コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
君の好きな人になりたい
(こじらせ恋心)
「ウェン…起きてください…」
意識が朦朧とする中聞こえてきたのは優しくて落ち着く声。大好きな声なんだけど、なんか震えてる気がする。目を開けようにも眩しすぎて開けれない。なんだろう、ものすごく久々に目を開けようとしてる気がするんだ。いつだっけな、かなり前だった気がする。大好きな皆におやすみって眠ったんだよね。それから結構時間たってるのかな?寝てると時間感覚狂うから嫌なんだけど、その時は凄く眠たかったんだよね。それより、右手なんか動かないんだけど、なんでだろう。いっぱい分からないことがありすぎるよ。
「…るべしょう……?」
やっと出せた声は酷く掠れてて…、なんとも言えないような感じ。ガッサガサで耳にするには汚すぎる。
「ウェン、…?ウェン…!?ぁ、あ……よかったぁ…」
大きな物音がして、やっと目を空けれたと思ったら、目にいっぱい涙を溜めてるるべしょうが見えて思わず目を見開く。よかったと言ったるべしょうはそのまま崩れ落ちると目元を拭く。僕が何も言えずに固まっているとドアが激しく開かれる。ここが病院なのに今やっと気づいた。視界に映った淡い青色が久々で嬉しい。
「どうした、今すごい音が…」
そう零したろうは僕を見て固まった。だんだん瞳が零れそうなほどまでに目を見開いてく。じわり、と涙が滲んでいる。
「…ぉ、おはよう」
そんなロウの姿、初めて見るからおはようなんて、きな臭い言葉しか出てこない。どうしよう。2人とも泣いてるんだけど。
「…っ、ウェンっ…!」
僕が戸惑っているとロウがすごい勢いで走ってきて、気づいた時には抱きつかれていた。早すぎて、寝起きの頭じゃ処理が追いつかない。ロウの熱と腕の力のきつさで自覚して頬が熱くなる。でもそれよりも先に肩に暖かい何かが垂れてきて、本当にろうがないているんだと自覚した。好きだなって思うのに、触れちゃ行けないなんて。辛い。
ろうは…どうせ、るべしょうが好きなんだから。…るべしょうの位置が羨ましい。変わって欲しい。ねぇ、そこが僕じゃダメなの?
小柳くんが走ってウェンに抱きつく。あぁ、羨ましい。そんな風に抱きつけるなんて、俺も、うぇんに抱きつきたい。でもニキは小柳くんが好きなんだよね。わかってるんだ。…いつまでこうして俺は傍観者を続ければいいんだろう。溢れてくる涙が安堵だけから来るものじゃないのは俺しか知らない事実だ。突きつけられてしまう現実に、苦しくなる胸元を抑える。ニキが俺を見ているけど、今更プライドなんて気にする暇なんてないんだ。ニキが俺を好きになって欲しいのに。
勢いでウェンに抱きついた。溢れる涙が止められない。それなのに、こんなに思ってるのに、気づいてるはずなのに、ウェンの視線は俺に向かない。星導ばっかりだ。わかってる、ウェンは星導が好きなのも、ウェンの好きな人に俺はなれないのも。それでも、俺の方が距離が近いのに、沢山遊んできたのに、それなら、どうして、俺じゃない。優しくないからか、ウェンには特別にしてきたつもりだ。星導と距離が近いからか、ウェンとの距離の方が近いはずなのに。星導の立場が欲しい。俺と変わってくれないか、…想い人は、友達を思ってるなんて、皮肉すぎるよな。なぁ、星導。この涙に含まれてるのが、綺麗な愛情ばかりだとお前は思うか。なぁ、ウェン。お前は俺だけのものにはなってくれないのか。俺はお前の一番にはなれないのか。