テラーノベル
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「マリー、いい加減起きなさい。」
私は掛け布団に包まれながら首を横に降った。
「1日休んだだろう?今日は行った方がいい。行きたい大学に行けなくなるぞ。」
そう言って父が掛け布団を掴み、私から掛け布団を離そうとする。
「や、やめてっ。」
私はぐっと掛け布団を引っ張る。
「いい加減にしなさい。」
スワンが部屋に入ってくる。スワンは腰に手を当ててむすっとした表情で強く言った。
「そんなに休んだら休み癖がつきますよ。」
スワンと父は思い切り掛け布団を引っ張る。私の元から掛け布団が離される。
「か、返してっ…。」
「っ、早く高校に行く準備をしろ。」
教室に入ると、みんなの笑い声。私に飛びかかる拳や脚。
(やめて。やめて。やめて。やめて。)
「はぁっ、はぁ…、はぁ…、はぁ…。」
目が覚めると布団の中だった。見なくても手が震えているのがわかった。
「ぅ、うぅ…。」
私は掛け布団に顔を埋めて泣いた。声を出さないように、口に一生懸命力を入れる。
(嫌だ、行きたくない…。)
私は、誰も入ってこれないようにドアの鍵を震えた手でかけた。鍵をかけると、私の身体がその場に崩れた。
「う”っ、…ひぐっ…。ぅぇぇぇ…。」
(何故、私がこんな目に合わなくちゃいけないのでしょうか。私は何か悪いことをしたのでしょうか。神様、仏様。私の、私の息の根を止めてください。)
「おかあさん、みてみて!」
小さな子供が、母親に絵を見せる。その絵はおそらくその子供が描いた絵で、母親と父親と子供が描かれていた。
「まぁ素敵っ!この絵、リビングに飾っちゃいましょうか。」
「うんっ!」
母親が子供の絵を手に持ち、子供を連れてリビングに向かう。
「ここに飾りましょうか。」
「その絵はなんだ。」
母親の後ろに父親の姿が。母親が父親の姿に気づくと一歩後ずさる。
「あ、あなたっ。」
「もしや、…このちびが描いたのか。」
母親は苦笑しながら返す。
「っそうです。この子が描いたんです。」
「飾るのはいいが、邪魔にならないところに飾れ。」
「わ、わかってます。」
父親は子供をちらっと睨んで、その場を立ち去った。母親ははぁっと息を吐いて、そこに絵を飾った。
「まま、なんでぱぱはいつもこわいかおしてるの?」
「えっ、あ、あー…、っきっと、私たちを悪いおばけから守ってくれてるんだよ。」
「おばけさんをこわいかおでやっつけてるの?」
「そ、そうよ!」
「そっかぁ!ぱぱはわたしのヒーローなんだね!」
子供は歯をよく見せて笑った。
ー続くー
ご視聴いただきありがとうございました。