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これは、「雨花」、「桃時」、「兎白」が二年生になる二つ前の季節の話。
桃時「雨花〜アタシたち今日校長に呼ばれることになるみたいよ」
兎白「校長に?何かしたか?俺たち」
雨花「わたしは心当たりしかない」
雨花たちは、今日「雫」に呼ばれた。
桃時「心当たりしかないって……あんた相変わらず探し物してるの?」
兎白「その度に絡んできた妖怪たちと闘ってるんだろ?怪我も沢山してるし……」
雨花は相変わらず顔にガーゼをして、体中に包帯を巻いている。
雨花「あいつらは邪魔者。どうでもいい」
桃時「とか言って後輩の妖怪には手出ししてないじゃない」
兎白「お前だって本当は……」
雨花「早く行こう」
桃時「ちょっと雨花!……もう」
兎白「行こう」
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雫「やぁ、雨花、桃時、兎白」
雨花・桃時・兎白「……こんにちは・こんにちは」
雫「君たちに頼みがあるんだ」
桃時「頼み?」
兎白「何ですか?それ」
雫「君たちには……」
「「妖怪と共存するための組織を作ってもらいたい」」
桃時・兎白「え」
雨花「…………」
「「えぇぇぇぇ!?!?!?!?」」
桃時、兎白はとても驚いた。
兎白「どういうことですか?」
雫「この学校には、妖怪たちの派閥があるのは知ってるかな?」
桃時「はい知ってます」
雫「元々ここにいる妖怪たちは、「鬼灯町」の「無法地帯」と呼ばれる。いわゆるスラム街のようなところが昔あって、そこに住んでいたんだ。その時の妖怪たちは、警戒心も高く、全く話を聴いてくれなかったらしい。しかし、何故かは分からないが、私が妖怪たちと接するようになると、渋々だが言うことを聞いてくれるようになった。そう、何故かは分からないが……ね?」
雫は、雨花の方をみる。それを察したのか視線を逸らす雨花。
並行世界では、雫は、雨花や沢山の神たちによって確保された。その甲斐あってか雫も妖怪たちと関わるようになり、妖怪たちからも信頼されていた。それを雨花は知らないが、あの写真をみる限り、雨花自身も妖怪と仲良くしていたため、雫と関係があると分かったのだろう。だから、視線を逸らした。
雫「しかし、我々の言う通り、学校に住んでいるが、妖怪たちの唯我独尊精神は年々増すばかり。それを君たちに落ち着かせて欲しいんだ。妖怪たちと共存できるよう、活動を行ってもらいたい」
兎白「俺は別に構いませんよ」
桃時「アタシは嫌。妖怪たちと何で好き好んで関わらないといけないんですか?こっちから手出ししなければ何もされないんですしこのままで良いんじゃないですか?」
兎白「そうなのか?俺はてっきり放課後妖怪たちに占拠されてるから不自由を感じてると想って抗うのかと想っていたが……違ったんだな」
桃時「は?どういう意味それ?」
兎白「ん?学校生活に不自由を感じているからそれにハングリー精神で挑んでやろうという気持ちになっているのかと想っていたが違うのかという意味だ」
桃時「その言い方だと妖怪たちにこのアタシがひれ伏してるような言い方じゃない!!分かったわよ!!やる!!やってやるわ!!」
雫「ふふっありがとう。雨花はどうだい?」
雨花「……やるとおもいます?わたしが……」
雫「まぁやらないだろうね。君は探し物をしてるんだからその邪魔になる妖怪たちと共存なんて望まないだろうし。でも……」
「「君は悪者扱いされる苦しさは知ってるんじゃないかい?それが自業自得なら尚更」」
桃時「どういうことです?」
兎白「お前何かしt」
雨花「うるさい!!!!」
桃時・兎白「!」
兎白「あ、雨花……?」
雨花「!、はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
桃時「ちょっとあんた……!」
桃時は、雨花の背中を触ろうとした。しかし、
雨花「触らないで!!!!」
雨花は桃時の手を弾いた。
桃時「いった……」
雨花「!、や、やめて……わたしが悪いのは本当に分かってます被害者ヅラしてすみませんごめんなさいごめんなさい」
兎白「落ち着け雨花!誰もお前を責めたりなんてしていない」
桃時「そうよ!こんなこと大したことないわ!」
雫「…………」
雨花「!!!!」
雨花は、校長室のドアを踏み倒して走っていってしまった。
桃時「もうあいつ……世話がやけるっ!」
兎白「追いかけるぞ!」
桃時、兎白も雨花を追いかけた。
雫「雨花……」
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兎白「雨花……!」
桃時「ぜぇ……ぜぇ……あ、あんたたち……速すぎ……はぁ……はぁ……」
兎白「何言ってる?まだ四分くらいしか走ってないぞ?」
桃時「ちょっと……アタシはここで待ちながら追いかけるから先行ってて……」
兎白「分かった……」
兎白は、雨花を追いかける。
雨花「…………」
兎白「待て!雨花!」
