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決闘を取り決めたあの日が昨日のように感じるほど、1ヶ月はあっという間だった。この1ヶ月の間俺たちは森に住み込んでいた。毎日森を歩き、魔物を狩りまくっていた。森の奥まで歩きすぎて途中で魔物たちの巣窟を見つけたが今度行くことにして無視した。魔物をずっと狩っていたおかげでみんなのレベルはLv.40くらいに上がった
これなら互角以上に戦えるはずだ。俺たちは今闘技場の前に立っている。いざと本番になると若干緊張する。それでも、俺たちがやってきたことを信じて中へ入って行った
「やっと来たか。底辺パーティー」
「底辺の頂点に言われたくないな」
「なんだと…!!フッ……馬鹿にしたこと後悔させてやる」
「そっちもガキ呼ばわりしたこと後悔させてやるよ」
こいつの顔、間近で見るとムカつくな。ますます、腹立ってきたな。ボコボコにしてやろう
みんなもダリアとかいうクズと揉めてる。さすがにピリピリしてるな。こいつらと揉めてるだけ時間の無駄だ。早く準備をした方がいい
「逃げ出さず来たことは褒めてやるよ。まぁ、俺たちにボコボコにされるだけだけどw」
「後悔しても遅いからね」
「それはお前たちのことだろ。今日来たこと後悔するんだな」
「いつまでそんな大口が叩けるか見物だな」
「ダリア、俺たちは昔みたいに弱くない。元メンバーとして忠告しておく。準備はちゃんとしておいた方がいい」
「いつからそんな偉そうな口が叩けるようになったんだよ??」
「それなら、俺が勝ったらナリアを俺の女にしても問題ないよな?」
(やっぱクズだ)
「それは…」
「別にいいわよ。その代わり、私たちが勝ったらもう二度と私たちの前に現れないで」
「わかった」
(うわーニヤついてる。キモい)
「ナリア、ほんとにいいのか?」
「負ける気なの?」
「いや、そういうわけじゃないけど」
「それならそんなこと聞かないで。私はもう覚悟を決めたから」
かっこいい。姉貴普通に尊敬できますよ。
ナリアはこの1ヶ月誰よりも愚痴を言ってたのに、本心は覚悟が決まってる。ケールとロイスはナリアのことを心配に思って聞いてる。いいパーティーだな
「よし行こう。ちゃんと準備はしておかないと」
「わかってる」「その通りだ」「じゃ、行くか」
「せいぜい足掻いてみろよwガキ底辺パーティー」
「少しは楽しませてくれよw」
「じゃあね低ランクの皆さん」
俺たちは背中から馬鹿にされながら、その場を立ち去った。ガキとか言ったヤツいたな。あいつからボコボコにしてやろう。覚悟しとけよ
俺たちは控え室で気分を落ち着け、最大限飲む準備をした。アイテムの持ち込みは禁止なので、回復は事前にしておく必要がある
みんな準備出来たみたいだ。よし行こう
逆襲の時間だ
舞台に出ると一気に観客の歓声(罵声)に包まれる。こんなに人いんのかよ。しかも全員が俺たちのことを馬鹿にするようなことを言っている。完全にアウェーだ。観客たちも黙らせたい
「すごい人だね」
「こんなに人に囲まれたのは初めてだ」
「こんな大人数の中でボコボコにされたら挫けるだろうな」
「とっとと始めようぜ。ショータイムだ」
「みんな気を引き締めて」
「「では開始!!!」」
開始という宣言と同時にナリアがダリアに向けて火炎を放射した
私的な恨みを感じるのは俺だけだろうか???
あんな攻撃くらったら死ぬって!!!!!
姉貴、殺すのはさすがにやりすぎじゃないですか!?!?
「火魔法・|地獄の業火《ヘルファイア》!!!」ブォォァァァ!!!!
「水魔法・|水門《アクアポルタ》」
「消えろ!!ダリア!!!!!!」
(やっぱり私的な恨みだ。でも悪いのあいつだしな)
「お前の魔法で俺は倒せないよ」
ダリアに向かって行った火炎はダリアが生み出した水で出来た扉に吸い込まれていく
ダメだ攻撃が消されてる。あれを突破しないと……ん??あれ、火炎が扉を突き破ってる!!!!!!!!
そのまま行ったらダリアに直撃するぞ!!!!!
