テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第4話 ハンアサ同士の付け合い
小さな会議室には、二人分の机だけが置かれている。
向かい合って座り、
それぞれの端末を机に置く。
画面は伏せられたまま。
先に、年上のほうが端末を押し出す。
何も言わない。
若いほうがそれを受け取り、
深く息を吸う。
画面を起こし、
入力欄を見る。
一度、目を閉じる。
指が動き、
止まり、
また動く。
音を確かめるように、
胸の内で呼ぶ。
確定。
端末を戻す。
今度は、立場が逆になる。
若いほうの端末が、
静かに差し出される。
年上は受け取り、
画面を見て、
わずかに眉を動かす。
考える時間は短い。
確定。
二人とも、端末を自分の前に戻す。
画面には、
自分で付けていない名前。
しばらく、
どちらも触らない。
年上が、椅子を少し引く。
若いほうも、それに倣う。
同時に、画面を閉じる。
誰も笑わない。
軽口もない。
自分で決めなかった名前が、
そこに残っている。
それが、
ここにいる理由だった。