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キングレオを倒し終えると転移用の魔法陣が現れる。ポイズンスパイダー同様その上に乗ると洞窟の入口に飛ばされすぐさま帰還できるようになっていた。
満身創痍ではあるがキングレオを倒したことでレベルも一気に上がり30まで伸びてあの猫を倒したことで新たなスキルも獲得、そして一定のレベルまで上がったことでザコ敵からは避けられる仕様に変わったようだ。お金も手に入ったし経験値も美味しかったけど、時間効率とか考えるとちょっと適してなかったかなぁと一人反省会をしていると洞窟の脇の茂みから聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「私の捨て身の攻撃あと一歩届かなかったのショックなんですけど?」
「おかげで私の手柄になったわ。」
「はー…くそくそ。」
先程の戦闘でやられたプリンが悔しそうな顔と声を出しながらミーシャに話しかける。ボス戦で負けると基本『瀕死』という扱いでその場に残るのだが、特定のボスでやられるとボス部屋から退場させられそのエリアの入口に飛ばされてしまう。今回でいえば洞窟の外ということだ。これの厄介な点はヒーラーがいると『瀕死』仲間を蘇らせて再度戦線復帰させられるのだがそれが出来ないこと。要はゾンビ戦法が通じないためワンミスが許されない難易度の高いボスというわけなんだが、どうやら隠しボスであるキングレオはその部類のボスで、恐らく隠しボスはみなこの特性を持っていて今後のアプデで追加される高難易度イベントボスもこれが当たり前になってくるだろう。
「私ボコられたんだけどあの後どうなったの?」
「美味しいところは頂いてレベルもお金もなんならスキルも獲得してウハウハではある」
「その報酬に私という英雄の死が関与してることを忘れるなよ?」
「まぁ、2日くらいは覚えるようにしておくわ。」
「全然覚えとく気が無いの許せんが?」
「それより、キングレオとやってみて思った事がひとつ。」
「それは?」
「時間効率を考えると適してないことだね。確かに経験値、お金、新たなスキル獲得と美味しいんだけどこれ討伐するのに実は30分以上かけてるんだよね。」
「思ってたより戦ってるのね。」
「で、強化個体のポイズンスパイダーは道中の時間込みで今なら最短5分で片付けられると思うの。」
「キングレオ一体倒す頃には蜘蛛ちゃんは六体以上倒せる計算か…。」
「てなると、今は蜘蛛を倒してた方が時間効率がいい。しかもドロップアイテムである【毒蜘蛛の毒脚】は私は強化に欲しいし、プリンは要らなければ売ればいい。ボスドロップアイテムだからそれなりの値段は着くから金策にも一応適してる。とは言ってもアルナさんに支払う金額には届きはしないんだけどね。」
「そう言われると確かにキングレオは今の私たちには過ぎた金策相手になるのかァ…。」
「追々楽に倒せるだろうけど現状は厳しいからキングレオ集会は無しの方向になるね。」
「まぁ私ら学生だしやれても平日夜の2、3時間程度。ガチるにしては時間が足りないからそれでいいかもね。」
「それじゃあ決まりね。多分私らはもう個人で行動してもこの辺の敵には負けないだろうから個人行動にする?」
「そうだねぇ。私ちょっと個人的やりたい事とか増えたし、そっちに集中しようかな。」
「じゃあ今日はこの辺で解散しようか。」
「っと、その前にキングレオ倒した時のドロップアイテムとか無かった?」
「あ〜、忘れてたわ。ドロップアイテムが装備品でしかも防具ではあるけど……。」
「なに?そのちょっと言い淀んだ感じ?」
「まぁ、うん。性能はいいんだけどそれ以外がアウトかなぁ……。」
「はぁ?」
「まぁ、これあげるから来てみな。」
そういいミーシャからキングレオのドロップアイテムを受け取り装着ボタンを押して装備してみる。
「………。これマジ?」
「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!お、お似合いよ…。プリン……ちゃん…!!」
「乙女がする笑い方じゃないだろ!下品な女め!てか、こんな装備が似合う女じゃないから私も!!」
キングレオが落とした装備は胴装備で【獣王の毛皮】という名の通り、原始時代みたいな獣の皮をそのまま着てみましたと言った感じの見た目の装備。性能は見た目に反して防御の値が非常に高く、更に防具に【素早さプラス30】という前衛からすれば嬉しい効果が付いているが、いかんせん見た目がダサい。そして恥ずかしい。これが理由で恐らく大半の人は着ないだろう。
「これは無理。私これいらないんだけど。 」
「性能はピカイチだから使ってあげて?」
「私剣士なのにこの服着てたら蛮族と間違われるでしょうに…。」
「もう剣士としての威厳みたいなのもないし良いんじゃない?」
「良くないからこうして反論してるでしょうが!」
「まぁ要らないならそれも売っちゃいなさい。今の私らに必要なのはとにかくお金だからさ。」
「ちぇ〜…あんなに苦労して手に入れた防具がこんな蛮族装備なの納得いかねぇ……。」
そんな話をしながら街に戻りその日は解散となった。