これ当たったらほんとにダリア消えるな
「嘘だろ!?なんで、突破してきてんだよ!?!?!?」
「終わりだ!!地獄で燃えてろ、クズ!!!!!」
(ナリアのことは怒らせないように気をつけよう)
「うわぁぁぁ!!!」
「ダリア!?」「何してんだ!!!」
「これは派手にやったな」
「でも、おかげでスッキリした」
みんな関心してる。ダリアのこと死んでもいいほど嫌いだったんだ。よっぽど嫌われてるな
肝心のダリアは死んでるか分からないけど黒焦げになって地面に寝転がってる。死んでるって言われても納得いくな
観客はダリアが炎に包まれたあと静まり返ったが、よくやったと言わんばかりに拍手と歓声が沸いた。これに少し俺は畏怖した。人が死んでるかもしれないのにそれを娯楽として楽しんでる。普段なら絶対にありえない光景だ。それゆえ怖いと思ってしまった。だが、こんなところで日よってはいけない
「使いもんになんねぇじゃねぇか!!」
「クラウズどうする!?!?あいつらめちゃくちゃ強くなってるよ!!」
「あいつらが強くなってようと知ったこっちゃねぇ!!俺の方が強い!!」
「体術強化・|一斬《スラッシュ》!!」
「調子乗ってんじゃねぇぞ!!!!」
「防術強化・|魔力盾《マナシールド》」ガキン!!!!
「それはお前のことだろ」
「俺の攻撃を止めた……!?!?」
クラウズが剣を片手に突進してきたけど、ロイスが盾で防いでくれた。ロイスはやっぱり頼りになる
ナリアはさっきの魔法でMPが枯渇してる。MPが回復するまでは3人で戦わないといけない
後ろにいるアーチャーからやってクラウズを孤立させよう。1人になれば俺たちが有利だろう
「俺が後ろにいるアーチャーを倒すから、2人でクラウズ止めといて。あとナリアの護衛もよろしく」
「わかった」「任せろ」
「隠密スキル発動」
「イーダ!!援護しろ!!!!」
「わかってる!!」
「雷魔法・|雷射《サンダーショット》!!」ピカッ!!ヒュッ!!
雷の矢がケールたちに向かっていく。早めに倒さないと被害が出るな
なにか光るものがこっちに来てる………???
危ねぇーーー!!!!!目の前に矢が通った!!!!どこ狙ってんだよ!!!!
あいつもダリアがやられて動揺してるのか。それは好都合だ。今なら俺が近づいても気づかないだろう
「おいどこに攻撃してんだよ!!!!」
「ごめんなさい。手元が狂っちゃって………」
「クソがよ…!!」
「剣術強化・風魔法・|風霊撃《シルフィードブラスト》!!!!」ヒュュィィン!!!
「ヤバいの来るぞ!!」
「剣術強化・氷魔法・|氷剣撃《フリーズンアタック》!!!!」ドォォン!!!!
「底辺が俺と互角なわけねぇだろ!!!!!」
「現実を見たらどうだ!!!!!」
ケールの攻撃とクラウズの攻撃が激しい音を立ててぶつかり、突風が吹き荒れる。お互いの攻撃は相殺されたが、2人は剣を交じえて睨み合っている
ケールってあんな技使えたんだ。俺の想像より強くなってる。これは嬉しい誤算だ
俺は2人の戦いに気を取られてるイーダの後ろまで来た。暗殺術で首を折ってもいいけど、殺人は王様だけにしたい。チョークスリーパーで寝ててもらおう
「どいてケール!!」
「!?
わかった!!」
「雷魔法・|稲妻砲《サンダーキャノン》!!!」ズドーン!!!!
「危ねぇな!!」
「いやぁぁぁぁ!!!!」
「俺も死ぬぅぅぅ!!!!」
MPが回復したナリアが雷をクラウズに飛ばしたつもりだったがクラウズに避けられ、その後ろにいたイーダに直撃した。そして、そのすぐ後ろにいた俺も被害を受けた。イーダは雷を直接浴びたのでその場に力無く倒れたあと動かなくなった。雷直撃はご臨終したな
姉貴やりすぎですよ!!俺まで被害出てるんですよ!!!!
