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それは瞳さんに出会う前のこと。俺は会社を辞めさせられたばかりだった。その日は最悪な出来事が多かった。おばあちゃんが亡くなったのだ。俺は昔から感情を表に出すのが苦手で悲しかったけど泣けなかった。
その日の夕方、おばあちゃんとよく見ていたドラマを借りにレンタルショップに行った。そこからドラマが好きになったのだ。探していると、先に上を向いて立っている女の人がいた。はしごを使って取ろうとしてる。声をかけようと思ったが人と話すことも苦手な俺はかけられなかった。見ているとのっているはしごが揺れた。危ないと思い、女の人に駆け寄る。そして落ちてきたその人を抱きとめた。
「おっと、危なかった」
「あ、ありがとうございます」
「あの、痛くなかったですか?」
「大丈夫です。では。」
結構可愛かった。そう思いながら帰っているとドラマを借りるのを忘れてしまった。
映画を観に行く日。正直誘われると思わなかった。上手く話せるか心配だった。着いた時にはもう瞳さんが来ていた。すごく可愛かった。似合ってると言いたかったけど緊張して言えなかった。
映画館は俺がよく行く所だった。エスコートしようとしたが瞳さんもよく来ているのか慣れたように先頭を歩いてくれた。映画は瞳さんが気になって内容がよく分からなかったから話も出来なかった。瞳さんは助けてくれたお礼と言ってお金も全部払ってくれたけど、お礼をしたいのは俺の方だ。こんなに楽しい思いをしたのは久しぶりだった。誘ってくれた時は嬉しかった。趣味が一緒ということも分かったから今度は俺から誘おう。
お別れの時間になり、次はもっと話せるように頑張ろうと思いながら帰ろうとした。
「ありがとうございました。今日は楽しかったです。」
「待ってください!」
瞳さんに引き止められた。