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こんな田舎の町に、珍しく転校生がやってきた。
名前は、夏目貴志くん。
色の白くて細い____
いつもどこか見つめていて物静かな男の子____
私の名前は、
相坂 未来(あいさか みき)
未来(みらい)と書いて、みきと読むから
どうか間違わないでほしい
私の家は、両親を早くに事故で亡くし
小学にあがる前の頃から
ここの町のおばあちゃんとおじいちゃんと一緒に暮らしている
一応結構、大きな家で、昔、庭師をやっていたとか____
庭には、
大きな一本松が建っていて____
小さい頃からそこによく登って怒られたっけ____
木登りが得意で、何かある度に登ってた
庭に、池があって
一本松に登るとその池が真下に来て
嫌なことがあるとそこに自分の感情を投げ捨てるというかなんていうか____
沈めたくて____
ある時、風が強い日。
その一本松から降りようとすると
危うく足を滑らせ地面に落ちかけた時があった____
その時____
何かはわからないけれど
フワッと身体が宙に浮いて、地面にそのまま落ちることはなかった。
その後、少し気を失っていたんだけれど
夢か現実だかわからないけれど確かに聞こえたんだ____
「…どうしてこうもこの相坂の家のものは危なっかしい子ばかりなのだ」
そう、聞こえ、優しく優しく____
私の頭を暖かい何かが撫でてくれるような____
あれは一体なんだったんだろう____
おばあちゃんに話すと
「私もねぇ、小さい頃、この一本松に助けられたことがあったんだよ」
と話す。
聞けば、この一本松は、おばあちゃんのおばあちゃん____
この家ができるずいぶん前からあったらしく____
長い間、この家の庭で私たちを守ってきてくれたそう____
「だから、未来ちゃんも守ってくれたのかもねぇ」
そう言い話すおばあちゃん。
一本松のおばけ?
妖精?
それとも妖怪?
けれど____
あの日のことが忘れられない
あの優しい優しい声の主は一体誰なんだろう
その声の主の事が忘れられず私は恋愛というものをしてきた事がない
友達たちには、なんで好きな人とか作らないの!?なんでこんな高校生活で彼氏作りたいとか思わないの!
とかめちゃくちゃ言われるけれど____
日が経つに連れ思いは大きくなっていく
いつかまた、会えるだろうか____
他の人に、こんな話をしたら笑われるだろうか?____
________
夏目くんが転校してすぐの事、
おばあちゃんが亡くなった。
初夏の暑い、暑い日だった。
朝、起きてもおばあちゃんは起きてこなくて
おばあちゃんの部屋に行くと、
おばあちゃんは眠るように亡くなっていて、冷たくなっていた____
あの時のおばあちゃん感触____
私にとっては急すぎる事で
受け止めるのに時間がかかった。
畑からおじいちゃんが帰ってくるまで
私はずっとおばあちゃんの手を握っていた
聞けばおじいちゃんが朝早く、畑に行く前は「おはよう」と話していたそう____
ああなんて、こんなにも急に____
______
おばあちゃんのお葬式に出た
遺影のおばあちゃんはいつものように笑っていて____
棺桶の中のおばあちゃんは、綺麗にお化粧がされていて
今にも目を覚まして
「未来ちゃん」と言ってくれそうで____
おばあちゃんとお別れして次の日
私は学校に行った
友達の絵里と渚が
「未来~!大丈夫だった!?」
「未来~…」
と抱きしめながら慰めてくれた____
どうやら昨日、中間テストも終わったので席替えをしたらしく____
絵里「あんたの席、ここだよ!
転校生の隣!」
私の席は、2ヶ月前に越してきた転校生の夏目くんの隣だった____
『夏目くん、これからよろしくね』
そう、言うと
夏目くんは
話しかけられると思ってなかったようで
びっくりしたような顔をしたこと思えば
「こちらこそ、よろしく」
そう言って微笑んだ____
その時、風でカーテンが揺れた。
時間が止まったかと思った____
吸い込まれるような、優しい笑顔____
その時、恋なんかした事ない。
それにこんな時なのに、
心臓が高鳴った____
これが、恋をするってやつ?