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私が幼稚園の時、叶芽(かなめ)という女の子か男の子か分からないような子がお隣さんにいた。幼稚園も同じで、同い年で、とても可愛くて、とても愛らしくて。私の憧れに近い存在だった。
でもその子が遠くに引っ越すと聞いて私は泣いた。なんで?なんであの子もついてかなきゃ行けないの?そう思った。
もうあの子に会えない気がして。遠い存在になるような気がして。だから泣いた。大人たちに迷惑かかるとか、あの子が迷惑だとか関係なしにわがままを言いまくった。
悲しい。辛い。嫌だ。叶芽と私を引き離さないで。嫌だ。…
そんなこと言ってもどうにもならないことくらい知ってた。分かってた。
「叶芽ちゃんと離れたくないっ。」
「雫(しずく)ちゃん、。」
叶芽が震えた声で、私の名前を呼んだ。それがまた辛くて、私は泣き止むことが出来なかった。
「ねぇ、、本当に行っちゃうの?そんなのやだよ。。」
「僕も嫌だ。でも、絶対また会いに来る。だからそれまで僕のこと忘れないで?僕雫ちゃんのこと忘れないから。」
「ぜったい?ぜったい会いにまた来てくれる?」
「うん。。ぜったいまた会いに来る。だから、約束しよ?」
叶芽は小指を差し出してきた。
「叶芽ちゃんのこと絶対、ぜっっったい忘れないから!」
そう言って約束を交わした。指切りなんて口約束に過ぎない。なのに、私はとても嬉しかった。また、また叶芽が私に会いに来てくれると信じてたから。
その口約束を忘れられないまま10年がたった。自分で言うのもあれだけど立派な高校生となった。友達もそれなりに出来た。でも、叶芽のことだけ忘れられない。たまに今どうしてるのかな?って考えてしまう。友達に相談しても皆口を揃えて
「「恋だよ!!」」
なんて馬鹿げたことを言う。幼稚園の頃からの憧れの叶芽ちゃんは、女の子だし、私が女の子に恋?そんなことないに決まってる。なんせ、あのとても可愛い女の子だよ?小さい子みんなのあこがれみたいな子だよ?そんなこに恋だなんて、ありえない!
そう思ってた。