翌日、イレブンはセーニャに手紙を返すべきかどうか迷いながら登校した。セーニャが手紙に込めた想いを受け止めて、何か自分も伝えたくなったからだ。でも、どうしたらいいのか少しだけ考えてみても、うまく言葉が出てこなかった。
授業が終わり、イレブンは再びセーニャに声をかけた。「セーニャ、今日は放課後少しだけ話せるかな?」
セーニャは驚いたような顔をしてから、少し恥ずかしそうに頷いた。「もちろんですわ。イレブンくん、何かお話があるのですか?」
二人は学校の裏庭にある静かな場所で再び会った。イレブンは心の中で少し深呼吸をしてから、セーニャを見つめた。
「実は、昨日の手紙を読んで、僕も伝えたいことがあるんだ。」イレブンは少し照れながらも、しっかりとした声で話し始めた。「セーニャ、君がくれた手紙、本当に嬉しかったよ。僕も、これからもずっと君のそばにいたいし、一緒にいたいと思ってる。」
セーニャは驚いたように目を大きく見開き、その後すぐに顔を赤くした。「イレブンくん…わ、私も、そう思っています。」
その言葉を聞いた瞬間、イレブンは自然と手を伸ばし、セーニャの手をそっと握った。セーニャは少しだけ驚いた様子だったが、すぐに安心したように手を握り返してきた。
「ありがとう、セーニャ。君のこと、大切にしたいと思ってる。」イレブンの言葉に、セーニャの頬がさらに赤くなったが、照れながらも優しく微笑んだ。
「私も、イレブンくんが大切ですわ。ずっと一緒にいてくださるのですね?」
「もちろんだよ、セーニャ。」イレブンは改めて自信を持って答えた。その言葉を聞いたセーニャは、少しだけ安心した様子で笑った。
二人の手はそのまましっかりと握られ、夕暮れの空の下でしばらく無言のまま時を過ごした。周りには他の生徒たちの姿も見えるが、二人の世界は静かに、そして確実に近づいていた。
その日の帰り道、セーニャがふと立ち止まり、イレブンに向かって言った。「イレブンくん、私、ちょっとだけお願いがあるんです。」
「お願い?」イレブンはセーニャに少し驚いた顔を向けた。
「はい…。実は、今日はずっとあなたと一緒に過ごしたかったんです。だから、もしよろしければ、放課後にもう少し一緒に…散歩をしませんか?」セーニャは少し恥ずかしそうに、でも真剣な眼差しでイレブンを見つめていた。
イレブンはそのお願いを受け入れると、微笑みながら答えた。「もちろんだよ。セーニャと一緒にいる時間は、僕にとってもとても大切だから。」
その言葉に、セーニャは嬉しそうに笑顔を見せた。「ありがとうございます、イレブンくん。」
二人は並んで歩きながら、日が沈みかけた空を眺めた。自然と話が弾み、時々手が触れるたびに、心が温かくなるのを感じる。
その日は、二人にとってまた新たな一歩を踏み出した特別な一日となった。
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