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(パチッ)
目を覚ますと、辺りは見たことのない木々に覆われていた。
「……?」
ここは何処だろう。
ついさっきまで、 先遣隊が拵えた森林地帯の山道を散策していたはずだけど。
リーニエ達はどこだろう。
「……う」
体中が痛い。夢ではなさそうだ。
状況を理解しようと視線を動かしていると、自分が大きな草の葉に、横になって絡まっている事に気がついた。
珍しい葉の色だ。何の系統の植物だろうか。
いや、そんなことはどうでもいい。
…早く皆と合流しないと。
…っ。
体を起こそうとすると、首あたりに鈍い痛みが走った。
上半身を起こす。
…さっきは、感触と上向きの視界だけで、
ベッドのような大きな草の葉に絡まっていると感じていたのだが、 どうやら、私が絡まっていたのは草というより蔦のようなものだった。
木々の間を網目のように張り巡ったこの蔦の上に、私は横になっていた。
もしここが探索規定外の地だとしたら、かなり不味いことなる。夜になれば、獰猛な魔生物の餌食となるだろう。魔術も禄に使えない子供(それも負傷済み)となれば、獣たちからすれば格好の的だ。
まだ、死にたくはない。
とりあえず、ここがどの探索エリアなのか調べよう。
学園の授業はしっかり網羅しているので、ここに住む生物がわかれば、大体のエリアは判断できる。
ちょうど私は魔生植物らしきものの上にいる。
それにしても、珍しい植物だな…。
知識にはそれなりに自信があるけど、
少なくとも、学園での魔生植物学の授業では、こんな種類の植物が存在することは習わなかった。
ビズ系植物の朱く直線的な葉脈とも異なれば、ルーグ系植物の青白い葉の色とも違う。唯一可能性があるとすれば夥しい数の葉をつけるロウス系植物だけど、先程のベッドのような柔らかい感触が、それを否定していた。ロウス系植物のもう一つの特徴は、鋭利に尖った硬い葉だ。
となれば、新種だろうか。
生物からエリアを判断するという最初の策では、
ここが探索規定外の地であるという、マイナスにしかならない事実が判明した。
班のみんなと逸れてからどれだけ時間が過ぎたのかは知らないけど、おそらく今頃リーニエたちが私を探しているだろう。
私はこのまま死んでしまうのだろうか…
感傷に浸って、空を見ようと視線を上げると、木々の隙間から崖らしき物が見えた。
40〜50m程の高さはあろうか。目を凝らすと崖の上面には青白い葉の木々が目に入った。
私が探索していた、今回の探索エリア、「ニーガン」のルーグ系植物だ。
ああ。落ちたのか。