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最終章 新しい命とその後
エピソード14
逞未が生まれてから2ヶ月後。未来の家族は実家のある町の隣り町にある、上は薄ピンク下はレンガ調のこじんまりしたアパートで暮らしていた。未来は育休を取り、直人さんは通常通り働くといったスタイルで逞未を育てていた。
今日は、未来にお呼ばれしてそのアパートに向かう。
アパートに着くと未来たち家族の部屋のバルコニーに小さい鯉のぼりが泳いでいた。
俺は、インターホンを鳴らす。未来が出迎える。
「お兄ちゃん。いらっしゃい。今は逞未が眠ってて」と、小声で話す。
部屋に入ると1DKの間取りで壁は、クリーム色の落ち着いた空間だった。居間の方では逞未はベビーベッドで仰向けでおしゃぶりを咥え眠っている。
未来は、ダイニングにある椅子に俺を促す。その後、未来はキッチンで麦茶をグラスに注ぐ。それをテーブルに運び、俺の前に置く。
「逞未、夜泣きが凄くて寝不足なの。」と椅子に腰を下ろしながら小声でいう。
「大丈夫か?目の下にくまが出来てるぞ。」と俺は小声でいう。
未来は麦茶を一口飲んで話しだす。
「大丈夫。それで、今日お兄ちゃんに来てもらったのは頼みたいことがあって。」と未来は小声でいう。
「今年の私の誕生日に式を挙げようと直人さんと考えてるんだよね。」と小声で続ける。
「いいじゃないか。3人での結婚式。」と俺は小声で微笑みいう。
「そこで家族代表として、お兄ちゃんに祝辞をしてもらいたくて。」と小声で突拍子もないことをいう未来。
「家族代表?普通、親だろ?」と小声で俺は聞く。
「お兄ちゃんには、これまで色んな局面で助けられて来たからお兄ちゃんにどうしてもお願いしたいの。」と小声で懇願する未来。
「どうしてもというなら。。」と俺は頭を掻きながら小声で応える。
「やったー!」と未来は喜びのあまり、小声でなくなる。
その時、逞未が一瞬泣こうとするが再び眠る。
それを確認し再び話し合う。
「俺なんかでいいのか?」と小声で躊躇しながら聞く俺。
「お兄ちゃんがいいの。結婚出来たのは紛れもなくお兄ちゃんのおかげだから。」と小声で感謝する未来。
俺は少し考えてから
「わかった。その話受けるよ。」と小声で決心する俺。
これ以上居ると逞未を起こす事になると思った俺は、未来たち家族のアパートを後にする。
俺は帰り道、厄介なお願いを受けてしまったと後悔しながらもスピーチを考えることにした。