兎白は雨花の手を掴む。
雨花「…………」
兎白「お前……一体……」
雨花は兎白の方を振り向かず告げた。
雨花「……ごめん。今は……」
「「言えない」」
桃時「へぇ……へぇ……」
兎白「言えないっ……て……」
桃時「え?言え……ない?」
雨花「ごめん」
外に冷たい風によって木や草が揺れている。
揺れることで起きる音が三人を包む。
雨花「ごめん」
「ごめん」
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翌日の朝
桃時たちの登校時
桃時「雨花のあの様子……尋常じゃなかった」
兎白「あいつがあんなに必死に許しを乞うこと……何なんだろう」
桃時「そういえばアタシたちって雨花に助けられてるのに雨花のこと何にも知らないわよね」
兎白「確かに……」
雨花「……おはよう」
桃時「おはよう、雨花。昨日は眠れた?」
雨花「うん」
兎白「そういえばまた放課後、校長に呼ばれたぞ?」
桃時「そうだったわね」
雨花「わたし少し遅れていくから先行ってて」
桃時「分かったわ」
兎白「気をつけろよ?」
放課後
雨花「…………」
「よぉ、待ってたぜ「黒い彼岸花」」
「今度こそお前に勝つからな!」
「そのすました顔を捻り潰す!」
「ギャハハ」
はぁまたか
もうめんどくさいな
またわたしは傷つけることしか
《雨花ちゃんとは》
ごめんなさい
《関わりたくなくて》
許されようと想って
ごめんなさい
「何だ?こいつ」
「急に下向いてどうしたんだ?」
「なんかこいつ結構やばくね?」
「おい本当に大丈夫か?」
雨花「……え」
「俺たち殴りがいのある奴じゃないと面白くねぇんだよ」
「今のお前は全然面白くない」
雨花「……あはは」
「な、何だよ」
雨花「あなたたちって案外優しいんだね」
「「!?!?」」
「俺たちが……?」
「優しい……?」
雨花「だって誰にでも暴力振るうわけじゃないんでしょ?優しいよ。あなたたち。あはははは」
「は、はぁ」
《「「君は悪者扱いされる苦しさは知ってるんじゃないかい?それが自業自得なら尚更」」》
雨花「……あなたたち「は」悪者じゃない。わたしたち今、「人間と妖怪の共存」を目指してるの。協力してくれない?」
「はっ誰がそんなこと……」
「やらねぇよ」
雨花「協力してくれたらあなたたちもやりやすくなると想う。ここにはあなたたちと同じように人を傷つけてしまった経験のある人間もいる。そういう人間たちと少しずつ関わっていけば……」
「「あなたたちを救ってくれる人にも出逢えるんじゃない?」」
「す、救う?」
「何言ってんだお前」
雨花「あなたたちさっき自分たちが「優しい」って言われた時、驚いたでしょ?自業自得にせよ、本当なら当たり前に言われるべき言葉をあなたたちはずっと言われてこなかった。そんな淋しさがずっと悔しくて、だから人を傷つけるんでしょ?それをこの学校の人は知ろうとしてくれる。あなたたちだってこの学校に居続けて何年も経ってるんだから知ってるでしょ?」
「「…………」」
雨花は、今自分が出来る精一杯の笑顔で、妖怪たちに手を差し伸べる。
雨花「一緒に……この学校で」
「「救い合いましょう!」」
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雫「…………」
桃時「あいつ遅いわね……」
兎白「まさかまた妖怪たちと戦ってるんじゃ……?」
バタン
雨花「…………」
桃時「あんた……今まで何してたのよ!!」
兎白「心配したぞ」
雨花「ごめん。桃時ちゃん、兎白くん。雫さん」
雫「?」
雨花「これ」
雫「!、これは……」
兎白「な、何ですか?」
桃時「何かしら?」
雫に渡した紙にはこう書いてあった。
『~人間と妖怪との共存~妖怪の署名書』
桃時・兎白「え」
「えぇぇぇぇ!?!?!?!?」
兎白「お、お前……!」
桃時「どうしたのよ!!この署名書!!」
雨花「妖怪たちから貰ったの」
雫「どうやって?」
雨花「…………別に……妖怪たちがこのまま「人を傷つけるだけの生き物」扱いされたくなかっただけ」
雫「…………そうか」
やっぱり君は
「紫雲雨花」だね
雨花「この署名書を集めれば、妖怪たちとの共存も少しは進めるんじゃない?すごく大変だろうけど」
桃時「アタシたちもやるわよ!あんたが発案者なんだからあんたもやりなさいよね」
兎白「ありがとう。雨花」
雨花「わたしはもうやらない。これで充分で……」
桃時「よし!雨花も力を貸すってことになったし、組織作りもしてかなきゃね?」
兎白「具体的にまだ決まってないが……まずは署名活動をしていこう」
雨花「…………」
雫「きっとこれから君の日々は変わっていくよ。雨花」
雨花「わたしは絶対諦めませんよ。この学校は絶対やめます」
雫「……そうか」
「まずは幼等部から順にやっていきましょ!」「あぁ。でも何でだ?」「先輩からやってったら圧を与えちゃうでしょ?」「あぁなるほど」
雨花は、拳を強く握る。
同時に自分の心も強く握った。その様は心が握り潰せそうな程だった。