
窓から流れ込む月明かりが、レトルトの白い肌を淡く照らし出す。
光に包まれたその姿は、まるで夜に輝く月長石――。
透き通るように繊細で、それでいて神秘的な輝きを放つ。
息を呑むほどの美しさに、キヨはただ見惚れていた。
レトルトはキヨの膝にまたがったまま、ゆっくりと手を伸ばした。指先がキヨの頬をかすめる。まるで宝物に触れるように、壊れてしまいそうなほどの優しさで。
「……キヨくん。」
呼ばれただけで胸が高鳴る。
月明かりに照らされたレトルトの瞳は、吸い込まれるように澄んでいて、視線を逸らすことなどできなかった。
頬から首筋へ、撫でるように移動していくレトルトの指先。
その温もりに、キヨの心臓はますます大きな音を立てる。
言葉はなくても伝わる。
ずっと欲しかったぬくもりが、今こうして目の前にある。
自然に二人の顔は近づき、呼吸が重なる。
距離はもう、指一本ほど。
そして――。
静かな夜の中、二人の唇はそっと重なった。
柔らかく、優しい、初めての口づけ。
ずっとそばで、声だけを頼りに想い合ってきた二人。
ようやく触れられる温もりを腕に抱きしめ、確かめ合うように唇を重ねる。
『「あぁ、やっと……」』
心の奥で同じ言葉が響いた。
長い孤独も、見えない日々も、今この瞬間のためにあったのだと思えるほどに。
出会えた奇跡を、結ばれた喜びを、胸いっぱいに噛みしめながら――二人はただ幸せに微笑んでいた。
あなたは月長石のように、静かで柔らかく、とても温かい人でした。
終わり
長々とお付き合いありがとうございました!
今回は姿の見えない同士が恋に落ちるという設定で物語を書かせて頂きました。(心情などなど難しかったぁ😭)
月長石(ムーンストーン)の石言葉は、「健康」「幸運」「恋の予感」「円満」などが挙げられます。月の光を宿す神秘的な石として、古代から月の力を持つと信じられ、古来の伝説や言い伝えが多く残されている石です。
月長石とレトルトさんの人物像を重ね合わせて書いてみました!
感想など書いていただけると今後の励みになります!
リクエストも募集中ですヽ(*^ω^*)ノ
本当に最後までありがとうございました!