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GENESIS・収容区画
赤い警告灯が点滅する。
無数のカプセル。
その中には、Azによって捕らえられた能力者たちが眠っていた。
タジが端末を操作する。
「駄目だ。カプセルの生命維持装置とGENESISの中枢システムが直結している。」
イレイダが眉をひそめる。
「つまり、力ずくで開けたら中の連中まで危ないということか。」
「うん」
ソウヤが奥の巨大な通路を見る。
「だったら制御室を止めるしかないな」
千太も頷いた。
「ああ。ただ……ソウヤ」
「なんだ?」
「さっきから未来が安定しない」
千太の表情は険しい。
「ここに入ってから、何度見ても違う未来が見える」
ソウヤは自分の胸へ手を当てた。
レイもまた、GENESISに入ってから明らかに様子がおかしい。
最深部からの反応
ドクン――
突然。
ソウヤの心臓が大きく跳ねる。
「……っ!」
「ソウヤ!」
結衣が身体を支える。
その瞬間、ソウヤの意識は暗闇へ落ちた。
そこにレイが立っている。
(レイ……)
レイはソウヤを見ていなかった。
さらに深い闇を睨んでいる。
「近づいている」
(何に?)
沈黙。
「……まだ知らなくていい」
「またそれかよ」
「今知れば、お前の判断が変わる」
レイの声には、いつもの余裕がなかった。
「今は生き残ることだけ考えろ」
そこで意識が戻る。
能研
「ソウヤ?」
結衣が心配そうに覗き込む。
「ああ……大丈夫」
イレイダがソウヤを見る。
「レイか?」
「……うん」
ソウヤは立ち上がる。
「でも行ける」
惣一がしばらくソウヤを見つめる。
「無理はするな」
「分かってる」
惣一は全員を見渡した。
だが――
その瞬間。
惣一自身が何かを感じ取る。
「……?」
GENESISとは違う。
もっと遠い場所。
古く、禍々しい気配。
#鬱展開
Mist-404
1,165
mogyumogyuGemi
646
惣一の表情が変わった。
名取惣一
「どうした?」
イレイダが聞く。
惣一は答えない。
目を閉じる。
これは――
我々 に関わる何かかもしれない。
ソウヤが振り返る。
「名取さん?」
惣一は通信端末を取り出した。
「刹那」
数秒後。
声が返ってくる。
『惣一様?』
千藤院刹那。
「夢幻はいるか?」
『はい。一緒におります』
背後から別の声。
『どうされました?』
夜鳴鵺夢幻。
惣一は短く告げる。
「二人とも準備してくれ」
『……何かあったのですね』
「ああ」
惣一はGENESISの奥を見つめる。
「我々の問題だ」
離脱
通信を切る。
ソウヤが尋ねた。
「行くのか?」
「……ああ」
「GENESISは?」
惣一は少しだけ迷う。
これまで能研を率いてきた。
だが――
放置できない問題に直面した。
「イレイダ」
「…なんだ?」
「ここを任せる」
イレイダの目が細くなる。
「随分と勝手な話だな」
「悪いな」
しばらく二人は見つめ合う。
やがてイレイダはため息をついた。
「……行け」
惣一が僅かに目を見開く。
「お前らにしかできないことなんだろ?」
「ああ」
「だったら私がこっちをやる」
惣一は頷いた。
「頼んだ」
ソウヤが一歩前へ出る。
「気をつけてくださいね。名取さん。」
「お前らもな」
ここで道が分かれる。
能研と敵対するわけではない。
仲間を捨てるわけでもない。
ただ――
名取惣一には、名取家として戦わなければならない理由があった。
名取家・集結
数時間後。
山中。
惣一が到着すると、既に二人が待っていた。
千藤院刹那。
夜鳴鵺夢幻。
刹那が惣一を見る。
「お待ちしておりました」
夢幻は遠くの山を見る。
「……嫌な気配です。」
惣一も同じ方向を見る。
「感じるか」
「はい」
夢幻の表情から普段の余裕が消える。
「呪いとも違う」
刹那が静かに刀へ手を添えた。
「では――」
惣一が二人の前へ出る。
「ここからは能研の任務じゃない」
風が吹く。
「名取家として動く。」
三人が山奥へ歩き始めた。
この瞬間――
名取家の単独戦線が始まった。
一方・東京湾
ドォォォン!!
