姉さんは昔、俺にこう言った。
「レヴォーチカ、人を好きになるって言うのはね、こう、突然グワァァァってくるものよ」
そんときは何言ってんのかと思った。
恋愛経験豊富な姉さんの事だから
また訳の分からないことを言ってるのだろうと____
保育園の頃から、女の子にモテてるなっていう自覚はあった。
それは俺がハーフだからとか、
背が高いとか、
肌が他の人より白いとか、
色々理由があったと思うけれど
俺の見た目だけでみんな俺を好きだった。
けれど、自分から好きになる事はなかった。
中学の頃、初めて告白というのをされた。
同じクラスの女の子で、よく一緒に喋る女の子だった。
もちろん断った。
だって、恋愛なんてわからないし
人を好きになるって感情なんて分からなかったからだ。
その子とはそのまま、気まづくなり
話す事もなくなった____
その子と話すの楽しかったんだけれど。
絶対友達のままでよかったのに。
どうしてみんなそう、恋愛に持ってきたがるんだろう?
好きになってしまうんだろう。
断った後、その子が泣いていたというのを噂で聞いた。
俺のせいで。
でもそんなの、知らないよって思った。
だって、そうでしょ?
その子との間に、姉さんが言う
グワァァァって何かは1度もなかったんだから。
これからもきっとあるわけないよ____
高校では、バレー部に入った。
何となしに見学をさせてもらった時に
衝撃を受けたんだ。
そう、グワァァァって。
その瞬間、俺はバレーをすると決めたんだ。
これからもずっとバレーだけを、
と思ったんだ____
けれど。
あの時
部活前、研磨さんが女の子と一緒に体育館裏に走っていくのが見えた。
大声で
「研磨さーーーん!」
と呼び、体育館裏まで自分も行く。
と
研磨さんの前から
ヒョコ
顔を出す
女の子____________
その時、体全身にグワァァァって風が吹いたようになったんだ。
嘘だと思うだろ?
でもあれは嘘じゃない。
これが一目惚れなんだって。
俺、この子の事好きなんだって
一瞬で分かってしまったんだ____
美貴さんと言うらしい。
美貴さん、
美貴さん____
頭の中で何度も繰り返す____
練習中も、
授業中も
寝る時も
お風呂に入ってる時も____
姉さん、ようやく分かったよ
「美貴さん……、可愛い」
「このまま……誰もいないし、美貴さんの事食べてしまってもいいかな?」
これが人を好きになるって事なんだね。____
コメント
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おもしろい! 続き待ってます!