俺は急いで回復魔法をかけて体力を回復させた後、隠密スキルを解いて俺はここにいるとアピールした
ナリアは舌を出しててへぺろってしてたけど、いやいや違うのよ。俺、死にかけたんだからもうちょっと誠意をもって謝ってよ
観客はナリアに割れんばかりの拍手と歓声を送っている。あの人仲間殺しかけてたの見えてなかった???
…………そうだ俺、隠密スキル使ってたじゃん。それは気づかないな。じゃあナリアが気づかないのも無理ないか
誰が悪いんだ??ただの事故……????
…………いや避けたクラウズが悪いんだ!!あいつ!!
ふざけんなよてめぇ!!!!
「クソ……どいつもこいつも使えねぇな!!!」
「ふざけんじゃねぇぞ!!!!このクズ!!」
「体術強化・光魔法・|閃光拳《フラッシュブロウ》!!!」バキッ!!
「ウッ……痛ってぇな!!」
俺はクラウズがこっちに気づいて正面を向いた時に顔面にパンチを入れたはずなのだが、クラウズは立ち上がっている。思ったよりタフだな
ナリアは今度こそMPが枯渇した。もう戦いには参加出来ない。ケールとロイスもクラウズの相手をしていたせいか疲れが見え始めている。こいつ強い!!!
そういえばカンちゃんどうした。多分俺の肩に乗ってるんだけど寝てたのか??
寝てたとしたらすごいけど………………寝てる!!!!
これだけ激しい音立ててるのに寝てる!!
こいつ神経図太すぎるだろ
「なめんじゃねぇぞ!!!!」
「体術強化・剣術強化・闇魔法・|闇影刃《ダークエッジ》!!!!」キイン!!!!
(剣が闇を纏って巨大化してる!!あんなのロイスでも止められない!!!)
「あいつどんだけMPあんだよ!!!」
「ガキが!!!!死ねやぁぁぁ!!!!!!!!」
「マズイ!!!!」
「うるさい。黙れクズサル」
今それどころじゃない!!!!お前今起きたのか!!!!
よりによって死にかける数秒前に起きてくんな!!!!
自分だけ飛んでどっか行く気だろ!!!!!!
俺だけ置いてくんじゃねぇぞ!!!!
あとはみんなに任せよう。俺はもうダメだ
俺にあんなもの止められないッスよ
ケールとロイスがこっち来てくれてるけど間に合わないよ。もう目と鼻の先まで来てるもん
「カズヤ避けて!!!!」
(できたらもうやってる!!)
「危ない!!」「カズヤ!!」
「使うか」
「神格魔法・|神々の咆哮《セラフィックムルムル》」キュィィン!!!! ズドーン!!!
カンちゃんのくちばしの先に魔法陣が生まれそこからクラウズに向かって光の稲妻が走った
稲妻に打たれたクラウズは言葉を発することも許されずその場に倒れた。あいつの刃先が俺に届くまであと数cmというところだった
危なかった………カンちゃんに助けられた
てかなんだよあれ!!!!魔法使えたのかよ!!!!使えたなら俺の事もっと助けてくれても良くないか???
観客はクラウズが倒れてからしばらく静かだったが、耳がうるさくなるくらいの歓声と拍手を俺に送ってくれた。でも、倒したの俺じゃないんだよな。カンちゃんなんだけど…………こいつもう寝てるし
「やっぱやるな!!」
「さすがだね」
「カズヤならやってくれるって思ってたよ!」
「……言いにくいんだけど、最後やったのカンちゃんなんだよね」
「「「え?」」」
(キレイなハモリ)
「カンちゃんって何者??」
「さぁ。でも、おかげで勝てた」
「確かにな。カンちゃんに感謝しないといけねぇな」
「うん。てかさ、ナリアやりすぎじゃない?」
「俺死にかけたんだけど……」
「俺も言ってくれなかったら死ぬところだった」
「アハハ……でも結果的に良かったじゃん」てへぺろ
(そんな笑いながら言われても)
「まぁ細かいことは水に流して、早くパーティーしようぜ!!!!」
「「細かくない!!!」」
俺たちはクラウズたちに無事勝利することになった。今日は大量に飲まされて二日酔い確定だな…
まぁそんな日があってもいいな
こういう日は盛大に祝って勝利の余韻に浸ろう!!!
……振り返ってみたら俺なんもしてない。自分から決闘するって言い出しといてなんもしてない
決闘中にあったことといえば死にかけたくらいだ。気づかれてないから黙ってよう