テラーノベル
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※ビースト
※原軸と混じり合ってます(中原が)
『 ××を止める中原のはなし 』
それはとある6月の夜。
とても静かな夜だった。…先程までは。
風が起こす轟音が部屋の中で反響する。こんな日に限って残業。幾ら社畜の自分でも正直ついているとは思えない。
「ねぇ、早く書類出してよね。」
「うるせぇ、」
二人の声が響く。決してそれは進捗報告をする会話ではなくて、只の会話であった。緊張感のない会話。
二人はお互いが嫌いであった。何故そう思ってきたかは覚えていない。出会ったのは何年も前だがそれよりも前から自分は此奴を知っていて、嫌悪していた気がするのだ。なのに、どうしても此奴からは離れられない。何かの呪いのように繋がっているのだ。嫌いな奴と。
「なんで私がこんな目に…、今日は久しぶりに寝ようと思ってたのに、」
「…、てめぇ眠るのか。」
「当たり前でしょ、人間なんだもの。」
「へぇ…」
「聞いてきた癖に『へぇ』って…。まぁいいや、私仮眠するから、終わったら起こして、」
そう言って机に顔を伏せる彼。
突然書類のデータが消えたのだ。それはこの煩い風のせいなのか。それとも仕事の疲れのせいか。
但し確かなのは、”誰かの“手によって、俺のパソコンからデータが削除されていたことだけ。
「…手前は誰だ。」
包丁を床に放り投げると同時に、掴まれていた腕を振り払う。 思っていたよりも軽く、簡単に、そ
の違和感からは解放された。裾を捲って、まだ先ほどの感覚が残っている自身の腕を確認する。不
健 康にも青白い肌に、うまく馴染めこめていない、赤い痣を見つける。しっかりと、人間の手形
だ。 心なしか、恐ろしく自身の手に似ている気がするのだ。大きさもちょうどであるし、あの馬
鹿力 は自身のものだ。試しに、片方の腕を同じようにして握ってみると、もう一方とそっくりな赤
い手 形の痣ができる。
「……やっぱり」
自身の両腕をじっくりと、交互に見て比べ、声を溢した。
「手前はやっぱり…。いや、それしかあり得ねぇ。だったら何故だ。何故お前は太宰を生かそうと
する…。俺がこのまま、此奴の心臓にひと突きしてやれば、手前も此奴も俺も、嬉しいだろ。 」
“ 彼奴 ”がつけた痣のある腕を正面に翳して、虚空をゆらゆらと掴んでみる。
「なぁ、何故だ。何故手前は俺の邪魔をする?」
ゆらゆらと翳していた手をぴたりと止めて、斜め上をめがけて勢いよく握りしめる。丁度自分の首くらいの高さだ。
「 答えろよ…“中原中也” 」
[書き出し:没]
最近、どうにも腕が重い。
肩ではなく、腕だ。まるで何か自分の意思ではどうにもできないようなものが己の腕の中にいて、“其奴”が何か、大事なことを邪魔してきそうな、そんな感覚がする。
けれどそれは決して、気持ち悪さなどは感じない。其奴には懐かしさが微かに纏わりついている。但しほんの少しばかりの憎悪を含めて。
「仕事中に考え事だなんて、随分偉そうじゃない。」
考え事、確かにこれは考え事なのかもしれない。だってもしかしたら、この腕のせいで何かが阻止されるかもしれないのだ。そう、例えば目の前にいる世界一嫌いで宇宙一殺したい男ー太宰治ーの殺害を妨害とか。
太宰治。今思えば本当に、此奴に対する気持ちは嫌悪と嫉妬、憎悪しかなかった。一ミクロンくらいは信頼していた時期もある。相棒として。どこか似ている、同じ悩みを持っている友達として。けれどそれは此奴自身の手で断ち切られた。
此奴は首領になったのだ。
首領となったら今までのように共に任務はできない。軽々しく話しかけることは勿論、暗黙の了解。
没です…‼︎『きっと明日には仲良く』を連載小説とする前に書いたもので、本来はこれを連載しようと思ってました…‼︎没なので所々ですが、暇つぶしにでも見て下さい😉考察お待ちしております💬✨
コメント
4件
やばい、大事なところが隠されてる…😭
原中 →ある日突然、別世界の自分と体をリンクできるようになる。どうやらあっちの自分も太宰を♡♡♡たいのだと知る。原軸では恋人になったばかりの頃だったため、愛しい相手を♡♡♡せたくなく、リンクを活用して阻止している。
原太 →最近恋人(原中)がいきなり虚空を掴んだり独り言を呟きだすのでそろそろ心配になっている。異能かと思い触れるも効果はなし。ただ挙動不審な時に触れると反応あり。以前虚空に手を突き出しているところに触れてみると、何故か取り乱しながら酷く叱ってきた。それが更に心配を加速させた。