間宮トオルの身体が海上を吹き飛ぶ。
しかし空中で体勢を立て直し、再び障壁を展開する。
グランは静かに歩いてくる。
間宮は口元の血を拭った。
「恐ろしい人ですね」
グランは答えない。
後方にはマランとペイン。
マランはグランから離れず、戦況を見ていた。
「俺たちはどうする?」
グランは間宮を睨んだまま答える。
「今はこいつを潰す」
マランは頷く。
「分かった」
???・廃墟
その頃。
東京から遠く離れた廃墟。
Azの無人兵器が一人の少女を包囲していた。
十。
二十。
三十。
機械兵の砲口が一斉に少女へ向く。
少女は面倒そうに顔を上げた。
まだ十五歳ほど。
「……邪魔」
砲撃。
ドドドドドドッ!!
爆煙が少女を覆う。
だが――
次の瞬間。
煙の中から、小さな手が伸びる。
少女が指先で無人兵器へ触れた。
strāgēs――《破壊》
――ピシッ。
一機の装甲に亀裂。
それだけでは終わらない。
亀裂が内部へ走る。
装甲。
回路。
動力部。
接合部。
機体を構成するもの全てが、連鎖的に崩壊する。
バギィィィン!!
一機が粉砕。
少女は次の機体へ視線を向ける。
地面を蹴った。
小柄な身体が砲撃の隙間を抜ける。
掌底。
ただ触れる。
崩壊。
三機。
五機。
八機。
次々と機械兵が砕け散る。
最後の一機が少女へ主砲を向けた。
少女は真正面から砲身を掴んだ。
「だから……」
ミシッ。
「邪魔だって」
バギャァァァン!!
巨大な兵器が原形すら残さず崩れ落ちた。
静寂。
瓦礫の中央に少女だけが立っている。
彼女の名は――
練熊レン。
通称、
ネリクマ。
ネリクマは遠くを見る。
東京湾方面。
そして――
名取家が向かった方向。
「……なんか始まってる」
ネリクマはポケットへ手を入れる。
「行ってみよ」
誰に呼ばれたわけでもない。
命令されたわけでもない。
ただ、自分の意思で歩き出す。
GENESIS最深部
同時刻。
ソウヤたちは巨大な扉の前へ到達していた。
タジが表示を見る。
「この先が中央制御区画です」
イレイダが刀を抜く。
「開けろ」
扉がゆっくり開く。
ゴゴゴゴゴ……。
暗闇。
そして。
その奥から声が聞こえた。
「――待っていた。」
ソウヤの表情が変わる。
その声を聞いた瞬間。
レイが叫んだ。
「ソウヤ!」
「入るな!!」
「え――?」
直後。
バンッ!!
扉が閉まった。
ソウヤだけが――
扉の向こう側へ取り残される。
「ソウヤ!!」
結衣の声。
イレイダが扉を斬りつける。
ギィィン!!
しかし傷一つつかない。
暗闇の中。
ソウヤがゆっくり立ち上がる。
「……誰だ」
返事はない。
代わりに――
壁面に文字が浮かび上がった。
Transmigratio
ソウヤの目が見開かれる。
その下に、もう一行。
見覚えのない名前が表示される。
レイは沈黙していた。
ソウヤが呟く。
「レイ……?」
そして初めて――
レイの声が震えた。
「……まだ、早すぎる。」
GENESIS。
名取家。
マスタークラウン。
そして、動き始めた練熊レン。
それぞれの戦場が――
ついに別々の道へ分かれ始める。
第76話 完
コメント
1件
うわあああ第75話読み終えたよ…!!😭💦 もうね、ソウヤとレイの会話パートで鳥肌立った…「まだ知らなくていい」って言うレイの声が震えてて、何かヤバいことが起きてるって感じしかしないじゃんか…!惣一さんが能研から離れて名取家として動く決断したのも重いし、イレイダに「任せる」って言うシーンが熱すぎる😢 そしてラストのソウヤだけ閉じ込められて「Transmigratio」の文字と共にレイが震える声…「まだ早すぎる」って何!?もう続きが気になって仕方ないよ〜!!ネリクマも登場したし、それぞれの戦線がどう交わるのかマジで楽しみすぎる…!!✨