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台風が近づいたから急いで帰ろうとしたら、服が置いてある部屋に鍵がかけられちゃった! 明日まで待つ? うーん、それもなー。ええい、このまま帰っちゃえ。台風だから、どうせ誰もいないよね? そう思って帰り始めたんだけど……。
……あれからどれくらい歩いただろう。スマホがないから、時間はわからない。ただひたすら歩くしかなかった。服もなく、傘もない。まだ季節が夏でよかった。冬だったら凍えてしまっていたかもしれない。やがて前方に明かりが見えてきた。
そこにあったのは大きな廃墟のような建物。明かりは街灯のもので、建物には電気もついていない。
「あのー……」
恐る恐る声をかけてみる。返事はなかった。……まあいいか。今は少しでも屋根のある場所で休みたい。建物の中に入ると、床にはガラスの破片や木片などが散らばっていた。かなり荒れ果てている。うーん、少なくとも明るくなるまでは、ここで休んでいようかな。だけど、そうしたら誰かに見つかっちゃうかもしれないんだよね……。でも仕方ない、朝までここで待とう。
幸い、明るくなるころには台風もおさまってきた。……でも、裸で帰る私にとっては、まずいかも。……んー、このまま帰ろうか。……うん、そうだね。そうしよう。誰にも見つからないといいけど……。
「あれー、お姉ちゃん、なにやってるの?」
「えっ!?」
びっくりした。いきなり後ろから話しかけられた。振り返るとそこには小学生ぐらいの子どもたちがいた。
「お姉ちゃん、なんで裸なの?」
「あー、いや、その、これは、ちょっと事情があってね」
「ほんとだ、すっぽんぽんだよ!!」
「ねえ、お姉さん、なんで裸なの? なんでなんで?」
「そ、それは、その、いろいろあるんだけど」
「裸でお外歩いちゃいけないんだよ」
「なんで? なんで? なんでなんで?」
「ちょっと、静かにしてくれないかな。お願いだから!」
私は必死に懇願するが、子どもたちはさらに騒ぎ立てる。
「あっ、わかった。お姉さん、変態さんだよ。だって、こんなところで全裸になってるもん」
「きっと露出狂だよ。ほら、ここ見てごらんよ。この人、パンツ履いてないよ」
「やっぱりそうだよ、露出狂さんだよ」
「本当だ! うわー、本物の露出狂だ! どうしよう! 警察に電話しないと! 110番だ!」
子どもの一人が携帯電話を取り出して電話をかけようとする。
「ちょ、ちょっと、待って。それは勘弁して。なんでも言うこと聞くから、警察だけは呼ばないでください。お願いします」
私が頼むと、
「へぇ~、なんでもいうこと聞いてくれるんだ。じゃあさぁ、僕たちのおもちゃになってもらおうっと。いいでしょ? ねぇ、みんな?」
「おおっ! それいい考えだね。賛成だ!」
すると、一人の男の子が言った。
「じゃあ、まずは写真撮らせて! この人の全裸の写真を撮りまくってネットに流せば、きっとお金もらえると思うんだ」
「おっ、いいね。そうしよう! いいアイディアだ! そこに立って。早くしろよ!」
「え? いや、そんなこと言われても……」
どうすればいいんだろう……。でも、逆らうと本当に警察に通報されてしまいそうな気がする。……こうなったら覚悟を決めるしかないか。……私は立ち上がって、両手を広げながら、できるだけ堂々とした態度をとるように心掛けた。パシャッ!
……うぅ、なんかすごく恥ずかしい。……しかもフラッシュが光ったら、よけい目立っちゃう……。それからしばらくの間、私は子どもたちの玩具となった。
……しかし困ったことに、子どもたちは私の身体を触りたがるのだ。私はさんざん胸を揉まれたり、アソコの毛を引っ張られたり、その姿を写真にとられたりした。……ああ、もう、なんて屈辱的なの……。
「あ、もう行かないと。じゃあね、お姉さん」
「バイバーイ」
「また遊ぼうねー」
そういって、子どもたちは嵐のように去っていった。ふう、ぼやぼやしていたらまた見つかっちゃう。急いで帰らないと。幸い、その後は誰にも見つからず帰ることが出来た。
……あの子たち、写真をネットに載せてないといいけど……。(終り)