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31 - 乗り換えと分かれ路

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2022年07月25日

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あ、ここは……戻ってきたのか。いや、正確に言えばずっとここにいたか。夢見てただけだし。

闇に飲まれる病室で、時計の短針は2と3の間を指していた。瞼(まぶた)の裏が熱い。現実(こっち)でも泣いてたんだな……それにしてもあれは、まるで本当に父さんが現実に来て俺と喋っていたような感じだったな。夢は記憶の整理中に出てきた記憶の断片みたいなのでできるって聞いたことあるけど俺の中にあったものだけでできたとはとても思えない。父さんが最後まで力を貸してくれようとしてるのか?……


その日の朝日はどこか昨日より輝いて見えた。気分が晴れていると見える景色も違うというのは本当のようだ。

「あ、おはようございます!!今日はいつもより楽しそうな顔をしてるんですね。なにかいいことでもあったんですか?」

「え?あぁ、まぁ、はい。」

「私も記憶が戻ってスッキリ……ってわけにはいかないですけど、まぁ昨日よりいいかなって思います。」

「そうですか、まぁそれなら良かったです。」

一生懸命気まずくならないよう話してくれてるのにこんな返ししかできない自分がなんだか情けない……やっぱり自分を簡単に変えることはできないのだろうか?

それでも、変わろうと思わなきゃ変われない。それは今、確かに分かっていることだ……

うまく話せるか分からないけどもう少し自分から話題を出して見るか!!

「そ、そういえば東野さんは、もう退院するんですか?」

「え?あ、あぁー、まだ……ですけど、あと2ヶ月ほどで退院できるとお医者さんが言ってました。いくら記憶が戻っても怪我はあるので……」

「そ、そうなんですね……いやー俺はあと3ヶ月くらい入院しなきゃなので、東野さんの方が早いですね……」

「まぁびびたる微々たる差ですよ。それより、退院後はどうするつもりなんですか?」

「え?退院後、ですか?」

「はい、高校1年生の半分くらいは棒に振っちゃってるじゃないですか?なので、それを取り返すとかなにか決めてることがあるのかな〜と。」

「実は……まだ決めてないんです。でも……」



今の俺には、3つほど路がある。

一つ目は、今後も学校に行き、今までの学校生活を取り返せるように充実させることだ。これは一番堅実な生き方と言えるだろう。今後の人生においても役に立つことはほぼ約束されているレールだ。

二つ目は、学校には行かずにバイトをする、というものだ。しかしこれは、だいぶリスクが高い生き方だと言えるだろう。だが、お金を貯めることができるし、何より、社会経験をより多く積める。もちろん将来多少不利になるかもしれないが、選択肢としては十分にあり得るはずだ。

そして三つ目は、自分の夢を追いかける、ということだ。俺は、自分が弱いのは自分を守る術がないからだと思っている。じゃあ相手を倒すために護身術でも習うか?確かにそれもありなのかもしれない。でも俺は、争わずに言葉だけで解決したいと思う。なんせ言葉は人が神様から譲り受けた奇跡の力なんだから。そして、その言葉を操るためには知識が必要だ。だから俺は……弁護士を目指すというのも考えている。もちろん、それ相応の学力が必要だから、学校に行って勉強することになる。3つの中では一番過酷なレールになるだろう。


俺は……


「でも……きっと後悔しないように生きますよ!!」

「じゃあ、応援してますね!!頑張ってください!!」

「ハイ!!」


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