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第7話:どこかで使われました
放課後、ミユはいつものように駅前のベンチでスマホを開いた。
薄グレーのカーディガンに、白いブラウスとチェックのスカート。
いつもと同じ制服姿、いつもと変わらないはずの下校時間。
でも、通知がひとつ違っていた。
《NaPoint:ご利用ありがとうございます》
──ん?今、使ってないのに?
詳細を見ると、「広告レビュー完了(報酬:12pt)」
続けて、**「別端末からログインがありました」**という通知。
ミユはすぐにアプリを開いて履歴を確認した。
知らない商品レビューが投稿されていた。
「キッチン雑貨・ミントカラーがかわいい!」
語尾に絵文字。絵文字なんて使ったことないのに。
しかも、そのレビューが「いいね数・264」で、カテゴリ内トップに並んでいた。
……勝手に“私のおすすめ”になっていた。
その瞬間、もう一つの通知が画面上部に重なった。
《NaPointプレミアアカウントへ自動昇格されました》
(利用実績・投稿量により判断されました)
「……使ってないんだけど」
駅前には夕暮れの光が降りてきて、後ろの自販機のLEDだけが青く瞬いていた。
ミユは、スマホをそっと伏せて、つぶやいた。
「誰が、“わたし”使ってるの?」