コメント
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最高です!
「…うるっせぇな…」
…よく掛けられた言葉。
もう聞きたくもない声。
なんでまた…?
「…なんでこうも言うこときかねぇんだよ!」
そりゃあな。
お前が扱い酷いんだよ。
「この犬すぐ吠えるし暴れるし…
猫は噛むし威嚇するし…!
聞き分けの悪い奴にはこうだッ!」
((ドカッ…
「ギャンッ!」
やめろ…莉犬に手を出すんじゃない…ッ!
「シャァァ!!」
「ッ…!反抗しやがってッ!」
((ドカッ
俺は蹴られて…頭を打ったみたいだ。
「さとみくんッ!!((ポロポロ」
ずっと莉犬が俺を呼ぶ声が聞こえる。
でも、体は思うように動かない。
そうだ…あの時もこうだったなぁ…
あいつ…前の飼い主に捨てられた時。
最初はこんなじゃなかった。
俺たちが小さい頃はすごく可愛がってくれた。
…ただ。
2年くらいたった頃だろうか。
だんだん扱いが酷くなってきたんだ。
気に食わなければ蹴る、殴る。
ご飯は最小限の量で、常にお腹が空いていて…
どうしてこうなったんだろうか。
気がついた頃には、外のダンボールの中だった。
その日は雨が降っていて、少し肌寒かった。
「さとみくんッ!!良かった…」
その声を聞いて、俺も安心した。
莉犬は、俺よりもずっと酷い扱いをされてきた。
こんなにも健気なやつなのに…。
でも、決めたんだ。
これからは絶対に莉犬を守るって。
これ以上…辛い思いはさせないように。
俺も…もう思い出したくなかったのに…。
…嫌な夢だ。