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小話⑤ 涼子さんとさく美ちゃん その2
※しっかりと💙❤️が出て来ます。
side ❤️
「それじゃ、行ってくるわね」
「おう、気をつけて」
「・・・そういえば、翔太も今日出掛けるって言ってたわよね?」
「あぁ、昨晩部下から連絡きて、軽く飯行ってくることになったわ」
「そう、あまりお酒飲み過ぎないようにね」
「いや、昼飯だし酒は飲む予定ない。あ、でも全然こっちのことは気にすんなよ。」
毎日の夫婦の会話。
今では当たり前の会話だけれど、最初は何を話すにもお互い照れてたっけ。
彼は営業部長として、私は会社の清掃員やら何やらで大きな枠組みでは一緒の会社で働いているけど、関係性は一部の人間にしか知られていない。
理由は色々あるけど、1番の理由は翔太がプライベートを開けっぴろげにするのが嫌がるから。照れ屋なのよね、昔から。
こんなことを思い出したのも、今日のお出掛けの相手、さく美ちゃんがきっかけ。
目黒くんに一目惚れしている彼女。
普段はしっかりしているのに、周りが見ても分かるくらいに彼がいるとソワソワし出すから可愛いったらありゃしない。
本人は隠してるつもりなんだけど。まぁバレバレよね。
当の目黒くんも何にも気付いていないし、何なら彼は彼でさく美ちゃんを目で追ってるし。
何この少女漫画って感じ。
『あのっ涼子さん..お願い聞いてもらえますか?』
先日、そんなさく美ちゃんからお誘いがあって、今日のお出掛けが決まった。
「あ!涼子さん!」
「さく美ちゃん、こんにちは」
待ち合わせ場所でブンブンと大きく手を振るさく美ちゃん。
「今日お休みなのに、ありがとうございます」
「さく美ちゃんもね」
「旦那さん、寂しがってなかったですか?」
「そういうの寂しいって思う人じゃないから。今日は夫も予定あるみたいだし」
「それなら良かったです」
目的地へ向かって会話をしている短い間も、感情豊かなさく美ちゃんは色んな表情を見せてくれる。
こういうところが、人を魅了するんでしょうね。
目黒くんも、他の人も。
お店に着いて、お互いの他愛もない話をする。それとなく、目黒くんの話をしてみても、上手くはぐらかされる。
さく美ちゃん、今日目黒くん関連の話してくると思ったんだけど・・・
敢えて避けてるようにも見える。
これは、私が切り出さないとただの楽しい食事で終わってしまう。
「ねぇ、何かあった?」
「・・・ぁ、やっぱり変でしたよね、わたし」
「元々相談したいって話だったじゃない?避けてるように見えるんだけど・・・」
「あー・・・まぁ」
大きな黒目がキョロキョロと左右に動く。
ROY

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みむら
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「あの、今日本当は・・・涼子さんみたいな大人の女性になるにはどうしたら良いのかってアドバイスを貰いたかったんです・・・」
この間、ありのままのさく美ちゃんで良いんじゃない?って言った気もするけど・・・。
他人がそう言っても、自分ではそうはいかない。分かる気がする。
「でも、ちょっと状況が変わって・・・」
そう言って、みるみるうちに赤く染まっていくさく美ちゃんの頰。
「前話をしていた人に・・・告白されまして・・・」
「え、目黒くんに?」
「ふぇ!?」
あ、まずい。驚いて思わず名前出しちゃった。
「あれ・・・バレてました・・・?」
「えぇ、そうね・・・」
さく美ちゃん、分かりやすいから・・・
バレてないと思っていたのか、顔から蒸気が出るんじゃ無いかってくらい赤面して俯いてしまった。
「あ、でも、多分気付いてるの私だけだと思うから・・・ほら、女の勘で」
翔太も気付いてるし、ラウールくんも気付いてるっぽいけどそれは言えない。
「それよりも、良かったじゃない。好きな人に告白されて。両想いで1番楽しい時でしょ」
「私、告白されたことないから・・・どう振る舞ったら分からなくて、まだ返事出来てないんです」
「えぇ、うそ」
貴女、周りの数名からすごく想い寄せられてますけど・・・。鈍感中の鈍感なのね・・・
