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キラリはもう うんざりしていました
父はお酒に酔うと決まってキラリに男がいるとか
売春しているとか
特に色情系の話を持ちだして
ネチネチいじめます
父の酒が見せている幻影なのか
本当にそう思っているのか
はたまた母をなくしてずっと独り身の
欲求不満からなのか
いずれにしても尋常ではない父の発言は
目の座り具合からしても
酔っぱらって
もうまともに話は通じません
お酒を飲んでいない時のお父さんは
本当に別人で、無口だけど
家事もよくしてくれる良い父です
しかし一旦体にお酒が入ると
別人格に変わります
そんな時の父はとても気が大きく
となりのおじいちゃんと喧嘩したりもします
キラリは首を振りながら
大きくため息をつきました
このまま一晩中この酒飲みに付き合うのはうんざりです
「・・・・とにかく・・・・・
今日は陽子の家に泊まるから
帰ってきたら3万円返してや! 」
「またか!
友達 友達って
友達が何してくれるんや!
お前の家はここやろ!
この家の家賃も光熱費も友達が出してくれるんか!
お前の飯を食わしてるのはお父さんやぞ!」
またむちゃくちゃな言い分・・・・
14歳で親の世話にならずにどうやって
生きていけというのでしょう
この頃からキラリは本当に早く自立して
安心して暮らせる自分の家が欲しくて
たまりませんでした
帰ってくるたび・・・・
玄関の明かりがついて言る度
今日もお父さんはお酒を飲んでいるのだろうか・・・
また何か因縁をつけられるんじゃないのかと
心配しない日々・・・
キラリはもう何も言わずに
玄関に腰掛け靴を履きました
後ろで酔っ払った父はまだ何かを言っています
キラリは父の罵倒を無視してこんしんの力を込めて
玄関のドアを閉めました
父とのやり取りは
本当にキラリの心の底にコールタールのような
ドス黒いシミを広げます
「早く一人前になってこの家を出たい・・・・
お金さえあったら・・・・ 」
多分キラリが稼いだ3万円は
父の酒代に消えていることでしょう
くやしさ混じりに
自転車を力いっぱい漕ぎながら
この頃のキラリは家をでることばかり考えていました
ですが 14歳のキラリには
自立する力など
ある訳がありませんでした
★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜★
ガコン
「うちの父は・・・・・・
人間失格やと思う・・・・・・ 」
ガコン
「そんなこと言うもんやありまへんえ 」
おばちゃんが3台目の自動販売機に
しゃがんでジュースを補給しています
筒の上からジュースを落とす音が
あたりに響きます
その横で腕を組んで
自販機にもたれているキラリは父に対する怒りの
思いをおばちゃんにぶつけていました
「ねぇ おばちゃん あたし・・・・
早く お金貯めて家を出たいねん
だからお金儲けのこと
あたしにもっと教えて! 」
キラリはおばちゃんのジュースを取り
手伝いながら言いました
「・・・・・・その考えはよろしくないですな 」
「どうして?
働いてお金儲けしたいって言うてるのよ?
おばちゃんだって沢山お金のことあたしに
教えてくれてるやん 」
「今のお前さんには 何も教えることはありませんな」
おばちゃんのこの答えには
驚きました
てっきり おばちゃんはキラリの味方を
してくれると思ったのに
実はキラリはおばちゃんには父が
無職でアルコール中毒だということは
キラリがおばちゃんと知り合った頃に
すでにカミングアウトしていました
ですから
キラリが唯一気を許して何でも話すことができる
大人はおばちゃんだけで
そのおばちゃんから否定的なことを
いわれると 自分自身が拒否されたように
思えてとても堪えました
キラリはすっかり意気消沈してしまいました
「おやおや 何もそんなに気を落とさないでも
悪い意味で言うたんとちゃいまっせ
わてはお金を欲しがる要因が(負のエネルギー)で
満ちている時はよろしくないと言うてるだけですがな 」
「負のエネルギー? 」
「それは追々話そうと思っていましたがね
たいていの人間はここで分かれてしまいます
要はお金との付き合い方ですわ 」
おばちゃんは売り物の缶ジュースの
蓋を開け
どっこいしょと地べたに座り込んでしまいました
首に巻いたタオルで額の汗を拭き
大きく深呼吸をしています
キラリもおばちゃんの横に三角座りをして
地べたに座りました
「そやなぁ
ちょうどええからあんた話しておきましょ 」
おばちゃんはキラリの顔をじっと見て言いました
「お金の正体を 」