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「同居しているセフレ…………いや、違うな。…………ヤリ友?」
「セフレもヤリ友も同じじゃないの?」
「いや、俺の中では違うんだな」
男が、気持ちいいほどに、スパッと言い切る。
「まぁこれは、俺の個人的な解釈だけど。セフレっていうのは、互いの都合も多少考慮して、互いに気持ち良くなるためだけの、セックスするお友達」
「…………アンタが『お友達』って言うと、胡散臭いわ。で、ヤリ友は?」
「俺がヤリたい時にヤる。俺さえ気持ち良ければいい。相手の事は一切無視。俺がヤリたいって言ったら応えないとならない、穴を犯すだけのお友達。要は、俺の性奴隷ってヤツ。女は肉棒を突っ込まれて気持ちいいワケだから、結果的にウィンウィンじゃん?」
「うわぁ…………サイテー……」
優子は露骨に顔を顰め、男から顔を背けた。
「俺がサイテーだって、今頃知ったのか? おめでたいねぇ……」
拓人が口元手で隠しながら、クククッと皮肉めいた笑みを零す。
「犯る、と書いて、ヤるって読ませる事もあんじゃん? そんな感じ?」
(日中から、何て話をしてるんだか。あ、そもそも話を振ったのは私か……)
男の『セフレとヤリ友の違い』について耳を傾けていた彼女は、聞いて損した、と言わんばかりに、大きなため息をついた。
「…………アンタ、自分が本気で好きになった女を、抱いた事ないでしょ」
優子の放ったひと言に、先ほどまで不敵に笑いを浮かべていた拓人が、眉間に皺を寄せて険しい顔色に変化させていく。
「え? アンタみたいな男でも、本気で人を好きになった事、あるんだ?」
いつも男に揶揄われている優子が、ここぞとばかりに、ニヤリとしながら男に詰め寄る。
「…………うるせぇな。黙ってろよ」
感情を押し殺した低い声音で言い放つと、拓人は立ち上がり、スマートフォンをデニムのポケットにねじ込み、傍らにあった車のキーを掴んでリビングから出ていこうとしている。
「どこ行くの?」
「…………ちょっと出てくる」
「外は猛暑なのに?」
「あんたには関係ないだろ?」
男が、微かに怒りを滲ませて言い捨てた後、部屋を出ていった。