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#普通
野々さくら
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ありあ
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さくらが深々と頭を下げたまま動かないでいると、信愛は優しく微笑み、その肩にそっと手を添えた。
「そんな頭なんて下げないでよ」
その一言に、さくらはゆっくりと顔を上げる。
信愛はまっすぐさくらを見つめ、力強く頷いた。
「そういう事だったら、喜んで力になるから」
その返事を聞いた瞬間、さくらの表情がぱっと明るくなる。
「うそ!? 本当!?」
「当たり前でしょ?」
信愛が笑顔で言い切ると、茜も勢いよく手を挙げた。
「そうだよ、さくら!」
さらに焔垂が腕を組みながら頼もしく笑う。
「俺も男手として協力させてもらうよ」
朝陽も負けじと一歩前へ出た。
「ぼ、僕もです!」
少し照れくさそうに頭を掻きながらも、真剣な表情で続ける。
「微力だと思いますけど、力になります!
先輩にはお世話になりましたから!そのお返しです」
仲間たちの言葉を聞いたさくらは、張り詰めていた緊張の糸が切れたように大きく息を吐いた。
「はぁ〜・・・ありがとうみんなぁ〜・・」
瞳にはうっすらと涙が浮かび、安堵の笑みが広がる。
「これでお爺ちゃんを楽させてあげれる〜」
その声には、心からの安心が滲んでいた。
「本当にありがとう!」
さくらはもう一度深く頭を下げる。
しかし今度は先ほどのような悲壮感ではなく、感謝の気持ちに満ちたお辞儀だった。
◇ ◇ ◇
その日の夜。
学校から帰宅した信愛は、リビングでくつろぐ銚子と多摩雄に、長野行きを交渉していた。
しかし多摩雄はあまり気乗りしないらしく、腕を組んで少し考え込むように唸る。
「うー・・・ん」
しばらく黙ったあと、遠くを見るような目で呟いた。
「長野ねぇ〜・・・」
信愛は父の表情を窺いながら、不安そうに首を傾げる。
「え? ダメ?」
多摩雄はすぐには答えず、もう一度小さく唸った。
「うー・・・ん、そうだな〜・・・」
リビングには、少しだけ緊張した空気が流れた。
信愛は父の前で両手を胸の前でぎゅっと握りしめ、真剣な眼差しを向けた。
「お願い!」
その一言に、娘の強い決意が込められている。
「さくらの力になってあげたいの!」
しかし、多摩雄は困ったように頭を掻きながら眉をひそめた。
「でもなぁ〜・・・」
少し間を置いてから、信愛を見つめる。
「その長野には男の子も一緒に行くんだよな?」
その問いに、信愛は一瞬だけ言葉を詰まらせた。
「そ、それはそうだけどさ・・・」
多摩雄は深くため息をつく。
「年頃の娘が男の子とひとつ
屋根の下ってのがなぁ〜・・・」
信愛は困ったように頬を膨らませ、小さく呟く。
「そんなぁ〜・・・」
すると、それまで静かに話を聞いていた銚子が、が穏やかな笑みを浮かべて口を開いた。
「いいんじゃない? 別に認めてあげれば」
思わぬ援軍に、信愛の曇っていた表情がぱっと明るくなる。
「お母さん♬」
銚子は夫へ向き直ると、落ち着いた口調で続けた。
「でももし何か間違いが起きたら」
多摩雄がすかさず口を挟むが、銚子はまったく動じない。
「だったら修学旅行は?」
多摩雄は首を傾げる。
銚子は穏やかな笑みを浮かべたまま、理路整然と言葉を重ねた。
「修学旅行だって、年頃の娘が男の子と
ひとつ屋根の下じゃないかしら?」
「それとこれとは話が別じゃないか」
多摩雄は少し声を強める。
「修学旅行には先生が一緒なんだから」
しかし銚子はすぐに返した。
「だったら今回だって、泊まるお宅には
花牟礼さんのお爺ちゃんや
叔父さんの奥さんが一緒にいるでしょ?」
そして優しく信愛へ視線を向ける。
「そうよね?信愛?」
信愛は何度も頷いた。
「もちろん!」
さらに安心させるように説明を続ける。
「それにさくらのお母さんの実家って
かなり広い平屋らしくってさ
寝る部屋も男女で分けてくれるって」
その話を聞いた銚子は、にっこりと笑う。
「それなら問題ないじゃない!ね?アナタ」
多摩雄は腕を組んだまま、しばらく考え込んだ。
「ま、まぁ、そ、それなら・・・」
信愛は期待に満ちた目で父を見つめる。
「え? なら行ってもいい?」
多摩雄は観念したように苦笑いを浮かべ、小さく頷いた。
「ああ、それなら構わない」
「やった♬ありがとう♬」
信愛は思わず両手を握りしめて飛び跳ねる。
そんな娘の無邪気な姿を見て、銚子は優しく微笑んだ。
「でも信愛?わかってるだろうけど
人様のお家にお邪魔するんだからね?
粗相の無いようにするのよ!いい?」
「分かってるよ」
信愛はその言葉の意味をしっかりと受け止め、素直に頷いた。
コメント
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×××さん、第89話読了したよ! さくらが仲間たちに支えられて、涙ぐみながら「ありがとう」って言うシーン、じーんときたわ…。あの安堵の笑顔、本当に良かった。 後半の信愛パパとの交渉も、お母さんの理路整然とした反論が痛快で笑った。修学旅行の例え、完璧すぎるw 家族の暖かさと、さくらへの想いがじんわり伝わってくる回だった。次回、長野編が楽しみだ!