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そんなに優しくしないでよ。
そんな手で触らないでよ。
そんな目で見つめないでよ。
私の名前を呼ばないでよ。
変な期待させないで。
誰にでも優しい彼に心を奪われた。
おばあちゃんが困っていたら助けるような優しい彼だ。
でも私だけに優しくしてほしい。
でもその想いも届かない。
私は書類を落とした時に拾ってくれたあなたが好きだった。優しかったから。
でも、私だけじゃないと意味がない。
私から告白して、付き合えた。
でも付き合う前と変わらず、誰にでも優しく、頼られる人だった。
私だけ特別じゃないみたい。
なんか冷めちゃった。バイバイ。あなたにも、私にも必ず合う人がいるから。
次は少しチャラい彼に惹かれた。
金髪のピアスがあいた彼だけど、チャラい彼だけど私にだけ優しい。
女ってものは単純。優しくされたら恋に落ちることが多い。
今度も私から告白。けれど、月曜日しか合ってくれない。なんでだろう。
嫌な予感が頭をよぎる中、彼に捨てられないように、必死に一番になるため、体も、心も捧げた。
彼は付き合った時から私の扱いが雑になった。まるで道具みたいに扱うようになった。
体も心も疲れちゃった。バイバイ。もう二度と顔を見たくないわ。
なにか視線を感じるような気がしたけど、気のせいだろうと放っておいた。
次はとても紳士で一途な方に恋をした。
彼女ができたことのない、理想が高い方だった。
私の前の彼氏の愚痴をしたら心配してくれた。彼なら優しくしてくれそう。
今回は彼から付き合おうと言ってくれた。もちろん即OK。
彼は優しく、ワレモノを扱うように大切にしてくれた。
でも、なぜか面白くない。
真面目すぎてなんか嫌かも。
彼は私にとって不釣り合いなのかもしれない。彼にはもっといい相手がいる。バイバイ、
…この違和感は何なのだろうか。
次は声にも、彼にも惚れた、
前の彼氏達よりも優しく、かつ一緒に居て飽きない相手だった。
でも、彼には彼女さんがいる。だから私はただのお友達。私が奪っちゃったら彼女さんが悲しんじゃうし、私が最初から一番になれないからお友達まで。あきらめちゃった。
なにか心がざわついている気がする。
次は背が高くて無愛想だけど趣味と嫌いなものが一緒の人に恋をした。
なぜか私の名前や好きなものを当てていてびっくりした。…この人が運命の方なのかもしれない。
今度は彼女さんが居ない人だから安心して好意を示せる。
なかなか、前の彼氏達よりも落としにくい、奥手な人で、私はもっともっと彼のことを知りたくなって、惹かれていった。
やっと付き合えて、恋人という関係が1年続いた頃、彼から夜景が綺麗なレストランでプロポーズされた。
私、この人となら幸せになれるのかも。でも、
私だけ、優しくしてよ?
私を特別扱いして!
ワレモノを扱うよう丁寧に接してよ?
私だけ見つめてよ?
他の人のところなんか行かないで!
その声で名前を呼んでよ?
ちゃんと期待させてよ?
私、飽きちゃうかもしれないから、
私との約束、守ってねと言うと、
『もちろん。前から、ずうっとあなただけを見つめているさ。これからもね?離す気はないさ。あんたから離れていくのは、許せないかもな』
と不敵に笑う。
……それでこそ私の夫にふさわしい男よ。
似たもの同士は惹かれ合うって言うわよね。
やっと………やっと、私と釣り合う人ができた。
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海の紅月くらげさん