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逃げる途中、翔と麻衣は街の裏通りへと入った。
周囲は薄暗く、どこから鬼が襲ってくるか分からない不安に包まれていた。
彼らは一刻も早く安全な場所を見つける必要があった。
「ここに隠れよう。」
翔は古びた倉庫を指差した。
ドアは錆びていて開けるのが難しそうだったが、今は隠れる場所が必要だった。
二人は倉庫の中に入ると、ドアをしっかりと閉めた。
暗闇の中、彼らの心臓はまだ高鳴っていた。
周囲は静まり返り、ただ二人の息遣いだけが響く。
「私たち、どうやってここから出るの?」
麻衣が小声で言った。
翔は周りを見回し、何か手がかりがないか探した。
すると、壁にかかった古い地図が目に入った。
「これ…もしかして、学校の地図?」
翔はつぶやいた。
「本当だ…!」
麻衣も目を輝かせた。
「それなら、学校の出口がわかるかも!」
翔は地図をじっと見つめ、脱出経路を考えた。
地図の隅に小さなマークがついており、それが秘密の出口である可能性があった。
「ここに行こう。おそらく、他の仲間も同じように考えているはずだ。」
翔は自信を持って言った。
彼らは倉庫を出て、学校へ向かうことにした。
道中、二人は周囲の様子を気にしながら、静かに歩を進めた。
しかし、心の中には不安が拭えなかった。
仲間が次々に捕まる中で、彼らが安全に脱出できるのかという疑念があった。
「翔、あの鬼は一体何者なの?」
麻衣が尋ねた。
彼女の声には恐怖が滲んでいた。
「わからない。でも、鬼ごっこのルールを考えると、普通の生徒ではないと思う。何か特別な理由があるはずだ。」
翔は思いを巡らせた。
「もしかしたら、学校の過去に関係があるのかもしれない。」
麻衣が言った。
翔はその言葉に考え込んだ。
鬼が何者なのか、そしてなぜこの鬼ごっこが始まったのか。
その真相を突き止めなければ、彼らが生き残ることはできないかもしれない。
学校に近づくと、静寂が広がっていた。
普段の賑わいとは全く違い、異様な雰囲気が漂っていた。
二人は慎重に校門をくぐり、周囲を警戒しながら進んだ。
「こっちだ、地図のマークはこのあたりにあるはず。」
翔は道を選びながら言った。
彼らはゆっくりと廊下を進み、地図を頼りに目的の場所を探した。
その時、突然、後ろから声が聞こえた。
「おい、そこの二人!」
翔と麻衣は振り返ると、そこには見知らぬ生徒が立っていた。
彼は冷や汗をかき、怯えている様子だった。
「鬼が来る!早く逃げろ!」
彼は叫び、逃げていった。
翔はその言葉に驚き、急いで後を追った。
「待って!どこに行くんだ!」
翔は叫び、彼を引き止めようとしたが、男の子は走り去ってしまった。
「翔、行かないほうがいい!」
麻衣が止める。
「でも、彼が知っていることがあるかもしれない!」
翔はそのまま追いかけた。
そのまま男の子を追ったが、すぐに彼の姿を見失った。
周囲は静まり返り、再び不安が胸を締め付ける。
翔は廊下の奥へと進み、ついに一つの部屋に辿り着いた。
ドアが少し開いていた。
「ここは…?」
翔は思わず立ち止まった。
中から微かに声が聞こえる。
「助けてくれ…」
それは先ほどの男の子の声だった。
翔はすぐにドアを開け、部屋の中に入った。
部屋には、数人の生徒がいた。
その中には、智也の姿もあった。
彼は倒れ込んでおり、まるで意識を失っているかのようだった。
「智也!智也!」
翔は彼に駆け寄ったが、その瞬間、彼の目の前に立ちふさがったのは鬼だった。
「お前も捕まったか…」
鬼は冷笑し、翔を見つめた。
「何者なんだ、お前は!」
翔は鬼に立ち向かおうとした。
「お前たちの恐怖が、私の力の源だ。絶望するがいい。」
鬼は低い声で言い放った。
翔は心が震えた。
鬼の言葉は、彼の恐怖を増幅させていく。
周囲には智也や他の仲間の目があるが、彼らを救うためにはまず鬼と戦わなければならなかった。
「仲間を離すことはできない!」
翔は強く叫び、鬼に向かって突進した。