「遅れてすみません、新しいドームの人事、今日から合流です」
扉が開いた瞬間、空気が変わった。
重く、圧倒的で、肌が粟立つようなプレッシャー。理性が警鐘を鳴らす。ミンジュの体が反射的に引き締まる。
──SSクラス。
彼の名は、チョン・ジョングク。
BTSの中で唯一、公式に登録されていない“最上級Dom”。
その存在を前に、ミンジュの抑制されたバースが軋む。拒否反応ではない──本能が呼び合っていた。
「…あんた、誰?」
冷たい目で睨んでくる彼に、ミンジュは微笑む。
「マネージャーの、キム・ミンジュです。あなたは?」
「…チョン・ジョングク」
その瞬間、彼女は直感する。
逃げられない。
この男には、自分の正体を隠しきれないと。