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くるみ_226
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第12話 お弁当と、内緒のおかず
翌朝。
カーテンの隙間から朝日が差し込み、部屋を優しく照らしていた。
「……ん。」
仁人はゆっくり目を覚ます。
昨日はみんなで食卓を囲み、夜は勇斗と静かにプリンを食べた。
思い出すと、自然と口元が緩む。
「おはよう。」
隣から勇斗の声が聞こえた。
「……おはよ。」
「よく眠れた?」
「うん。」
仁人はベッドから起き上がり、大きく伸びをした。
「今日は弁当作るから、先に顔洗ってきて。」
「え、俺も手伝うよ。」
「いい。」
「でも。」
「勇斗、」
「うん?」
「この前カレー作ってくれたから。」
仁人は少し照れながら笑う。
「今日は俺に任せて。」
「……ありがとう。」
勇斗は素直にうなずいた。
◇◇◇
キッチンでは、仁人が慣れた手つきで料理を進めていた。
卵焼きを巻き、鶏の照り焼きを焼く。
ブロッコリーをゆで、ミニトマトを添える。
炊きたてのご飯には、黒ごまと梅干し。
「相変わらず手際いいな。」
コーヒーを飲みながら勇斗が見つめる。
「見すぎ。」
「見ちゃうんだよ。」
「……。」
「料理してる仁人、本当にかっこいい。」
「朝から褒めるな。」
「本当のこと。」
仁人は少しだけ頬を赤くしながら、お弁当箱のふたを閉めた。
「できた。」
「ありがとう。」
勇斗は嬉しそうに受け取る。
「今日のお昼が楽しみ。」
◇◇◇
会社に着くと、昼休み。
勇斗が休憩スペースでお弁当を開けると、
「おっ!」
舜太がすぐに気づいた。
「はやちゃん、今日も仁人くんの弁当やな!」
「うん。」
「見せて見せて!」
舜太が身を乗り出す。
「うわぁ!」
「今日もめっちゃうまそうやん!」
柔太朗も覗き込み、感心したように笑った。
「彩りもきれいだね。」
「本当に料理上手だなぁ。」
勇斗は少し誇らしげに笑う。
「仁人、料理だけは妥協しないから。」
「だけはって何やねん!」
舜太が笑う。
「怒られるで!」
「あとで本人に言っとく?」
柔太朗が冗談っぽく言うと、
「それはやめて。」
勇斗は少し慌てた。
三人は声をそろえて笑った。
◇◇◇
一方その頃。
「仁人ー!」
社員食堂で太智が手を振る。
「こっちこっち!」
「……朝から元気。」
仁人はお弁当を持って隣に座る。
「今日も弁当?」
「うん。」
「見せてや。」
「嫌。」
「ええやん!」
「嫌。」
「ケチ。」
太智は頬を膨らませる。
「ほな俺の唐揚げ一個やるから!」
「……交換なら。」
「やった!」
二人は笑いながらおかずを交換した。
太智は仁人の卵焼きを一口食べる。
「……。」
「どう。」
「うまっ!」
思わず声が大きくなる。
「やっぱり仁人の卵焼き最高や!」
「大きい声出すな。」
「ほんまやって!」
周りの社員が振り返り、仁人は恥ずかしそうに顔を伏せた。
「太智、」
「ん?」
「静かに。」
「ごめんごめん!」
そう言いながらも、太智は嬉しそうに笑っていた。
◇◇◇
夕方。
仕事を終えた勇斗は、仁人より少し早く家へ帰る。
玄関の鍵が開く音がした。
「ただいま。」
「おかえり。」
勇斗が笑顔で迎える。
「今日はどうだった?」
「普通。」
「太智くんにお弁当見せた?」
「……。」
一瞬、仁人の動きが止まる。
「見せたんだ。」
「交換しただけ。」
「ふふ。」
「笑うな。」
「何交換したの?」
「卵焼き。」
「どうだった?」
仁人は少しだけ照れながら答えた。
「……おいしいって。」
勇斗は優しく笑う。
「俺も毎日そう思ってる。」
「だから。」
仁人は勇斗を軽く小突いた。
「すぐ褒めるな。」
「だって本当だから。」
照れた仁人は小さくため息をつく。
でもその顔は、どこか嬉しそうだった。
二人の毎日は、今日も変わらず穏やかに過ぎていく。
そんな”普通の日”が、二人にとっては何よりも幸せだった。
コメント
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第12話、じんわり温かくなりました🧡 仁人が「今日は俺に任せて」って言うところ、前にカレーを作ってもらったお返しなんだろうなと思って、その気持ちの積み重ねがすごく好きです。お弁当を眺める勇斗くんの「見ちゃうんだよ」にも、照れながらも甘やかされてる感じが伝わってきて、思わずほっこり。 会社で太智くんと卵焼き交換するシーンも可愛くて、ああいう“普通の日”の積み重ねが、二人の幸せなんだなってしみじみ思いました。料理の描写も丁寧で、おいしそうなのがずっと続いて、読んでいてお腹が空きました(笑)。 また続き、楽しみにしています🌷