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第11話 静かな夜と、素直な気持ち
玄関のドアが閉まる。
「ほな、またなー!」
「仁人くん、次のご飯も楽しみにしてるで!」
舜太が元気いっぱいに手を振る。
「また連絡するね。」
柔太朗も穏やかに笑った。
「勇斗くん、またな!」
太智も手を振り、三人は楽しそうに帰っていった。
玄関のドアが閉まると、部屋は一気に静かになる。
「……急に静か。」
仁人がぽつりとつぶやく。
勇斗は笑いながらうなずいた。
「さっきまで賑やかだったからね。」
二人はリビングへ戻り、ソファに腰を下ろした。
食器はもう片付いている。
みんなで洗い物をしたおかげで、シンクもきれいなままだ。
「助かったね。」
勇斗がキッチンを見ながら言う。
「うん。」
「みんなでやると早い。」
「舜太、途中で泡飛ばしてたけど。」
思い出したように仁人が笑う。
「『うわっ!』って言ってたね。」
勇斗も吹き出した。
「柔太朗が『ちゃんと洗ってよ』って困ってた。」
「太智は笑っとった。」
「結局、みんな楽しそうだったね。」
二人は顔を見合わせて笑った。
◇◇◇
勇斗は冷蔵庫を開ける。
「あ。」
「どうした?」
「柔太朗が持ってきてくれたプリン。」
「食べる。」
即答だった。
勇斗は思わず笑う。
「甘いものは別腹?」
「……うるさい。」
二人はプリンを持ってソファへ戻る。
「いただきます。」
スプーンですくって口に運ぶ。
「……おいしい。」
仁人が小さくつぶやく。
「よかった。」
静かなリビングに、スプーンの触れ合う小さな音だけが響く。
そんな時間も、二人には心地よかった。
◇◇◇
「仁人。」
「ん?」
勇斗はプリンのカップをテーブルに置く。
「今日はありがとう。」
「料理?」
「それもだけど。」
勇斗は優しく笑った。
「みんなと楽しそうに話してくれて。」
「……。」
「すごく嬉しかった。」
仁人は少し照れくさそうに視線を落とす。
「最初は。」
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「うん。」
「勇斗の友達と会うの、緊張してた。」
「知ってる。」
「でも。」
仁人は少しだけ笑う。
「舜太、ずっとうるさいし。」
「ははっ。」
「太智も俺ばっかりいじるし。」
「それも知ってる。」
「柔太朗はちゃんと止めてくれるし。」
「うん。」
仁人は少し間を空けてから、勇斗を見る。
「……みんな、いい人。」
勇斗は嬉しそうに目を細めた。
「そう言ってもらえてよかった。」
「だから。」
仁人は照れながら、小さく続ける。
「また来ても……いい。」
「本当に?」
「……たまにな。」
「もちろん。」
勇斗は思わず笑みをこぼした。
◇◇◇
時計を見ると、もう夜の十時を回っていた。
「そろそろお風呂入る?」
勇斗が聞く。
「うん。」
仁人は立ち上がると、ふと勇斗の服の裾を軽くつまんだ。
「勇斗。」
「ん?」
「……今日は。」
「うん。」
「ありがとう。」
照れくさそうにそう言うと、すぐに手を離して洗面所へ向かってしまう。
勇斗はその後ろ姿を見つめ、優しく笑った。
「こちらこそ。」
聞こえていたかどうかは分からない。
それでも、その言葉をちゃんと伝えたかった。
静かな夜。
賑やかな時間の余韻を胸に、二人はいつも通りの穏やかな日常へ戻っていく。
その何気ない毎日こそが、二人にとって一番大切な幸せだった。
コメント
1件
ああ、もうこの回めっちゃ良かった……!友達が帰った後の静け方が、逆にさっきまでの賑やかさを引き立ててて、仁人が「また来てもいい」って言うシーン、じわじわ来たわ。照れながら勇斗の裾つまんで「ありがとう」って言うのも、小さな仕草なのに心臓ぎゅってなった。何気ない日常が一番の幸せって言葉、まさにその通りだなって思えるエピソードだった。