アクロバット

１週間ほどで、佐久間の足は治った。今回は酷くなかったから早く良くなった。念の為、テーピングして練習に参加する。

岩本は何も言わない。

目黒ー佐久間くん、足どう？

佐久間ーもう大丈夫。

目黒ー無茶したらダメだよ？

佐久間ーおぅ。

目黒ー岩本くんと話した？

佐久間ーいや、怒ってるみたい。

目黒ーいいの？このままで。

佐久間ーいつものことなのに、なんであんなに怒っているのか分からないし。

目黒ー心配なんだと思うよ？

佐久間ーでも、言い方あるじゃん、あんな風に怒らなくても。

目黒ー心配のあまりついって言ってたよ。

佐久間ーリーダーとしては当然だけど、もうちょっと、俺のこと考えて言って欲しかったかな。

今日はアクロバットの練習をする。

岩本は佐久間に言う。

岩本ー佐久間、出来るか？

佐久間ーん。

岩本ー気を引き締めてやれ、でないとまた、怪我するから。

佐久間ー分かったよ。

あんなに大好きなアクロバットも、今日は楽しくない。

萎縮してしまっている。

岩本は佐久間を見ていた。

あれでは、怪我してもおかしくない。

佐久間は岩本がそばで見てると怖いと思うようになり、いつもの調子が出ない。

あっと思った時には誰もが失敗すると思った。

そのまま倒れる佐久間を岩本が滑り込んで受け止める。

幸い、佐久間に怪我はなかった。

が、岩本が手首を捻ってしまった。

佐久間ー照！ごめん！

岩本ー気を引き締めてやれって言っただろ！

佐久間ーごめん。

深澤ー照、手首見せて。

岩本ーふっか、捻挫だと思うから湿布して？

深澤ー病院は行かないのか？

岩本ー大丈夫だ。

深澤ー照も佐久間もちょっと休憩してろ。

岩本は、スタジオで、皆んなを見ている。

佐久間は控え室に走って行ってしまった。