「私、すごく独占欲が強いの最近知って・・・。目黒さんと付き合えたとしても、私のそんな一面知ったら嫌いになるんじゃないかと思うと不安で・・・」
嫌われるくらいなら、付き合わない方が・・・としょんぼりしている。
鈍感だし、自分に自信があまりにも無さすぎる。
「2人がお互いに嫌って思うことはちゃんと話し合っていけばいいんじゃない?さく美ちゃんは、最初から怖がり過ぎ。そんなあれこれ考えて、他の人に目黒くん取られちゃったらどうするの?」
「それはいやです・・・」
みるみるうちに眼の表面に薄い涙の膜が張っていく。
でも、この子の背中を今押さないといつまで経ってもこの恋愛にウジウジ悩むことになる。
「じゃあ、そんな嫌われるとか思わないで、素直に気持ちをぶつけなさい」
「うぅ・・・はい」
「もし、結果的に上手くいかなくても、さく美ちゃんの貰い手なんていくらでもいるから」
「・・・?」
「・・・ごめんなさい、こっちの話」
当初の予定から大分話がずれてしまったけれど、このウジウジちゃんのネガティブな妄想を全て正して、自信を付けさせる為にさく美ちゃん自身がどれだけ魅力的かを刷り込んだ。
側から見ると相当変な女だったと思う。
「それじゃ、さく美ちゃん明日頑張ってね」
「・・・はい。がんばります・・・」
出社の日に結果を聞くからね!とほんのちょっとだけ圧をかけて、さく美ちゃんと別れた。
-ところで、全く気にして無かったけど、翔太は誰とご飯行ってるのかしら。
家の最寄駅に着くと、翔太も帰るタイミングだったのだろう、ラフな格好をした翔太が改札を出るところだった。
せっかくだし声を掛けようとしたら、聞き覚えのある声が。
「部長、休みの日にありがとうございました」
「いーよ、まぁ・・・その、頑張れよ」
「はい」
あの長身で黒髪は・・・
目黒くん!?
見覚えのある後ろ姿に、思わず身を隠してしまう。
別に隠れなくても良かったのだけど、会社で公言してるわけではないから、つい癖でね。
翔太に相談したいって声掛けたの、目黒くんだったのね・・・
上司を見送って、相変わらず真面目。
目黒くんは手を振る翔太にペコっと軽くお辞儀をして、少し駆け足で電車に乗り込んだ。目黒くんが電車に乗ったのを見届けた後、翔太に近付いて声を掛けた。
「翔太」
「ぅおっ・・・あ、涼子か」
「目黒くんだったのね」
「見てたのか。まぁ、あいつも色々悩んでるらしくてさ」
いやー、青春だわー、とニヤついている。
きっと、さく美ちゃんとのことを相談されたのだろう。
「・・・で、良いアドバイスは出来たの?」
「もうバッチリよ。人生の先輩としてバシッとアドバイスしてやったわ」
「そう・・・」
なんだかんだで面倒見が良くて、頼られたら全力になる人。
昔から変わらないこういうところ、本当に好きだなぁと感じる。
「涼子の方は?」
「さく美ちゃんがウジウジちゃん過ぎて、とりあえず発破かけてきたわ」
「おぉ、こえーな」
「私たちが出来るのはここまで、温かく見守ってあげましょ」
「そーだな」
翔太が目黒くんに何をアドバイスしたのかは敢えて聞かない。
沢山選択肢がある中で、何を選ぶのかは自分次第だから。
相当良いアドバイスをしたのだろう、上機嫌の翔太を見て小さく笑っていると、ふいに繋がれた右手。
人目のつくところでは頑なにそういう分かりやすい行動を取らないから珍しい。
「・・・?」
期待した反応じゃなかったのか、拗ねた表情をする翔太。
照れたほうが良かったかしら。
「なんか目黒見てて、昔の俺を見てるみたいでむず痒くなったわ」
「そうだったっけ?」
昔から飄々としてて、目黒くんみたいに恋焦がれてる風には見えなかったけど。
「男は格好つけたい生き物なんだよ、好きなやつの前ではな」
お前も大概鈍感だったからな、と翔太は目を合わさずにそう言った。
(耳、真っ赤・・・)
普段そんなこと絶対言わないのに。
翔太も私も、目黒くんとさく美ちゃんにあてられたのか、家まで互いの手を離さずにいた。
💙❤️さんの話を何処かに入れたくて、ここに捩じ込んでみました。
お気づきかもしれませんが、何話か前から小話のはずが結構な長さになっています・・・笑
🖤🩷メインの話が本編、巻き込まれている人達の話が小話のつもりで読んでいただけると嬉しいです。
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